プラスチック加工の基礎知識(5)~トランスファ成形、積層成形、注型成形、粉末成形、カレンダー成形

さまざまな用途に用いられるプラスチック。ここでは、プラスチック加工の中でもトランスファ成形、積層成形、注型成形、粉末成形、カレンダー成形の5つに注目し、それぞれの特徴について解説します。

以下の記事でも、プラスチック加工についての解説をしています。合わせて参照下さい。


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トランスファ成形(移送成形)の基本原理と、成形の際の注意点

トランスファ成形とは、トランスファ成形材料の可塑化と硬化を成形型内で行う圧縮成形を改良した成形法です。
圧縮成形と異なる点として、成形材料の可塑化を成形型上部のトランスファポット内で行い、可塑化した材料を成形型のキャビティに移動して硬化させている点が挙げられます。このためトランスファ成形では、成形材料の「移送(流れ)」を考慮した金型設計が要求されることとなります。
トランスファ成形方式には、ポット式(一般の圧縮成形機で押圧)と補助ラム式(プランジャによって材料をキャビティに移送)があります。<図1>に補助ラム式の簡略図を示します。
あらかじめ成形材料のタブレットを作り、これを高周波等で予備加熱後、トランスファポットから、スプル及びゲートを通じて型内に射出し加熱硬化させます。

<図1>トランスファ成形法
<図1>トランスファ成形法

射出成形もトランスファ成形も成形材料が移送する(流れる)点は射出成形と同じようなプロセスですが、射出成形は複数ショット分の材料がシンリダ内に滞留するのに対し、トランスファ成形では成形ごとに材料を供給し、成形後に残った材料(カル)は毎回取り除かれる点で異なります。

<注意点>
・材料の供給量は成形品の重量のほかにポット内のカル、スプル、ランナー、ゲートの分も含めて決めます。
・予備加熱では一般的に高周波加熱を用いるため、他の機器への電波障害対策もあらかじめ考慮します。
・予備加熱されたタブレットは、吸湿等を避けるためにできるだけ速やかに成形機に投入します。

積層成形の基本原理と、成形の際の注意点

樹脂を含浸させた紙、布、ガラス不織布等を必要数量重ね合わせ、プレス鋼板によって熱と圧力をかけて目的とする形に一体化する成形法で、主に熱硬化性樹脂に用いられます。
加圧の程度によって高圧積層法と低圧積層法があり、成形時にガスの発生を伴うユリア、フェノール、メラミン樹脂では高圧積層法、ガスの発生を伴わない不飽和ポリエステル樹脂、エポシキ樹脂では低圧積層法が用いられます。

<図2>積層成形法
<図2>積層成形法

<注意点>
・樹脂の量が少な過ぎると不均一で脆弱となり、多過ぎるとクラックが入りやすくなります。
・加圧硬化時間が速過ぎると樹脂分が外側にはみ出してしまうため、一般的に多段プレスで成形します。

注型成形の基本原理と、成形の際の注意点

液状の樹脂(プレポリマー)やモノマーを使用して、成形型には圧力をかけずに固化させて成形する方法です。成形方法としては、成形型に液状樹脂を流し込んで成形品とする方法、電気・電子部品・各種サンプルを封入成形する方法、液状樹脂を回転ドラムや移動ベルト等に流延してフィルム状に成形する方法(流延法)があります。また、最近では真空環境下で液状樹脂を成形型内に流し込む方法も用いられています(真空注型法)。

<図3>注型成形法
<図3>注型成形法

粉末成形の基本原理と、種類

金型に粉末成形材料を入れて加熱、金型面にゲル化密着させ、未溶融の粉末材料は除去して再加熱することで完全に固化させたあとに成形品を取り出す方法です。
成形法は、静置式で行うエンゲル法のほか、回転させて行う回転成形法、回転成形法のうち材料がペースト状であるスラッシュ成形、そして金属表面を樹脂でコーティングする流動浸漬法があります。

以下では、粉末成形の中でも代表的な、2種類の成形法について解説します。

回転成形/スラッシュ成形

金型を回転させながら型壁面で粉末を溶融させ、冷却固化後に成形品を取り出します。

<図4>回転成形法
<図4>回転成形法

流動浸漬法

金属部品をあらかじめ加熱し、これを溶融状態にした粉末材料に浸漬して金属部品を樹脂コートする方法です。

<図5>流動浸漬法
<図5>流動浸漬法

カレンダー成形の基本原理と、成形手順

ゴムの圧延加工をプラスチックに応用したもので、樹脂をカレンダー部の熱ロール間に通していくことで徐々に圧延し、シートやフィルムを成形する方法です。
模様を彫刻したロールを使用すればその模様の付いた製品を作ることも可能です。

<図6>カレンダー成形法
<図6>カレンダー成形法

<手順>
押出成型機と同様に溶融樹脂を連続して出します。
加熱したローラー間を通し、圧延します。
冷却ローラー間を通し、製品の厚さを調整して形成します。
巻き取りローラーに巻き取り完成

まとめ

ここではプラスチック加工の中でも、トランスファ成形、積層成形、注型成形、粉末成形、カレンダー成形という5つの加工方法についてご紹介しました。他の記事では、プラスチック材料の基礎知識や、物性測定についても分かりやすくまとめていますので、そちらもあわせてご参考ください。


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