プラスチック加工の基礎知識(4)~ブロー成形と圧縮成形について解説

さまざまな用途に用いられるプラスチック。ここでは、プラスチック加工の中でもブロー成形、圧縮成形に注目し、それぞれどのような加工方法があるのか、それらはどのような特徴を持つのか、更にどのようなことに注意するべきかを解説します。

以下の記事でも、プラスチック加工についての解説をしています。合わせて参照下さい。


▽プラスチック加工の基礎知識シリーズ

ブロー成形の種類と、それぞれの特徴や原理について

ブロー成形は、吹込成形、中空成形とも言われ、中空製品の成形加工に使用する大量生産に適した方法です。押出ブロー成形、多層押出ブロー成形、射出ブロー成形、延伸ブロー成形が一般的に利用されています。

押出ブロー成形

押出ブロー成形とは、溶融押出したパリソンが冷却しないうちに直接空気を吹き込むホットパリソン式であり、ダイレクトブロー成形とも言われます。
押出機で加熱溶融された樹脂をダイヘッドからチューブ形状(パリソン)に押し出し、溶融状態のパリソンを金型で挟んで内部に空気を吹き込み冷却後、金型を開いて成形品を取り出します。下図では、空気を上から吹き込んでいますが、横から吹き込む方法や下から吹き込む方法もあります。
歴史的にも古い成形法ですが、現在でも食品容器の成形に広く用いられている方法です。特に、ガスバリア性を付与した多層ボトルとして、各種食用油容器やマヨネーズ容器等が成形されています。

<図1>押出ブロー成形法
<図1>押出ブロー成形法

射出ブロー成形

射出ブロー成形とは、射出成形で有底パリソンを成形した後、射出成形金型から取り出し、ブロー用金型に移して空気を吹き込むことでボトル状に成形する方法です。押出ブロー成形に比べ、寸法精度などのボトル品質や量産性に優れる製法です。
乳製品「ヤクルト」の容器は、スチレン樹脂を用いてこの方法で成形していることは有名です。

<図2>射出ブロー成形
<図2>射出ブロー成形

延伸ブロー成形

延伸ブロー成形とは、ブロー工程に2軸延伸工程を設けた成形法であり、ボトルの強度を向上させることができます。射出ブロー成形法と同様に成形されますが、ブロー用金型内で延伸ロッドで軸方向に延伸されたパリソンはブロー工程で径方向にも延伸されているため、2軸延伸ボトルが得られます。
成形法には、パリソンが完全に冷却しない状態でブローする「コールドパリソン法(1ステージ式とも言われる)」と、パリソンを一度冷却してからブローする「ホットパリソン法(2ステージ式とも言われる)があります。2ステージ式は大量生産向きで、現在のPETボトルの成形にはコールドパリソン法が用いられています。

<図3>延伸ブロー成形(コールドパリソン法)
<図3>延伸ブロー成形(コールドパリソン法)


圧縮成形の基礎知識~用途、原理について

圧縮成形は、主に熱硬化性樹脂の成形に用いられ、その操作が簡単なので広く用いられています。樹脂と充填材、強化材、硬化剤、等を目的に合わせて配合したものを成形型の凹部(キャビティ)の隅ずみまで行き渡らせた状態でプレスして硬化させて整形します。
従来からメラミン化粧板等の各種積層板、積層管、積層棒の成形で用いられていますが、最近では、プリント基板や絶縁材料としての積層板が、家電分野や産業用電子機器の成形でも利用されています。一般的に圧縮成形では、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂で利用されますが、熱可塑性樹脂でも小規模生産の場合やFRP(繊維強化プラスチック)材料の成形に利用されています。以下に、圧縮成形法の簡略図を示します。

<図4>圧縮成形法
<図4>圧縮成形法

圧縮成形に必要な3つの手順について

成形材料の準備

通常、粉末状やペレット状の成形材料をキャビティに投入しますが、生産ロットの大きい場合には、あらかじめタブレット化しておくと有利な場合が多いです。

成形材料の予備加熱

あらかじめ成形材料を加熱しておくことで、成形品を均一に硬化させることができ、かつ成形サイクルを短くできます。また成形圧力を低くできるので、インサート物や金型の損傷防止効果もあります。予備加熱には熱風循環乾燥機等も利用されますが、高周波予熱機が汎用されています。

成形操作

成形材料を金型に投入したあと、初めは低圧で材料を十分に軟化流動させ、ガス抜き後に金型を閉じて、再度加圧して所定時間硬化させます。

<注意点>
・ガス発生のない不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂ではガス抜き操作は不要です。
・ガス抜き操作が必要な場合、そのタイミングが早いと、ガスの放出量が少なくなり多くのガスが製品中に封入されてしまい、成形面にふくれやくもり等を生じやすくなります。また一方でタイミングが遅いと、ガスが抜けにくくなり成形品にクラックが発生する場合があります。
・厚肉製品の場合は硬化時間が長時間となりますが、不完全硬化の場合には成形面にふくれが生じたり、歪みや後収縮等による不良品が発生したりするので、肉厚に応じた成形条件が要求されます。


【トピックス】
圧縮成形は大型の厚肉製品に適する成形法であり金型自体も大型になります。
一方でその機構は比較的単純であるため利用しやすい成形方法でもあり、簡易金型(手ばらし金型)を取り扱っているメーカーもあります。

まとめ

ここではブロー成形と圧縮成形についてご紹介しました。他の記事では、プラスチック材料の基礎知識や、物性測定についても分かりやすくまとめていますので、そちらもあわせてご参考ください。



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