プラスチック加工の基礎知識(2)~射出成形の種類、原理、特徴について

さまざまな用途に用いられるプラスチック。ここでは、プラスチック加工の中でも射出成形に注目し、どのような加工方法があるのか、それらはどのような特徴を持つのか、更にどのようなことに注意するべきかを解説します。

以下の記事でも、プラスチック加工についての解説をしています。合わせて参照下さい。


▽プラスチック加工の基礎知識シリーズ

射出成形の基礎知識~概要、成形手順、注意点について

1.概要

射出成形法は、主に樹脂を加熱可塑化する工程、可塑化された樹脂を高圧で金型内に射出する工程、金型内で樹脂を固化する工程、金型から成形品を取り出す工程、ら成り立っています。以下に、容器形状の製品の成形方法の概略を示します。

<図1>射出成形機の構造
<図1>射出成形機の構造


2.成形手順

(1) 材料供給装置(ホッパー)から落下するペレットをシリンダ内のスクリューを回転させて前方に送ります。
(2) ペレットはシリンダ内のヒータで可塑化され、スクリューの回転で成形機の前部にためられます。
(3) 一定量ためられた溶融樹脂を再度スクリューで高速・高圧でキャビティ内に射出します。
(4) キャビティ内で加圧、冷却、固化してから金型を開き、エジェクタピンで製品を突き出して取り出します。

3.注意点

(1) ペレットはホッパーから落ちやすいものを選定します。
(2) ゲート部分は、ここから樹脂がキャビティ内に射出される箇所であり、残留応力が集中しているので、製品にクラックが発生することがあるので注意します。
(3) 射出成形品は後収縮により変化するので、検査は一定時間放置後に行います。
(4) ポリアミド等の吸水性を有する樹脂では、吸水による寸法変化にも注意します。

熱硬化性樹脂の射出成形

1.概要

樹脂をシリンダ内で加温して流動性を与え、これをその樹脂の硬化温度に設定した金型中のキャビティに射出して、そこで硬化反応を起こさせてから離型します。成形加工の際に検討しておくことは、流動性、硬化性、供給性などです。

2.注意点

(1) シリンダ内では流動性が必要なので、樹脂が硬化しない温度に設定します。
(2) スクリューによる圧縮において、加圧による硬化を防ぐように条件を設定します。
(3) 射出速度は速すぎると摩擦のため発熱硬化し、遅すぎると樹脂の流動性不足のため外観不良の原因となります。
(4) 熱可塑性樹脂の場合とは異なり、残渣の再使用が不可能で、またシリンダー内で必要以上滞留させると硬化するので、一時成形を中止する場合には、樹脂をすべて除去しておく必要があります。

その他の射出成形の種類~6種類の成形方法と、それらの原理・特徴・用途について

低圧成形

成形収縮率が小さく、金型転写性を良くするために射出圧力を高くして成形する傾向となりますが、一方、射出圧力が高くなるとキャビティ内の圧力勾配が大きくなり、「ガス焼け」などの成形不良の原因ともなります。

これを解決するために、金型内の圧力が大きくならないように低圧で射出成形を行う方法が低圧成形です。

型締圧を下げることでエアベントが良好となり、バリの発生、ソリや変形が防止できるなどの利点があります。しかし低圧成形のためには、成形品構造に合わせて、射出速度や金型構造についての最適化条件を検討しなければなりません。

射出圧縮成形

射出成形と圧縮成形を組み合わせた方法です。
圧縮ストローク分だけ残した状態のキャビティに溶融樹脂を射出した後、圧縮成形をします。この方法は、成形ひずみの少ない成形品が得られるので光ディスクや光学レンズ等の成形や高速度成形に適しています。

<図2>射出圧縮成形
<図2>射出圧縮成形

ガスアシスト射出成形

樹脂を射出後または樹脂を射出しながら、加圧された不活性ガスをキャビティ内に注入することで、成形品内部に中空部を形成させる方法です。

特徴としては、肉厚が不均一、かつヒケやソリの少ない製品が得られる、成形品の軽量化が図れる、ガスアシストにより射出圧力を小さくできるので型締力の低い成形機で成形できることです。その一例を以下に示します。

<図3>ガスアシスト射出成形
<図3>ガスアシスト射出成形

二色成形

1つの成形機の中に装着された2つの金型内に、2組の射出ユニットによって材質の異なる2つの樹脂を射出して、1つの成形品を得る成形方法です。
この方法の特徴は、2つの材料から1つの成形品を得ることで、組み立てにかかる人件費や工程削減することができるので、コストが低減できることです。

<図4>二色成形
<図4>二色成形


インモールド成形

あらかじめデザインが印刷されたフィルムを金型内に挿入してから射出成形する方法。金型内で成形と表面加飾ができる利点があります。

2次加工として塗装、印刷、転写等を行うことなく、成形と同時に表面加飾するので、2次加工時の品質不具合による歩留まり低下などが発生しない利点があります。最近では、自動車部品や家電部品等の意匠付けにも用いられています。

反応射出成形

ポリウレタンの成形法として開発された方法で、RIM(Reaction Injection Molding)成形ともいわれています。2種類以上の低分子量・低粘度の混合組成物を調整して、金型内に射出して、型内で反応させて固化して成形品とします。

射出が低圧力なので、樹脂性の成形型(金型)を用いることができ、金型のコストが安価になります。混合組成物の調整により射出時間も調整できるので大型部品の製造も容易なことからおもに自動車のウレタン製バンパーの成形に用いられています。

<図5>反応射出成形
<図5>反応射出成形

おわりに

この記事では、プラスチック加工の中でも射出成形に注目し、その種類や原理、成形手順、注意点について説明しました。他の記事では、プラスチック材料の性質や物性測定についても分かりやすくまとめていますので、そちらもあわせてご参考ください。


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