光によって変化する「感光性樹脂」、熱に強い「耐熱性樹脂」~個性的な樹脂の基礎知識を紹介

身の回りで幅広く用いられているプラスチック製品。プラスチック製品の元となる樹脂材料は、大きく6つの特性に分けることができます。

この記事では、金属の精密加工,プリント配線板にも使用される感光性樹脂、自動車や家電等に求められる場合もある耐熱性樹脂について解説をしていきます。以下の記事では、プラスチック材料の基礎知識や他の特性についても解説をしています。合わせてご参考ください。

感光性樹脂とは?

一般的に、感光性樹脂とは「光によって化学的または構造的な変化を生じる重合体」とされています。

合成樹脂の感光性は
・光照射による着色・硬化
・溶媒や熱に対する不溶・不融化
・溶媒に対する易溶化・導電性の変化
等の現象によって知ることができます。どのような現象が起こるかは、高分子構造によって決まります。

また、重合体自体が感光性をもたない場合でも、光増感剤などを添加して感光性をもたせた場合には感光性樹脂といわれます。
当初、感光性樹脂は写真製版におけるフォトレジスト (感光性耐食皮膜) として利用されていましたが、その後、用途が拡大して金属の精密加工、プリント配線板、LSI等に利用されるようになりました。

感光性樹脂特有の性質と、その利用法

感光性樹脂に求められる性質の1つである、光照射による「不溶・不融化」は
[1] 光重合反応による架橋構造の形成
[2] 光重合反応によって分子量が増大、重合体となることによる硬化
という2つの場合に起こります。以下に詳しくみていきましょう。

[1] 架橋構造の形成

初期の代表的な感光性樹脂として、ポリビニルアルコールケイ皮酸エステルが知られています。これはポリビニルアルコールとケイ皮酸塩化物との反応で得られます。<図1>に示すように、(1)のエステルに紫外線を照射すると分子間で二量化反応が起こり、架橋され、(2)のような溶媒に不溶な構造となります。

<図1>光二量型感光性樹脂
<図1>光二量型感光性樹脂

単なるC = C結合の場合は、光によって容易に分子間架橋反応は起こりません。しかし、上記のシンナモイル基を有する化合物であるケイ皮酸エステルは、光照射により反応して分子間架橋を起こし、不溶化することが古くから知られています。

このポリビニルアルコールケイ皮酸エステルを有機溶媒に溶かし、適当な支持体に塗布して製膜された膜は、紫外線を照射すると光に露光した部分が光硬化します。それにより、適当な溶剤で未露光部分を除去すると光硬化画像が得られることになります。

[2] 光重合可能な単量体による感光性樹脂

特定のアクリル酸エステル類は、光ラジカル開始剤を加えて露光すると硬化して固体となります。 この特性を利用し、凸板製版印刷に適する感光板が古くから作られています。また、電子工業の発展に伴い、半導体集積回路用のフォトレジストとしての利用も広がっています。

耐熱性樹脂~樹脂の耐熱性を高める方法

<表1>にみられるように、汎用樹脂は金属やセラミックスのような無機材料に比べて耐熱性が低くなっています。合成樹脂としての限界はあるものの、耐熱性の向上は重要な課題の1つとされています。

<表1>各材料の特性比較

材料 構造 主な結合力 耐熱性 強さ 密度
セラミックス 化合物結晶系の集合体 イオン結合と共有結合 小~中
金属 単体または固溶体の結晶 金属結合 中~大
合成樹脂 分子鎖からなる非晶質 共有結合

 

合成樹脂の耐熱性を高めるには、
・分子鎖の剛直化・対称化
・凝集力の増大化
・結晶化
などの分子構造設計が重要となってきます。
このほか、繊維やフィラーなどとの複合化も行われています。

分子構造設計において、分子中に剛直な構造を導入する方法が一般的ですが、その中でも、ベンゼン環やナフタレン環をもつ化合物の利用は、低コストで可能な方法です。
耐熱性に優れる特殊エンプラも、分子構造中に剛直で化学結合が強い芳香族環や複素環を導入したものです。例として、ポリエステル系樹脂である、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBN)の特性を<表2>にまとめました。

<表2>材料間の熱的特性の比較

熱的特性 PET PEN PBT PBN
融点(℃) 265 272 227 245
ガラス転移点(℃) 75 119 22 76

 

結晶化による耐熱化は、ポリマーの結晶化により緻密な構造が形成され、分子間力が増大して分子運動が抑制されるためです。例として、<図2>に汎用プラスチックの代表である3つのポリエチレンの特性をみてみましょう。

<図2>ポリエチレン系の比較
<図2>ポリエチレン系の比較

ポリエチレン系樹脂は、比重が高くなるにつれて結晶化度が高くなり、融点や荷重たわみ温度も高くなっています。つまり、比重は結晶化度と比例関係にあり、結晶化に伴い耐熱性が向上することが分かります。
したがって、結晶性の高い液晶系ポリマーや立体規則性ポリマーなども耐熱性樹脂として用いられています。

まとめ

ここでは6つの特性別樹脂のうち、感光性樹脂と耐熱性樹脂についてご紹介しました他の記事では、プラスチック材料の物性測定についても分かりやすくまとめていますので、そちらもあわせてご参考ください。

こちらの記事もおすすめ(PR)