軽量で強度の高い繊維強化プラスチック(FRP)の基礎的な知識を解説~代表的なFRPの性質・用途、成形法

FRPとは、Fiber-Reinforced Plasticsの略で、ガラス繊維などの繊維と組み合わせることで強度を高くした繊維強化プラスチックの総称です。FRPは航空機や自動車などの乗り物から、ユニットバスなどの住宅設備機器まで幅広く使用されています。
この記事では、軽量かつ強度の高いプラスチック、繊維強化プラスチック(FRP)の種類・性質・用途をはじめ、それらの成形法を紹介していきます。プラスチックについての基礎知識や材料選定のポイントなどは、下記の記事で分かりやすく紹介していますので、そちらも合わせてご参考ください。

軽量かつ強度の高い「繊維強化プラスチック(FRP)」とは?

繊維強化プラスチック(FRP / Fiber-Reinforced Plastics)は、各種繊維と組み合わせた軽量かつ強度の高いプラスチックで複合材料として用いられています。

FRPはプラスチックよりも強度が高い

プラスチックは軽量で弾性率が低いという特徴があるため、単体では構造用材料として適していません。そこでガラス繊維など、各種繊維と組み合わせ、強度を高くした繊維強化プラスチック(FRP)が開発されました。

FRPは金属よりも比曲げ剛性が高い

<図1>によると、FRPのほうが各金属に比べて、比曲げ剛性が高いことが分かります。CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics/炭素繊維)においては鉄鋼やチタンよりも比強度が高いデータが示されています。

<図1>各種構造材料用材料の比強度・比曲げ剛性
成形加工(Vol20, No.10, p318(2008) 高橋淳)をもとに編集部が作成
<図1>各種構造材料用材料の比強度・比曲げ剛性
成形加工(Vol20, No.10, p318(2008) 高橋淳)をもとに編集部が作成



繊維強化プラスチック(FRP)の主な特徴

鉄よりも強い

鉄だけでなく、鉄よりも優れた力学特性(比強度・比曲げ剛性)を持ち難削材として知られるチタンと比べてもCFRPは優れた特性を示します<図1>。

アルミよりも軽い

軽金属の代表例として知られるアルミニウムの密度2.7g/cm3と比較しても、代表的なCFRPの密度は1.5~1.7g/cm3程度と相対的に小さな値です。

加工・成形エネルギーが少ない

密度が大きく・融点が高い金属材料に比べ、CFRPを加工・変形させるためのエネルギーは相対的に少なくなります。一方で、CFRPではシート状素材の加工が必須となるため、専用の装置設備が必要になります。

腐食に強い

金属と異なり、繊維とプラスチックの複合材料であるため腐食に強い(さびない)特徴があります。一方で、プラスチック特有の紫外線による光劣化の影響を受けるため、屋外使用の際はコーティング・塗装など施す必要があります。

電気絶縁性がある

繊維とプラスチックの複合材料であるため、基本的に電気絶縁性を有します。一方で、繊維の並び方(配向方向)に沿った方向とそれに直角な方向で導電率が大きく異なる(異方性)を有するため、異方性に起因する局所的なCFRP表面の帯電集中を防ぐ必要があります。代表的な例として、飛行機などのCFRP筐体の表面は、金属薄膜で覆われており、筐体全体に帯電を散らす対策がとられています。

環境面や人に優しい

軽くて強い特徴を持つCFRPが自動車や飛行機の筐体に多く適用されることで、安全性を損なわず、総重量軽減にて燃費向上が実現できます。燃費向上は、省資源化・温室効果ガスの排出低減に寄与します。


繊維強化プラスチック(FRP)の種類

繊維強化プラスチック(FRP)は、繊維と樹脂の組み合わせにより様々な種類が存在します。


・ガラス繊維強化プラスチック(GFRP/ Glass Fiber Reinforced Plastics)
 :ガラス繊維が浸透されたもので、ガラス繊維の持つ電波透過性に加え、難燃性向上が期待されます。

・カーボン繊維強化プラスチック(CFRP/ Carbon Fiber Reinforced Plastics)
 :カーボン(炭素)繊維が浸透されたもので、GFPRに対しより高強度化・軽量化が期待されます。

・ボロン繊維強化プラスチック(BFRP/ Boron Fiber Reinforced Plastics)
 :ボロン(ホウ素)繊維が浸透されたもので、軍事・防衛目的にて耐衝撃性向上が期待されます。

・アラミド繊維強化プラスチック(AFRP/ Aramid Fiber Reinforced Plastics) 
 ケプラ繊維強化プラスチック(KFRP/ Kevlar Fiber Reinforced Plastics) 
 ダイニーマ繊維強化プラスチック(DFRP/ Dyneema Fiber Reinforced Plastics) 
 ザイロン繊維強化プラスチック(ZFRP/ Zylon Fiber Reinforced Plastics):エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の繊維が浸透されたものです。エンプラの素材名が用いられているアラミド(芳香族ポリアミド)等がある一方で、商品名が一般化したデュポン社のケブラー(アラミド)、DMS社のダイニーマ(高密度ポリエチレン)、ダウ・ケミカルと東洋紡が共同量産化したザイロン(PBO:ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール)等 が存在し、それぞれのエンプラが持つ耐衝撃性や熱伝導性、難燃性といった特性向上が期待されます。


繊維強化プラスチック(FRP)の活躍が注目される分野

繊維強化プラスチック(FRP)は安価で軽量性や耐久性に優れることから、小型船舶の船体や、航空機、自動車・鉄道車両の内外装、ユニットバスや浄化槽などの住宅設備機器など幅広い分野で使用されています。
特に、<図2>にみられるように、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は自動車や航空機の低燃費化、軽量化の手段として、構造部品に利用され始めています。

<図2>CFRPの用途構成比(2015年)
<図2>CFRPの用途構成比(2015年)

 


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繊維強化プラスチック(FRP)の製造方法とマトリックス樹脂について

一般的な製造方法

繊維強化プラスチック(FRP / Fiber-Reinforced Plastics)の製造方法として、強化繊維と液状の樹脂を成形型によって賦形・硬化させる方法がありますが、取り扱いが難しく作業能率が悪いという欠点があります。
そこで、成形加工の前に樹脂に強化繊維等を混合した材料(プレミックス材、プリプレグ材)を用いるような、通常の熱硬化性プラスチック成形と同様な方法が考案されました。

※詳しい成形方法については後述<表2>~<表7>にて紹介しています


樹脂中に繊維を混入する方法

繊維の混入方法には大きく分けて2種類の方法があります。

A) 細かく切断した繊維(短繊維、長繊維)を均一に混合する方法
B) 連続繊維を一方向性を持たせたまま樹脂に浸潤させる方法

一般的に、Aはガラス繊維プラスチック、Bは炭素繊維プラスチックで用いることが多くなっています。

強度物性の点では、Bの連続繊維のほうが優れています。Aの不連続繊維では、材料内に発生するマトリクスクラックによる強度低下の課題があるためです。
しかし、Bの連続繊維を用いる場合、繊維に対して平行方向と直角方向では物性が異なる異方性を有するので、最終製品で要求される性能を得るためには、繊維層の並べ方や重ね方、異方性を解消しなければなりません。また、複数の繊維層を重ねる場合には繊維層同士の接着強度の検討が必要です。

マトリックス樹脂

FRPでは、強化される側を母材(マトリックス)と呼び、マトリックスには合成樹脂が用いられます。 FRPの形状や耐候性、耐久性等、求める特性によってマトリックス樹脂を選択しますが、大きく分けて、熱硬化性タイプと熱可塑性タイプがあり、補強材である繊維との組み合わせで、多種多様のものが開発されています。

熱硬化性樹脂

主に用いられているのはエポキシ樹脂です。金属と比較しても比強度や比剛性が高い特徴を持ちます。しかし、成形サイクルタイムが長く、リサイクル性に劣るため、成形時間短縮と高生産性を課題とした研究開発が進められています。

熱可塑性樹脂

射出成形やプレス成形に適しているため、成形サイクルタイムが短く、生産コストが安価で、リサイクル性もあります。しかし、熱硬化性樹脂に比べて強度が劣り、繊維への含浸が難しく、熱可塑性の生産性を維持したままいかに機械的強度を上げていくかを課題とした研究開発が進められています。

FRPに用いられる代表的な樹脂と特徴

マトリックスとして使用される代表的な樹脂と特徴、主な用途を<表1>にまとめました。


<表1>主に使用される樹脂と特徴と用途

マトリックス樹脂 特徴 用途
熱硬化性 エポキシ 寸法安定性良(硬化収縮小)、接着力良、強度特性良 スポーツ用品、車両、建材、航空機、風力発電のブレード、等
ビニルエステル
(変性エポキシ)
不飽和ポリエステルとエポキシの特性を併せ持つ。光硬化性あり 船舶、建材、浄化槽、車両、等
フェノール 難燃性、耐薬品性(酸・溶剤良/アルカリに劣) 、低コスト 建材、車輌、等
不飽和ポリエステル 硬化収縮が比較的大。耐薬品性良、低コスト、バランスの取れた特性 船舶、建材、浄化槽、車両、等
ポリイミド、ビスマレイミド 耐熱性 航空機、産業用ロボット、等
熱可塑性 ポリオレフィン 耐衝撃性、リサイクル性。強化繊維との接着性に課題 自動車部品、等
ポリアミド 耐衝撃性、耐熱性 自動車部品、等
ポリカーボネート 耐衝撃性、寸法安定性 各種筐体、等
ポリフェニレンスルフィド 耐熱性、耐薬品性 自動車部品、等
ポリエーテルエーテルケトン 耐熱性、耐衝撃性、耐摩耗性 航空機、各種摺動材、等

 

 

繊維強化プラスチック(FRP)の成形方法

繊維強化プラスチック(FRP)の成形の場合、
・樹脂が繊維に十分に行き渡らない
・繊維が樹脂に十分に充填できない
・含有させた繊維の異方性が原因で発現する成形品の歪み
・含有させた繊維が成形品表層に現れてしまう
などの問題が起こりうるため、これらに注意して成形加工する必要があります。

FRPの成形では、マトリックス樹脂の種類や繊維形態(連続繊維、不連続繊維)により、様々な成形法が用いられています。
代表的な成形法とその特徴、用途を説明していきましょう。


接触圧成形法

主に常温硬化型樹脂を用い、樹脂を含浸させたガラス繊維を成形型内に積層し、そのまま室温付近の温度で硬化させる方法です。無圧成形とも呼ばれています。 人手だけで行うハンドレイアップ法と、これをやや機械化したスプレーアップ法があります。

<表2>接触圧成形法による、主なFRP成形方法と特徴・用途

成形法 概要 特徴 備考(用途例)
ハンドレイアップ法 1つの型を用いて手作りで繊維に樹脂を含浸・加圧して積層成形するFRP成形の基本手法 多品種少量生産用。設備費が比較的安価。品質は作業者の熟練度に左右 ヨット、ボート、タンク、風力発電のブレード等、大きな物に適する
スプレーアップ法 繊維と樹脂をスプレーガンで型に吹付け、硬化後に離型する 少品種、ある程度生産量のある場合に適。製造費が比較的安価 タンク、浴槽、等

 

低圧成形法

接触圧成形法の改良技術として、1MPa以下の比較的低圧で成形する方法です。接触圧成形法の問題点を解決する方法として開発されました。

<表3>低圧成形法による、主なFRP成形方法と特徴・用途

成形法 概要 特徴 備考(用途例)
真空バッグ法 ハンドレイアップの改良。成形物を加圧するフレキシブルな型(バック)を用いて減圧膨張させて成形する 成形品の表面平滑性の向上や繊維含有量の増加などを目的とする 一般製品ではなく、主に特殊用途製品
加圧バッグ法 ハンドレイアップの改良。真空バッグ法よりもさらに高圧でバッグ面を加圧する 成形サイクルの短縮が可能。設備費が比較的高価 ヘルメット、等

 

 

高圧成形法

成形に金型を用いて1~30MPaの高圧で成形する方法です。

<表4>高圧成形法による、主なFRP成形方法と特徴・用途

成形法 概要 特徴 備考(用途例)
マッチドダイ法 プレス機に取付け、加熱した金型に繊維のプリフォーム(予備成形品)又はマットをセットし樹脂を注入して型締硬化する 特殊な金型(マッチドメタルダイ)を用いる。SMC法が主流となるまでは、各種製品成形で利用 複雑形状は困難かつ、成形品の大きさも限定。水槽、浴槽等の機械的強度が要求される製品で現在も利用
BMC法 パテ状の成形材料(BMC)を用いて射出成形、圧縮成形、トランスファ成形により賦形する 製造費が比較的安価 洗面台等の住宅材、電動工具や電気構造部品、音響機器部材、等

 

 

連続成形法

適度な厚みのシート状に展開後、成形していく方法です。

<表5>連続成形法による、主なFRP成形方法と特徴・用途

成形法 概要 特徴 備考(用途例)
SMC法 シート状の成形材料(SMC)を用いて圧縮成形方法により賦形する ・ 各FRP成形法の欠点である作業性の悪さを改善

・ SMCの製造工程と圧縮成形工程とに分けられる

切削加工用の各種板材。住宅関連製品、自動車部品、航空・通信機器、等
引抜法(プルトルージョン法) 連続繊維に樹脂を含浸させ、型の中で連続して硬化させた後、引張機で連続的に引抜く成形法 特に軸方向の強度が大きい一定の断面形状の製品が得られる。少量生産には不向き 丸棒、平板、角柱等の構造部材や建築部材
フィラメントワインディング法(FW法) 回転するマンドレル(芯金)の外側に連続繊維の束(ロービング)に樹脂を含浸したものを巻きつけ加熱硬化後にマンドレルを引き抜いてパイプ状のものを成形する ・FRP製品中で最も比強度が大きく、自動化が可能、ロービングを使用するため材料費が安価

・製品形状が回転体に限られ、また設備費が高価

高圧ガス容器、液体輸送用パイプ、等
シートワインディング法(SW法) フィラメントワインディング法の変法。回転するマンドレルにはシート状の繊維に樹脂を含浸したもの(プリプレグ)を巻きつけて成形する FW法に比べて小型品の成形に適する ゴルフシャフト、釣竿、ロール、ロボットハンド等

 

 

射出成形法

射出成型機に熱可塑性樹脂と繊維を分散して強化している射出成形用のペレットを充填し、溶融した樹脂を高圧で金型に射出して成形する方法です。

<表6>射出成形法による、主なFRP成形方法と特徴・用途

成形法 概要 特徴 備考(用途例)
射出成形 射出成形の場合、繊維長を維持したまま、いかに繊維の分散性を上げるかが課題となる 長繊維を用いる場合、繊維が折損しない射出成形機用スクリューが必要 電子・電材用部品
連続繊維GF/PPによる自動車部品
インサート射出成形 連続繊維圧縮成形品をインサート材として長繊維の射出成形するハイブリッド成形方法
成形型内で樹脂同士が融着し統合された成形品が得られる
成形体の部分的補強や複雑なデザインの成形が可能 意匠性に富む成形品

 

プレス成形法

シート状の繊維を重ねてプレスし、成形する方法です。

<表7>プレス成形法による、主なFRP成形方法と特徴・用途

成形法 概要 特徴 備考(用途例)
プレス法 シート状の繊維に樹脂を含浸したもの(プリプレグ)を所定枚数重ねて熱プレスして成形する 成形サイクルが比較的短いが、設備費が高価 切削加工用の各種板材
ハイブリッド一体プレス成形 連続繊維シートと不連続繊維シートを重ね合わせ、ホットプレスで一体成形する 内面に不連続繊維によるリブ/ボス構造等、表層には複雑なデザインの成形が可能 意匠性に富む成形品

 

 

まとめ

ここでは、代表的な繊維強化プラスチック(FRP)について解説しました。他の記事では、プラスチック材料の物性測定についても分かりやすくまとめていますので、そちらもあわせてご参考ください。

 


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※2019年11月27日:加筆修正し再アップ
※2018年08月01日:初回公開


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