熱硬化性樹脂の基礎知識~物性と成形法などを一覧で紹介

この記事では熱硬化性樹脂についてご紹介します。熱硬化性樹脂の5つの特徴や熱可塑性樹脂と異なる点、そしてその成形法はどのようなものでしょうか?さらに、代表的な熱硬化性樹脂については、特徴や用途、メーカーなどを一覧にまとめています。

以下の記事でも樹脂材料についてご紹介していますので、あわせてご参考ください。

熱硬化性樹脂の特徴とは?

<写真1>熱硬化性樹脂の使用例 食器
<写真1>熱硬化性樹脂の使用例 食器

20世紀初頭に発見されたベークライトは世界初の熱硬化性樹脂として知られています。それ以後、熱硬化性樹脂(Thermoset (polymer / resin))は、電気材料、日用品材料として熱可塑性樹脂に先行して使用されてきました。
成形加工の能率に劣るため熱可塑性樹脂に比べて生産量は小さいものの、その物性が着目され、独自の利用分野を確立しています。

熱硬化性樹脂の特徴

熱可塑性樹脂と比較した際の以下の5つの特徴により、構造材料、電気絶縁材料、耐食材料、耐熱材料、積層材料として活用されています。

(1) 成形材料の基材として用いられる場合が多い
(2) 耐熱性、機械的性質、電気的性質、硬さ、寸法性度に優れるものが多い
(3) 樹脂組成の大幅な変更が可能であり、補強材、充填剤の利用域も大きい
(4) 設計の自由度が大きく、金属の挿入や他の素材との一体成形が容易である
(5) 三次元構造を形成するため、加熱しても溶融しない

熱可塑性樹脂と大きく異なる点

熱硬化性樹脂は成形加工時の加熱によって、「硬化」という不可逆反応を起こします。そのため、再加熱しても元の形状に戻らない点で、熱可塑性樹脂と大きく異なります。また、成形加工法では熱可塑性樹脂と異なる方法も用いられています。次の章で具体的に見ていきましょう。

熱硬化性樹脂の成形法

熱硬化性樹脂の場合は、成形材料を加熱することで架橋反応を起こし硬化させるので、熱可塑性樹脂の成形法とは異なる点があります。

熱硬化性樹脂の成形法では、基本的に、流動性を備えた状態で適切な圧力を加えて、樹脂原料が成形型に十分に行き渡るようにする必要があります。

成形用熱硬化性樹脂を選定する際に気をつけるべき5つのポイント

(1) 材料の熱伝導がよく流動性が良い
※以下の場合において、流動性が大きくなる傾向がある
・樹脂量が多いとき
・樹脂がプレポリマー状態のとき
・充填剤の粒度が比較的小さいとき
(2) 加熱時の発生ガスが少ない
(3) 硬化速度が速い
(4) 離型性がよい
(5) 収縮率が小さい

熱硬化性樹脂の成形パターン

熱硬化性樹脂の成形パターンは、以下の3種類に大別することができます。

A) 熱をかけて流動させ、熱によって次第に硬化させる方法
B) 低粘度樹脂と硬化剤を混合したものを金型に注入して硬化、賦形する方法
C) 低粘度樹脂をガラス繊維などの強化材に含浸させたものを硬化、賦形する方法
具体的には<表1>のような成形方法が用いられています。

<表1>:熱硬化性樹脂の成形法

成形方法 概要
トランスファー成形 樹脂原料を予め加熱室内で軟化させてから、成形金型に移動させて硬化させる
射出成形 樹脂原料を成形機シリンダ内で加温して流動性を与え、樹脂原料の硬化温度に設定してある成形金型内に射出する
注型成形
(キャスティング)
液状の成形材料を目的とする形状の型に流し込み、硬化させる※熱可塑性樹脂でも用いられる
圧縮成形 樹脂原料と目的に応じて適当な充填材などを配合して、金型中に入れて押型により加圧して成形する
積層成形 樹脂原料を含浸させた紙や布などを適当枚数重ねて、加熱・加圧して硬化させる

他にも、FRPの成形方法として、ハンドレイアップ法、スプレイアップ法、フィラメントワインディング法、引抜き成形法、シートモールドコンパウンド法、バルクモールドンパウンド法、レジントランスファ法などがあります。

 

代表的な熱硬化性樹脂の種類と特徴

代表的な熱硬化性樹脂の種類と特徴、更にそのメーカーについて<表2>にまとめています。

<表2>:主な熱硬化性樹脂

名称 記号 主な特徴 主なメーカー(商品名)
フェノール樹脂 PF
  • 高い電気絶縁性を持つことから、電子部品や半導体に使用される
  • 耐熱性、断熱性、難燃性を有する
住友ベークライト、日立化成工業、日本合成化工、パナソニック
ユリア樹脂
(尿素樹脂)
UF
  • 尿素とホルムアルデヒドを原料とした樹脂
  • 耐熱温度は90℃で、安価で燃えにくい
  • 無色透明で着色性が良い
パナソニック
メラミン樹脂 MF
  • メラミンとホルムアルデヒドとの縮合反応物
  • 電気特性・機械強度・耐燃性・着色性等に優れた性質を有する
  • 耐熱性がユリア樹脂より高い。耐水性・耐薬品性に優れるので、主用途はコンパネ用接着剤
  • 近年フェノールとの変性技術が開発され、電気・電子部品での用途が拡大した
住友ベークライト、台和、パナソニック
エポキシ樹脂 EP
  • 接着剤や塗料としての用途で優れた特性を発揮する
  • 高い電気絶縁性はプリント基板や電子部品の塗料として最適
三菱化学、新日化エポキシ製造、日本エポキシ樹脂製造、DIC
不飽和ポリエステル樹脂 UP
  • プラスチック製品の原料として幅広く使用されている
DHM、ジャパンコンポジット、日本ユピカ
ポリウレタン樹脂 PUR
  • ウレタン結合を有する樹脂の総称。大きく分けて2つのタイプがある

I.「フォームタイプ(硬質/半硬質/軟質)」:成形時に発泡させる。樹脂の弾性によっても区別される

II.「非フォームタイプ」:成形時に発泡させない

ケムチュラ(アジプレン)
ジアリルフタレート樹脂 DAP
  • 電気絶縁性と寸法安定性に優れる
  • 高温・高湿度下における絶縁抵抗の変化が熱硬化性樹脂の中で最も少ない
住友ベークライト、ダイソー
シリコーン樹脂 SI
  • 優れた耐熱性や絶縁性に加えて、低毒性であるため、広範囲な分野で使用される
  • 耐寒性にも優れ-100℃~250℃という幅広い範囲で熱安定性を示す
信越化学、カネカ、東レ・ダウコーニング、モメンティブ
アルキド樹脂 ALK
  • ポリエステル樹脂の一種
  • 安価で使いやすく塗料用樹脂として最も広く使用される
  • 防食分野ではフタル酸樹脂塗料とも呼ばれる
DIC(旧:大日本インキ化学工業)、大日本塗料

 

まとめ

ここでは熱硬化性樹脂の特徴や成形法、代表的なものの特徴やメーカーについてご紹介しました。他の記事では、プラスチック材料の物性測定についても分かりやすくまとめていますので、そちらもあわせてご参考ください。


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