よく用いられる金属接合の1つ、材料的接合の手引き~具体的な加工方法、原理、特徴、用途を詳しく解説~

はじめに

この記事では、よく用いられる接合加工の1つである「材料的接合」について、具体的な加工方法、原理、特徴、適用例を詳しく解説します。

接合加工は、いくつかの素部品から成る複雑な部品製作時や部品を寄せ集めて機械を組み立て時に必要ななくてはならない重要なプロセスです。接合加工には、接合の原理ごとに「材料的接合」・「化学的接合」・「機械的接合」があり、これらについては他の記事で紹介しています。

また、以下の記事では、金属加工の種類やそれぞれの特徴についてまとめています。こちらも合わせてご参考下さい。

それでは、「材料的接合」のなかでもよく用いられる溶接、液相接合、固体接合に絞って、詳しく見ていきましょう。

溶接は、「アーク溶接」、「ガス溶接」、「抵抗溶接」、「レーザ溶接」の4種類に分類ができる~それぞれの原理、特徴、用途について~

<写真1(イメージ)>に示す溶接は、母材を溶融させて接合するものです。①アーク溶接、②ガス溶接、③抵抗溶接、④レーザ溶接の4つの溶接方法に分類できます。

金属溶接の様子
<写真1>溶接(イメージ図)

①アーク溶接

アーク溶接は、電源から供給される電力によって溶接物と電極間にアークを発生させ、そのアーク熱(約6,000℃)を利用して金属を溶融接合する方法です。
<図1>にアークの構造を示します。アーク溶接機と電極、溶接母材は導線により接続されます。電極と母材の間でアークが発生し電流が流れ、発熱する構成です。アークの発生により2つ接合母材と電極は溶融し、溶融池を形成します。アークが移動すると溶接部が冷却し、接合が完了します。

機械構造板材、自動車のフレーム、電子機器の筐体フレームに用いられやすいアーク溶接・アーク隅肉溶接の構造図
<図1>アーク溶接の構造

アーク溶接は、自動化しやすい長所を活かし多くの自動化装置も普及しています。一方で、溶接条件によって、加工後の金属層変質や熱による変形が生じやすいといった短所もあります。大型から小型までの種々の機械構造板材、自動車のフレーム、電子機器の筐体フレームの溶接などに広く使用されています。

②ガス溶接

<図2>にガス溶接の手作業用ガス溶接トーチを示します。通常、アセチレンガスに酸素を溶接トーチ内で混合し、先端の火口にて吹き出し燃焼させます。外炎中心部の温度は約3,000℃となります。母材と溶接棒はガスの高温にさらされ溶融池を形成し、母材が接合されます。

鉄鋼、ステンレス鋼、チタンに用いられやすいガス溶接トーチの構造図
<図2>ガス溶接トーチ

ガス溶接は、手作業用ガス溶接トーチが普及しているように、小型化が可能であり、手元作業による狭い領域での溶接に向いている一方で、溶接品質が作業者の技能に左右されやすく、またガスの取扱いが注意を要するといった気を付けるべき点が存在します。ガス溶接は装置が広く普及している溶接方法であり、鉄鋼、ステンレス鋼、チタンの溶接に広く使用されています。

③抵抗溶接

<図3>に抵抗溶接機の構成を示します。2枚の母材を重ね合わせ、上下の電極で加圧しながら大電力を通電します。このとき、加圧された母材の間の電気抵抗による発熱(ジュール熱)で溶融して接合が行なわれます。したがって、加圧された部分のみが溶接されることになります。多くの装置では電極がステージ移動するため、溶接部分が線状になることが特徴です。また、溶接部に発生する熱量は電流、母材間の抵抗、通電時間に依存します。

自動車ボディーに用いられやすい抵抗溶接機の構成
<図3>抵抗溶接機の構成

一方で、連続溶接でなく、間隔をあけて電極で挟み溶接するスポット溶接と呼ばれる方式もあります。この方式では、全体の入熱量が小さくなるので、溶接によるひずみが小さくなる利点があります。また、間隔を開けて溶接するので作業能率も優れています。いずれにせよ抵抗溶接は簡便な手法であり、スポット溶接は自動車のボディー製作などに広く用いられています。

④レーザ溶接

レーザ溶接は、レーザ光を集光した状態で金属面に照射し、金属を局部的に溶融・凝固させることで接合を行ないます。溶接金属部の酸化を防ぐために、通常アルゴン、ヘリウム、窒素などのシールドガスを溶接金属部へ吹き付けます。<図4>にレーザ溶接の主な構成を示します。レーザ発振器から光路・集光系を経て絞られたレーザ光がワークに照射されます。<図4>は「突き合わせ溶接」と呼ばれるもので、ワーク2枚の接触部にレーザ照射し、金属を溶接する模式図です。

小型精密機械部品に用いられやすいレーザ溶接の構成
<図4>レーザ溶接の構成

金属材料の溶接に用いられる光源は、主にCO2レーザとYAGレーザです。通常、溶接部の厚さが1mmを超えるものは、高出力であるCO2レーザが利用されます。最近では、CO2レーザも50 kW級の発振器が開発されており、板厚10 mmを超える厚板溶接も適応できるようになっています。また、YAGレーザでも、10 kW級の発振器が開発され、溶接部の厚さが1mmを超えるものでも溶接が可能になってきています。
アーク溶接の長所は、微細な溶接が可能であることです。その長所を活かし、小型精密機械部品溶接に用いられています。また、自動車ボディー溶接、アルミニウム薄板(0.3mm5mm)を用いる鉄道車両アルミニウム合金車体の溶接にも用いられています。

液相接合は、「ロウ付け」と「ハンダ付け」の2種類に分類ができる~それぞれの原理、特徴、用途について

液相接合では、母材ではなく、接合物質を溶融させて母材を接合します。接合物質に注目すると、①ロウ付け、②ハンダ付けの2つの方法がよく知られています。

①ロウ付け

ロウ付けでは、接合する部材(母材)を熱して、部材の間に融点の低い合金(ロウ)を溶かして流し込みます。その後、ロウが冷却することで、母材自体を溶融させずに部材を接合することができます。<図5>にT字管とパイプのロウ付けの模式図を示します。

異金属同士の接合に用いられやすいT字管とパイプのロウ付け概要図
<図5>T字管とパイプのロウ付け

手作業の場合を例に、「ロウ付け」作業手順(1)~(5)を示します。

(1) 酸化膜の除去
部材の接合面の酸化膜・汚れをヤスリなどで除去し、金属母材を露出

(2) フラックス塗布
高温による母材表面の酸化を防止。ロウの濡れ性を確保

(3) 組立
被接合部材を組み立て、加熱した後、接合部にロウを押し付けて溶かします。ロウを接合面全体に行き渡らせる

(4) 徐冷
空気中に放置しゆっくり冷却

(5) 汚れ除去
フラックス・酸化膜除去

被接合材の加熱には、ガストーチ、電気ヒーター、電磁誘導加熱(IH)を用います。誘導加熱によるロウ付けは、温度が安定し、作業が安定しやすいメリットがあります。また、ロウ付けは、異種金属同士の接合にも用いられています。自動車のラジエータなどの熱交換機には、アルミロウ付けが使用されています。

②ハンダ付け

ハンダ付けでは、接合する部材(母材)の間と周辺に融点の低い合金(ハンダ)を溶かして付着させます。その後、ハンダの濡れ性と表面張力で接合部の形状が維持された状態で、冷却して接合することができます。ハンダには、材料組成や形状によって様々な種類が存在します。
材料組成に注目すると、特に電気基板のチップ部品等の実装には鉛を含む共晶はんだが使われていました。1990年代に入り、廃棄された家電製品などのハンダ付け材料(実装基板)から、鉛が溶け出し地下水を汚染する問題が生じました。そのため、2000年以降、鉛を含まない「鉛フリーはんだ」が開発され、日本では現在生産されている電子機器など一般的な製品には鉛フリーハンダが使用されています。

共晶ハンダ
Sn(錫)63%とPb(鉛)37%の合金です。Sn(錫)の融点は232℃、Pb(鉛)の融点は327℃ですが、共晶ハンダの組成にすると融点は183℃と低くなり、ハンダ付け作業がやりやすい特徴があります。

鉛フリーハンダ
鉛を含まないハンダを総称しています。Sn(錫)に他の金属がプラスされた様々な合金組成が開発されています。一般的な組成として、Sn(錫)にAg(銀)3%・Cu(銅)0.5%を添加した合金があります。この組成の融点は約220℃で、共晶はんだに比べると高くなります。鉛フリーハンダの他の組成に比べ、信頼性が高いという理由から電子情報技術産業協会 (JEITA) が標準組成として推奨しているため、広く普及しています。

形状に注目すると、糸ハンダ、クリームハンダ、棒ハンダがあります。ハンダ付けの設備に応じて使い分けられます。

A)糸ハンダ
ハンダゴテを使い電子部品をハンダ付けする際に使用。線材状。糸はんだの中にはフラックスが入っています。

B)クリームハンダ(ハンダペースト)
電気基板に部品をハンダ付けする表面実装技術(SMT)で、プリント基板のランド上にハンダを印刷する場合に使用されます。粒状のハンダ合金と液体のフラックスが混ざり合うことでクリーム状なっています。基板上に印刷し、その上にチップ部部品を置き、炉で加熱してハンダ付けを行います。<図6>にチップ部品の基板実装模式図を示します。(a)はプリント基板にハンダペーストを印刷し、その上にチップ部品を載せた状態です。(b)は加熱炉を通過した後の状態を示します。ハンダはチップ部品とパターンを接合しています。

ハンダ付けをする際のチップ部品の基板実装模試図
<図6>チップ部品の基板実装模試図

C)棒ハンダ
電気基板の孔に部品の脚を挿入してはんだ付けする挿入実装技術(IMT)で、ハンダ(フロー)槽に投入して使用します。はんだ槽には溶融したハンダが満たされています。挿入された部品の端子と基板のランドとをハンダ上面に触れさせ、ハンダを吸引してはんだ付けします。

ハンダ付けは、低温での接合ができる(鉛フリーハンダで220℃)長所がありますが、機械的強度が低く、基板実装において熱履歴による疲労破壊に注意が必要です。銅・アルミ線材の接合や電子機器の表面実装部品のハンダ付けとして広く使われています。

今後急速な普及が見込まれる固相接合~原理・特徴・使用例について~

固相接合は、溶融や液相接合とは異なり、物理的な手段で母材の界面を消失させることで接合を行います。固相接合としてよく知られている摩擦攪拌接合(FSW:Friction Stir Welding)は、 1991年に英国のTWI(溶接研究所)が発明した新しい技術です。
<図7>に接合原理の模式図を示します。ショルダーの中央にプローブと呼ばれる突起を有する工具を高速回転させながら、強い力で押し付けプローブを接合させる部材(母材)の接合部に貫入させます。ツール・ショルダ・プローブの高速回転による摩擦熱で母材を軟化させるとともに、回転力によって接合部周辺を塑性流動させて元々の界面を消失させ接合します。プローブの長さは板厚より0.1から0.2mm短くショルダー径は板厚に応じて変える必要があります。

摩擦撹拌接合(FSW)の原理図
<図7>摩擦撹拌接合(FSW)の原理図

接合可能な部材は、軟化温度が比較的低い金属となります。アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン、銅、亜鉛が主ですが、その適用範囲は工具形状、工具材質や接合装置などの改良を繰り返し拡大しています。

また、アルミニウムやマグネシウムをはじめとした非鉄金属の材料特性については他の記事で詳しく紹介しています。そちらも合わせてご参照ください。

アーク溶接と比較した場合の摩擦攪拌接合の特徴を<表1>に整理しました。摩擦攪拌接合は、これから急速に普及する接合方法と考えられます。現在の使用例として、航空機エンジンチタン製ファンブレード、アルミ製鉄道車両、アルミ製ロケット推進剤タンク、自動車のアルミ製サブフレームが知られています。

<表1>摩擦攪拌接合(FSW)の長所・短所 (比較対象:アーク溶接)
長所 短所
①接合部の熱影響を抑制 (部材の融解を伴わない)
・接合部の強度低下が小さい
・接合後の変形が小さい
・欠陥・割れが発生しにくい
①複雑な形状の部材を接合するのに不向き
②異種金属接合が比較的容易 ②利用可能な材質や板厚に制限がある
③ヒュームやスパッタ―が発生しない(仕上げがきれい) ③攪拌不良や気泡発生等の欠陥検出が困難

まとめ

本記事では、「材料的接合」のなかでもよく用いられる①溶接、②液相接合、③固体接合に絞って、詳しく解説しました。なお、溶接や固体接合は、試作対象によっては装置が大型化し、加工精度・安全性確保が重要なポイントになります。そのため、設備メーカや専門の試作業者に相談したうえで検討を進めることをお勧めします。

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