初心者向け!押さえておきたい金属接合の基礎知識~接合加工の種類、特徴、用途を分かりやすく解説~

はじめに

この記事では、各種接合方法について原理、特徴、金属部品への適用例全般を分かりやすく解説します。

接合加工とは「部品を接合して所定の形状を作る」ことです。接合加工は機械の製作過程の中で、いくつかの部品から成る複雑な部品製作時と機械組み立て時に使用されます。接合には、接合後分離できない接合と、ねじ固定のように分離できる接合があります。多くの部品ではメンテナンスを考慮し、必要部分を分解修理できる接合を採用しています。

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金属の接合加工は、材料的接合、化学的接合、機械的接合の3種類に分類できる

接合加工は、接合原理別で材料的接合、化学的接合、機械的接合の3種類に分類できます。さらに、接合方法別に<表1>のように分けられます。

 

(1)材料的接合

①アーク溶接、レーザ溶接などの母材を溶融させて接合する溶融接合
②ロウ付け、ハンダ付けなどの母材は溶融せず、ロウやハンダ自身が溶融して接合する液相接合
③摩擦溶接は母材を溶融せずに塑性により接合境界面をなくし接合する固相接合

(2)化学的接合

界面に働くファン・デル・ワールス力やくさび効果で2表面を接合する接着

(3)機械的接合

母材間の材料的な結合ではなく、ねじ固定圧入カシメ等による接合

 

<表1>金属加工の分類

接合原理 接合方法
金属の接合加工 材料的接合 溶融接合(溶接)
液相接合(ロウ付け/はんだ付け)
固相接合(摩擦攪拌接合(FSW))
化学的接合 接着
機械的接合 ねじ固定
圧入
焼嵌め(やきばめ)
カシメ

それでは、それぞれの接合方法を詳しく見ていきましょう。

材料的接合の原理、特徴、および金属部品への適用例

1 溶融接合(溶接)

溶接は母材を溶融させて接合する原理で、種々の溶接方法があります。<表2>に主な溶接法の種類、溶接原理、特徴、用途を示します。溶接技術の進歩はめざましく、ざっと数えただけで20種類以上の重要な溶接法がありますが、実験にも使用でき、かつ工業的にも普及しているのは<表2>に記述した4方式が知られています。

<表2>溶接の種類と特徴

# 種類 溶接原理 特徴 用途
1 アーク溶接
  • 溶接物と電極間にアークを発生させ、アーク熱(約6,000℃)を利用し金属を溶融接合
  • 広く普及している溶接方法、自動化しやすい
  • 加工変質層、変形が生じやすい
  • 大型から小型までの種々の機械構造板材
  • 自動車のフレーム
  • 電子機器の筐体フレーム 等
2 ガス溶接
  • 酸素を混合させたアセチレンガスを燃焼させ、外炎中心部の温度を約3000℃とした状態での金属の溶融接合
  • 広く普及している溶接方法
  • 鉄鋼
  • ステンレス鋼
  • チタン
3 抵抗溶接
  • 2枚の母材に大電力を通電し、抵抗による発熱で金属を溶融して接合する
  • 上下の電極を丸棒状にしてワークを挟み、大電力を通電し溶接するスポット溶接がある
  • 自動車のボディー(スポット溶接)
4 レーザ溶接
  • レーザ光を照射し金属を局部的に溶融・凝固させることによって接合
  • レーザ発振器として大出力化が進んでいるCO2レーザとYAGレーザが用いられやすい
  • 微細な溶接が可能
  • 小型精密機械部品
  • 自動車ボディー
  • アルミニウム薄板(0.3mm 5mm)
  • 鉄道車両アルミニウム合金車体

2 液相接合(ロウ付け、ハンダ付け)

ロウ付けとハンダ付けは、母材は溶融せず、ロウ、ハンダ自身が溶融して接合する液相接合に分類されます。したがって自身の融点は、接合する母材の融点より低く、ロウ付けの銀ロウ使用の場合で650℃程度、ハンダ付の鉛フリーハンダで220℃程度になります。
<表3>に ロウ付け・ハンダ付けの原理・特徴・用途を示します。

<表3>ロウ付け・ハンダ付けの原理・特徴・用途

種類 原理・方法 特徴 用途
1 ロウ付け
  • 接合する部材(母材)を熱し、部材の間に融点の低い合金(ロウ)を溶かして流し込む。一種の接合剤として用いることで、母材自体を溶融させずに部材を接合
  • シート状のロウを接合面間にはさみ加熱し接合する方式もある
  • ロウの種類と接合可能な材料<銀ロウ>
    主成分は銀、銅、亜鉛。ステンレス鋼・鉄鋼のロウ付け<銅ロウ・黄銅ロウ>
    主成分は銅と亜鉛。黄銅・銅のロウ付け
  • 自動車の熱交換機部品
  • 銅とアルミ二ウム板の接合
  • 配管
  • 加工工具
  • ハニカムパネル 等
2 はんだ付け
  • 接合する部材(母材)の間と周辺に融点の低い合金(ハンダ)を溶かして付着させる。ハンダの濡れ性と表面張力で形状を維持した状態で、冷却して接合
  • 母材自体を溶融させずに部材を接合可能
  • 低温での接合ができる(鉛フリーハンダで220℃)
  • 機械的強度は低い
  • 基板実装にて熱履歴による疲労破壊に注意が必要
  • 銅・アルミ線材への接合
  • 電子機器の表面実装部品

3 固相接合(摩擦撹拌接合(FSW))

摩擦攪拌接合(FSW:Friction Stir Welding)は 1991年に英国のTWI(溶接研究所)が発明した接合技術としては新しい技術です。<図1>にFSWの模式図、<表4>に原理・特徴・用途を示します。

<図1>摩擦撹拌接合の原理図
<図1>摩擦撹拌接合の原理図

<表4>FSWの原理・特徴・用途

種類 原理・方法 特徴 用途
FSW
  • 接合させる母材同士の接触部に、丸棒上のツールを押し付けながら高速回転させる。摩擦熱で母材が軟化し、回転力によって接合部周辺が塑性流動する。これにより元々の接触部界面が消失し接合する
  • 接触部ラインに沿ってツールを移動させ溶接
<長所>

  • ①部材の融解を伴わない為、接合部の熱影響を抑制可能
    •  接合部の強度低下が小さい
    •  接合後の変形が小さい
    •  欠陥、割れが発生しにくい
  • ②異種金属接合が比較的容易
  • ③ヒュームやスパッターが発生しない(仕上げがきれい)

<短所>

  • ①複雑な形状の部材の接合には不向き
  • ②適用可能な材質や板厚に制限あり
  • ③攪拌不良や気泡発生等の欠陥検出が困難
  • 鉄道車両アルミ製車体
  • アルミ製ロケット推進剤タンク
  • 自動車のアルミ製サブフレーム
  • 航空機エンジンチタン製ファンブレード

以下の記事では接合の中でも、材料的接合に絞って、より詳細にまとめています。こちらも合わせてご参考下さい。

化学的接合(接着)の原理、特徴、および金属部品への適用例

世の中で広く知られている「接着」は接合面にファン・デル・ワールス力、アンカー効果などで強力に密着し、接合させる方法で化学的接合に分類されます。接着剤の種類は古くから使われている漆などを含めれば膨大な種類があります。ここでは、金属接着で工業用途に関する主な接着剤を取り上げます。

1 接着剤の種類と特徴

<表5>に主な金属用工業用途の接着剤の硬化原理、特徴および用途を示します。

<表5>接着剤の種類と特徴

種類 原理 特徴 用途
1 嫌気性接着剤
  • 空気(酸素)の遮断と金属との接触により硬化
  • 金属同士の接着では、金属表面に挟まれて空気が遮断されると硬化
  • 1液性 取り扱い容易
  • 常温、短時間で硬化
  • ほとんどの金属を接着
  • 金属の種類により硬化速度、強度が異なる
  • ねじのゆるみ止め
  • スキマはめ合い部の固着
2 紫外線硬化型接着剤
  • 照射される紫外線のエネルギーにより、短時間に重合硬化
  • 紫外線の照射された部分のみ硬化
  • 1液性で扱いやすい
  • 硬化速度が速い
  • 紫外線照射のみで硬化するので塗布工程の制限少ない
  • ガラス対ガラス
  • ガラス対金属
  • 突き合わせ接着
  • すみ肉接着
3 瞬間接着剤
  • 被接着材の表面の水分と反応し重合・硬化
  • 常温硬化
  • 1液性
  • 接着力良好
  • 種々の材質を接着可能
  • 耐候性に乏しい
  • 種々の材質の接着に有効
  • 工業用途には評価が必要
4 弾性接着剤
  • 材質はシリコンゴム系。空気中の湿気と反応し硬化。通常24時間で実用強度となる
  • 硬化物はゴム状弾性体
  • 硬化時の収縮ひずみが小さい
  • 振動衝撃を吸収
  • 耐熱性に優れる
  • 電気、電子機器、医療機器の接着・シール
  • 家庭用品の接着・シール
  • 金属・プラスチック・ゴムの接着
  • 各種シール

2 エポキシ系接着剤

2.1 エポキシ系接着剤の長所
エポキシ系接着剤には、①機械的強度大、②接着性良好、③硬化字の収縮小、④耐熱性良好、耐薬品性良好等の優れた長所があるため、比較的軽量の精密機械など工業用用途によく使われています。
エポキシ接着剤には1液性と2液性があります。<表6>に1液性と2液性エポキシ系接着剤とその特徴を示します。

<表6>エポキシ系接着剤の硬化原理・特徴・用途

種類 原理 長所 短所 用途
1 液性エポキシ接着剤
  • 液状の本剤に固形の硬化剤が配合されており、加熱することで両者が反応し硬化
  • 1液性 取り扱い容易
  • 硬化剤の混合作業無し
  • 被接着部品間の隙間に浸込み塗布可能
  • ロボット塗布容易
  • 硬化に加熱が必要
  • 工業用製品の金属接着
  • 精密機械のスキマはめ合い部の固着 玉軸受け内外輪固定等
2 液性エポキシ接着剤
  • 液状の本剤と硬化剤を所定の配合比を混合することにより硬化
  • 室温硬化する
  • 耐薬品性・電気絶縁性に優れる
  • 硬化剤の混合作業あり
  • 硬化剤混合後の使用時間制限有り
  • 各種製品の金属接着

以下の記事では、よく詳しく接着剤について解説しています。

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機械的接合の原理、特徴、および金属部品への適用例

1 ねじ固定

ねじ固定は主に機械の組み立て時に使用されます。製品として完成後のメンテナンス時や故障時にねじを外して分解できるので、その必要のある個所はねじ固定が適用されます。
ねじ固定にはボルト・ナット固定、ボルト固定、タッピング固定があり、<表7>にそれぞれの原理・特徴・用途を示します。

<表7>ねじ固定の原理・特徴・用途

種類 原理 特徴 用途
1 ボルト・ナット固定
  • ボルト・ナットで2部品を締め付け接合
  • 接合する2部品にはボルト径より大きい穴(ボルト穴)をあけておく。ボルトをボルト穴に通しナットで締め付ける
  • 一般的で安価な接合方法
    •  ボルト・ナットは標準品・大量生産で安価
    •  接合する部品にボルト穴さえあけておけば固定可能
  • 機械のメンテナンス時にはボルトナットを外すことで容易に分解可能
  • パイプのフランジ接続
  • 形鋼や板鋼構造物 (送電線用鉄塔 等)
  • 各種機械全般
2 ボルト固定
  • 接合する2部品の一方にボルト穴をあけ、他方に雌ねじを切りボルトで固定
  • ナットの使えない個所への固定方法
  • 機械のメンテナンス時に容易分解が容易
  • 各種産業機械
  • 計測機械、工作機械などの精密機械
3 タッピングねじ固定
  • 1枚目の板にねじ穴、2枚目の板にねじより小径の穴をバーリングにてあけておき、両者を重ねてタッピングネジで固定
  • タッピングネジはバーリング穴にねじを切りながらねじ込み、2部品を固定
  • ねじ加工不要なので、板材の接合が安価にできる
  • 多数回の組立分解は強度信頼性が落ちる
  • 作業能率が良い
  • 一般機械のカバー取り付け
  • 家電品のカバー取り付け

2 圧入

圧入は主にシャフトと円盤状部品の接合に使用されます。このような形状の部品を一体で加工すると、削る部分が多く加工に時間がかかると同時に材料費も高価になります。また、シャフトは硬い鋼材で作り、円盤部は軽いアルミニウム合金で作るといったことはできません。このような場合、圧入は有効な手段になります。<表8>に圧入の原理、特徴および用途を示します。

<表8>圧入の原理・特徴・用途

種類 原理・方法 特徴 用途
1 圧入
  • プレス機にてシャフトを円盤状部品の穴に押し込み、接合
  • 締代を解消するため、シャフトの直径は縮み、穴の直径は膨らむ。このため両者の間には大きな圧力を生じる。この接触圧力により、両者は強固に接合
  • 接合する2部品の材質は異種、同種を問わない
  • 接合強度がある程度必要な場合は、接着剤を塗布し圧入
  • 穴側部品の熱膨張率がシャフトの熱膨張率より大きいと、高温において締代がなくなり接合が解消
  • 軽負荷部品の接合(シャフトとプレス打ち抜き歯車 等)
  • ベースにピンを立てる(ベースの穴にピンを圧入)
  • 転がり軸受けの内輪とシャフト接合、外輪とハウジング接合

3 焼嵌め(やきばめ) 冷やし嵌め 油圧嵌め

焼嵌めは主に大きな機械のシャフトと円盤状の部品接合に使用されます。例えば電車の車輪とシャフトの接合などです。車輪の内径はシャフトより小さく加工されており、車輪を熱して高温度にすると、熱膨張により内径がシャフトより大きくなる設計となっています。
焼嵌めに類似した接合方法に冷やし嵌め、油圧嵌めがあります。<表9>にこれらの原理・特徴・用途を示します。

<表9>焼嵌め、冷やし嵌め、油圧嵌めの原理・特徴・用途

種類 原理 特徴 用途
1 焼嵌め
  • 穴側部品を誘導加熱などで熱し、穴径をシャフト径より大きくして、シャフトを挿入
  • 穴側部品の温度が常温になると穴径は元の直径に戻り、シャフトを締め付け接合
  • 接合された状態では、締代を解消するためシャフトの直径は縮み穴の直径は膨らむ。このため両者の間には大きな圧力が生じる。この接触圧力により、両者は強固に接合
  • 圧入と異なりシャフト挿入時は穴・シャフト間にスキマがあり挿入抵抗力はない
  • 穴部品の温度低下前の迅速な作業が必要
  • 重負荷のトルクに耐えられる
  • 鉄道車輪
  • 歯車とシャフト
  • 羽根車とシャフト
  • 工作機械焼嵌めチャック
2 冷し嵌め
  • シャフトと穴に締代があるのは焼嵌めと同じ
  • シャフトを液体窒素、ドライアイス等で冷却し直径を穴径より小さくし、挿入
  • シャフト温度が常温になるとシャフトは元の直径に戻り、穴に締め付けられ接合
  • 穴側部品を熱するより、シャフトを冷却したほうが有利な場合に使用
  • 他の特徴は焼嵌めと同様
  • 転がり軸受け内輪とシャフトの接合
3 油圧嵌め
  • シャフトと穴に締代があるのは焼嵌めと同様
  • 油圧治具により穴側部品に油圧をかけて穴径を膨張させ、シャフトを挿入
  • 挿入後油圧を解除、穴径は元に戻りシャフトを締め付け接合
  • 焼嵌めに比べメンテナンス時のシャフトと穴側部品の分解作業が容易
  • 大型機械部品の接合に適す
  • 大型回転機械
  • 鉄道車輪
  • 大型転がり軸受けの内外輪嵌め合い
  • 工作機械油圧チャック

4 カシメ

カシメ固定は2枚の板形状の部品を、塑性変形を利用して接合するときに使用されます。塑性変形を利用しているので、製品として完成後に分解する用途には適しません。
カシメには、ハトメカシメ、リベットカシメ、バーリングカシメがあります。<表10>にこれらの原理・特徴・用途を示します。

<表10>各種カシメ法の原理・特徴・用途

種類 原理 特徴 用途
1 ハトカシメ
  • 2個以上の板状部品に穴をあけ、ハトメを通してカシメ接合
  • ハトメは薄い板製のため接合強度は大きくない
  • 板状部品同士の接合
  • 布、紙の接合
  • 布穴のほつれ防止
2 リベットカシメ
  • 2個の板状部品の穴を合わせ、赤熱したリベットを挿入しリベットの端を打撃・塑性変形させてカシメ接合
  • 複数個のリベット固定で強固な接合が可能
  • 溶接の信頼性の低かった時代は造船・鋼板製建造物に多用
  • 橋梁構造物
  • 形鋼材を使用した塔状建造物(東京タワーなど)
3 バーリングカシメ
  • 1枚目の板にバーリングを施し、接合する他の板の穴にバーリング部を挿入しカシメ接合
  • ハトメ、リベットなどの接合用部品が不要
  • 作業能率が良い
  • 薄板板金の接合
  • 異種材料の板同士の接合(銅板と鋼板では溶接できない)

まとめ

ここでは、各種接合方法について原理、特徴、金属部品への適用例全般を分かりやすく解説しました。
接合原理にもとづく「材料的接合、化学的接合、機械的接合」3分類のなかで、代表的な接合手段(①溶接、②ロウ付け・ハンダ付け、③FSW、④接着、⑤ねじ固定、⑥圧入、⑦焼嵌め・冷やし嵌め・油圧嵌め、⑧カシメ)8種類について原理・特徴・用途を概観しました。

接合の特徴は、異種の材料の部品でも一体にできることです。これにより、種々の新しい機能を持った部品や製品を作ることができます。これら材料、形状の組み合わせは無限にあります。これからの試作を考えている皆様に、本記事がお役に立つことを願っています。

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