身の周りにもたくさん!鉄鋼材料の基礎知識①~鉄鋼材料の種類と加工方法と選定ポイントについて~

はじめに

この記事では、鉄鋼材料の種類と加工方法と選定ポイントについて解説します。鉄鋼材料は、橋梁、鉄道、ラインパイプ、ビル等の社会インフラから、自動車、冷蔵庫等の耐久消費材、さらにスプーン、鋏、包丁、釘、金槌など日常生活の身の回り品としてありとあらゆる所で使われている身近な素材です。

金属材料と同様、鉄鋼材料の選定を行なう際に、押さえておくべきポイントは下記4つです。

(a) 鉄鋼材料にはどのようなものがあるのか
(b) それぞれの鉄鋼材料がどのような性質を持っているのか
(c) それぞれの鉄鋼材料の持つ性質が加工方法や処理方法によってどのように変わるか
(d) 多くの鉄鋼材料の中から目的に適したものを選択するにはどうすべきか

まず、本記事では、上記(a)から(c)に関わる内容であり、鉄鋼材料において適用すべき最適材料と有効な加工方法を選定するに際して必要な基礎知識を紹介します。

他の記事では、金属材料全体の種類や特徴、選定のポイントをご紹介しています。そちらも合わせてご参考下さい。

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鉄鋼材料の種類は、大きく9つに分類ができる

鉄は、硬い鉄(鋼)を削る「工具」に用いられる鉄(工具鋼)、錆ない鉄(ステンレス鋼)といった様に、組成・製造法・処理方法によって材料特性を大きく変えることができ、用途によって極めて多くの品種が存在することが特徴です。

一般に、鉄鋼製品の種類は、日本工業規格(JIS)の鉄鋼製品の分類方法にしたがい取引されます。JISによると、鋼は、普通鋼と特殊鋼に大きく分類されます。そして、後者の特殊鋼は、さらに合金鋼、工具鋼そして特殊用途鋼の3つに分類されます。
<図1>は、炭素量を基準とした鉄(鋼)の分類を示しています。成分(ここでは炭素量)、用途に応じて、さまざまな品種の鋼が存在することが分かりますね。

<図1>炭素量を基準にした鋼の分類
<図1>炭素量を基準にした鋼の分類

さらに、詳しくみていくと、(1)機械構造用鋼、(2)建設用鋼材、(3)高張力鋼、(4)厚板・薄板、(5)線材、(6)ステンレス鋼、(7)電磁鋼鈑、(8)表面処理鋼板、(9)鋳鉄に分類することができます。この記事では、これら(1)~(9)の詳しい分類に従って鉄鋼材料の品種と特性および関連する加工方法や選択時の留意点を紹介します。

実に9種類!鉄鋼材料を活かす加工方法について

こうした鉄鋼材料を用いて部品や装置を試作するには、材料を加工して所望の形状・性質にしなければなりません。加工には、

(1)成形加工:型にはめて所定の形状を造る

鋳造:重力鋳造、ダイカスト鋳造、低圧鋳造、ロストワックス、連続鋳造
塑性加工:自由鍛造、型鍛造、押し出し、引き抜き、圧延、曲げ加工、深絞り加工、せん断加工、ファインブランキング、順送型プレス加工
焼結:焼結

(2)除去加工:不要な部分を取り去り所定の形状にする

切削:旋削加工、フライス加工、穴あけ加工、歯車加工、ブローチ加工
研削:平面研削、円筒研削、心なし研削、両面研削加工、ホーニング加工、超仕上げ加工、ELID研削
砥粒研磨:ラップ加工、バレル加工
放電加工:ワイヤ放電加工、型彫り放電加工
切断加工:レーザ切断、ガス切断、ウォータージェット切断

(3)付加加工:材料を付加して所定の形状を造る

積層造形:3D金属プリンタ積層造形、3D樹脂プリンタ積層造形

(4)接合加工:部品を接合して所定の形状を造る

接合:溶接、接着、ハンダ、カシメ、焼バメ、圧入、ロウ付け、ねじ固定

(5)全体熱処理:部品全体組織を改質する

熱処理:焼き入れ、焼きもどし、焼きなまし、焼きならし
特殊熱処理:固溶化熱処理、サブゼロ処理)

(6)表面熱処理:部品表面の組織を改質する

表面熱処理:表面焼き入れ、浸炭焼き入れ、窒化処理

(7)電気化学処理:部品表面に金属膜、酸化膜を生成させる

メッキ:電気めっき、無電解めっき
化学処理:3価クロム化成処理、りん酸塩処理
陽極酸化:アルマイト処理

(8)塗料被膜:部品の表面に塗料を付着

塗装:塗布、焼付塗布

(9)物理的表面処理:部品表面改質

ショットブラスト:ショットピー二ング、サンドブラスト


などがあります。
以下では、金属の加工方法に関する記事をまとめています。こちらも合わせてご参考下さい。

鉄鋼材料の選定プロセス~どのような手順で絞り込むか?~

鋼の種類は干差万別であり、試作の目的達成のためにはどのような種類の鋼を、どのような手順で選択するか、すなわち鉄鋼材料の選定プロセスが重要になってきます。

<図2>に設計に際しての鋼の選択プロセスとして、普通鋼、合金鋼、工具鋼、特殊用途鋼に辿りつく手順を示しました。また、<図3>に普通鋼の選定プロセスとして、多くある普通鋼からひとつの品種を選ぶ手順を示しました。さらに、<図4>には、特殊鋼の選定プロセスとして、目的の特殊鋼に辿りつく手順を示してあります。
実験同様、選定プロセスも試行錯誤、よく考えることが大切です。試作業者や身の回りの先輩方のアドバイスを得つつも、自分なりの選定プロセスを検討してみて下さい。

<図2>設計に際しての鋼の選定プロセス
<図2>設計に際しての鋼の選定プロセス


<図3>普通鋼の選定プロセス
<図3>普通鋼の選定プロセス

<図4>特殊鋼の選択プロセス
<図4>特殊鋼の選択プロセス

まとめ

ここでは、鉄鋼材料の材料・加工方法の基礎知識について解説しました。他の記事では、代表的な鉄鋼材料や、ステンレス鋼材、その他鋼材(電磁鋼板・表面処理板・鋳鉄)について分かりやすく紹介していますので、そちらも合わせてご参考ください。

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