スピーディに思った通りの試作を実現させるために…設計者と加工事業者のコミュニケーションを円滑にする試作加工コンサルの役割とは?!

INTERVIEW
株式会社NCネットワーク
加工事業部
赤井 宣之
赤井氏の写真

製品開発において、研究開発者の知見のない領域での試作が発生した場合、自社の持つネットワークやWEBを通じて、試作加工事業者に仕事を依頼することがあります。しかし、どの試作加工事業者に依頼すると価格、品質、納期の点で内製や個々で見つけた業者と比べメリットがでるのかについては、試作目的に応じて設定される試作品の仕様(要求性能)、試作品製作で採用される加工方法ひとつで大きく変わってきます。

この記事では試作加工事業者の選定方法、試作の進め方といった、試作品製作の実態について、多くの試作加工コンサルティングの実績を持つ(株)NCネットワーク加工事業部の赤井宣之氏にお話を伺いました。

NCネットワーク加工事業部の事業内容と幅広い試作領域

NCネットワーク加工事業部では、量産・試作の両分野で、従来型の系列・業界内取引の枠を超えた調達支援サービスを行っています。材料・図面・加工方法などの仕様条件を元に、生産委託先の選定依頼(加工方法に関する相談にも対応)に対し、1万8,000社以上の膨大な加工事業者データベースから、モノ作りの経験豊富な技術スタッフが最適な生産委託先を探し出します。また、加工事業者を選定するだけでなく、試作加工を実施している中でも加工事業者と連携をし、納期や品質の管理、納品前の試作品評価にも関わります。これにより、開発者はニーズを満たすための最適な加工方法や加工事業者を選定してもらえるだけでなく、NCネットワークを介して複数の加工事業者との取引を集約できるというメリットもあります。

NCネットワークの取り扱い製品は機械加工品(金属・樹脂)、鋳造品、板金加工品、樹脂成形品、組立品(特注の検査装置製作等)が中心で、実際に大手自動車・電機メーカーからの試作部品や量産部品の生産委託実績も数多くあります。

膨大な加工事業者とのネットワークを元に顧客の課題解決に貢献したNCネットワークらしいエピソードを赤井さんにお話しいただきました。

「NCネットワークでは、自動車のエンジンまわりの部品に関するお問い合わせを多く頂いている一方で、医療機器(MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)やCT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影法)検査装置に用いられる部品等)の取り扱い経験などもあります。医療機器の部品は他業種の部品と比べて表面処理に求められる条件は厳しく、一般の加工事業者では対応が難しい場合があります。例えば、部品表面の凹凸部分に血液や体液が入り込み、完全に洗浄しきれないような表面処理加工の品質は許されません。そのため、複雑な部品形状であっても完璧に洗浄できるよう表面を入念に磨く必要があります。この技術には職人技が求められ、数多くの加工事業者から指先の器用な職人の方を見つけ出す必要がある中、わが社がもつ加工ネットワークを用いることで、最適な加工事業者をお客様に紹介させて頂き、部品製作を実現することができました。もし、お客様自身で町工場の職人さんを探すとなると、大幅に時間を要するだけでなく、見つけられない場合もあるのではないでしょうか。」

試作品開発の実際の進め方

NCネットワークを介した試作依頼の一般的な流れは<図1>のようになります。自動車部品の試作をイメージした一般的な納期スケジュールとなっており、品質基準が厳しいため、他の事業分野での試作に比べて長めのスケジュールとなっています。

NCネットワーク(NC)を介した発注~試作~納品までの流れ
<図1>NCネットワーク加工事業部へ発注した際の試作の流れ

1. 要件打ち合わせ

顧客からの要求性能や仕様のインプット、それらを満たすことができる技術要件(材料・加工方法)についてヒアリング。最適な加工事業者を選定(複数の加工事業者候補を出す場合もあり)。月2回程度のペースで実施

2. 評価用試作

顧客から依頼された要件を満たすかどうかの評価を行うための試作。通常は1~2個の試作品を製作

3. 試作評価

顧客も交えた試作品に対する評価

4. 納品用試作

試作評価に合格したものに対し、納品用試作品を製作

5. 納品

加工事業者より、顧客に対して納品用試作品を納品

また、他の記事でも試作の進め方や、さらには材料や加工方法に関する基礎知識も紹介しています。そちらも合わせてご参考ください。

スピーディに思った通りの試作を実現させるためには、設計者と加工事業者との間で円滑なコミュニケーションが重要!

NCネットワークの強みは前段でもご紹介していますが、さらに以下のような強みがあります。

・加工事業者の実績データに基づいた、顧客ニーズを充足可能な加工事業者の選定
・顧客・加工事業者との円滑なコミュニケーションによる、技術要件の具体化と相互の認識ギャップの解消

この点について、赤井さんは次のように語っています。

「NCネットワークを介して生産を依頼した案件については、わが社で案件の進捗から完成品の品質、コスト、納期に至るまでの加工事業者の実績全てを把握しています。そうして蓄積された加工事業者の実績データを元に、お客様のニーズに対して最適な加工事業者を紹介させて頂いています。」

「自動車や家電製品については、重大事故につながる可能性があるため、製作した部品に対する品質保証を特に慎重に行う必要があります。また、業界やお客様の会社それぞれで当たり前と認識されている基準や仕様も数多く存在している一方で、加工事業者の間でも独自の基準があります。そのため、両者に認識のギャップが生じ、意思疎通に時間を要してしまうことや、そのギャップが埋まらないまま部品を製作し失敗してしまうといったことが起こりやすくなっているのが現状です。

その中で、私たちNCネットワークの役目は、相互のギャップをなくすことだと考えています。お客様が持つ性能・仕様に関する要望を100%漏れなく加工事業者の方へ伝え、加工事業者の方からは、納期・予算の中で何ができるかをヒアリングし、それを100%漏れなくお客様に伝える。NCネットワークでは両者の間に立ち、円滑なコミュニケーションを提供することができます。」

また、技術要件や図面が定まっていない試作依頼にも対応されており、そうした場合も、お客様とのコミュニケーションを丁寧に行うことで、要件の明確化をお手伝いしつつ、適切な加工事業者を選定しているとのことです。

「試作依頼の場合、わが社が対応する業務のうち半分程度の時間を、お客様と情報交換をし、何を作りたいのか試作の目的と要件を明確化させることに費やしています。これを明確化させなければ、案件を前に進められないと思っています。そのために、まずは私たちがお客様のお話を聞いて、ご要望をしっかり受け止めた上で、かみ砕き、要件として整理しています。
例えば、お客様から製品設計の話を全部受け、わが社で、どの程度の大きさ、機能、強度、重量などが要件となり、その要件を満たす材料は何か、部品をどう設計するか等を整理した上で、加工事業者を選定しています。通常、こうしたご依頼はお客様からお話を頂くと、即日で対応しています。」

まとめ

ここでは、顧客毎の細やかなニーズを理解し、最適な加工方法の提案・加工事業者の選定を行うNCネットワークの加工事業部のサービス内容についてお話頂きました。

企画設計から部品ができるまで、一つの部品を製作するプロセスやそれに関わる人々や職種は多岐にわたります。設計者が部品に何を求めるか、また、加工事業者がどのような加工を実現できるかといったことを互いに共有することは難しくなっています。そうした中で、NCネットワークの加工事業部の方々が果たす役割は大きいと感じられます。

今後は、新しい素材(セラミックや抗菌材料)や難加工に関するご依頼にも対応できるよう取り組んでいくとのことです。現在、試作の要件が決めきれない、または加工事業者が見つからないといったことでお悩みの方は一度ご相談をされてはいかがでしょうか。

株式会社NCネットワーク
国内最大級のモノづくり受発注サイト「エミダス」に登録された18,000社以上の工場データベースから、技術スタッフが依頼内容に最適な工場を選定。NCネットワークには、加工方法が分からない試作・開発品から、特殊車両のように少ない生産台数ながら厳密な品質保証が求められる量産品まで幅広い経験があります。