カスタム電源とは。カスタム電源の小型化や高効率化を実現するポニー電機

INTERVIEW

ポニー電機株式会社
代表取締役
長井 真一郎

顧客のニーズに合わせて開発するカスタム電源。近年は、半導体やバッテリーの進化によって小型化や高効率化、低ノイズ化が実現できるようになってきました。また、EV化が進むにつれて、従来のエンジン機構における代替として、パワーエレクトロニクスであるモーターやインバータ、バッテリーの充放電機器の必要性が高まるなど、カスタム電源の市場は環境問題への対応と高性能化が合わさって時代とともに変化しています。今回は、群馬県藤岡市にあるさまざまなカスタム電源の受託開発に取り組んでいるポニー電機株式会社に、カスタム電源のメリット・デメリットや依頼の際の注意点などについてお話を伺いました。

カスタム電源について、パワーエレクトロニクスの受託開発を行うポニー電機に話を伺いました

群馬県藤岡市に本社を構えるポニー電機株式会社は、パワーエレクトロニクスの受託開発や、トランスやリアクトルの製造を行っている会社です。ラボとしての機能を持つ横浜事業所に加え、パワーエレクトロニクスやモーターに関する子会社を4社保有。グループ全体で、7人のパワーエレクトロニクスの博士号を持つ社員が活躍しています。主な取引先は、自動車会社や再生可能エネルギー関係の会社。半導体製造メーカーや製造機器メーカー、自動車関係の開発部門や、バッテリーの充放電機器の開発などにも携わっています。

今回は、同社の代表取締役である長井真一郎氏に、カスタム電源のメリット・デメリットやその市場の変化などについて、お話を伺いました。


カスタム電源のメリット・デメリットや市場の変化

カスタム電源とは、顧客のニーズに合わせて開発する電源のこと。電源は使用したい機器や環境によって、電源の電圧や電流、大きさなどのニーズは違うため、そのニーズに合わせて製造するもののことを指します。近年は、半導体やバッテリーの進化によって小型化や高効率化、低ノイズ化を実現でき、これらに関する要望が増えています。

ポニー電機が開発したカスタム電源。左上から時計回りに「双方向コンバータ(DAB)」「超小型DCDCコンバータ」「10kWDC-AC双方向系統連系電源」「高周波絶縁型DCDCコンバータ(水冷タイプ)」(提供:ポニー電機)
ポニー電機が開発したカスタム電源。左上から時計回りに「双方向コンバータ(DAB)」「超小型DCDCコンバータ」「10kWDC-AC双方向系統連系電源」「高周波絶縁型DCDCコンバータ(水冷タイプ)」(提供:ポニー電機)


カスタム電源のメリット

・欲しい電圧電流の電源が、小型サイズや高性能で手に入る。
・新規技術を投入して、まだ市場に出回っていない高性能なものを作ることができる。

カスタム電源のデメリット

・標準電源を使用するよりも、カスタムオーダーするため開発コストが高くなる。

カスタム電源の市場の変化

カスタム電源の市場は、2005年ごろから太陽光発電関係のパワーコンディショナーなどのニーズが高いです。近年は、世界的にCO2を削減する動きのため、さらなる再生可能エネルギーのニーズが高まり、この電気エネルギーを貯蓄するバッテリーとその充放電機器のニーズが増えています。また、EV化が進むにつれて、従来のエンジン機構における代替として、パワーエレクトロニクスであるモーターやインバータ、バッテリーの充放電機器の必要性が高まるなど、カスタム電源の市場は環境問題への対応と高性能化が合わさって時代とともに変化しています。


カスタム電源を依頼する際のポイント

カスタム電源の製造を依頼する際の会社の選び方や、依頼の際の注意点についてご紹介します。

カスタム電源の開発を依頼する会社の選び方

カスタム電源を依頼する際、顧客のニーズを聞き出して良い提案をしてくれる会社を選ぶのはもちろん、電源を最適な形で製造して動かすことができる技術を持っているかも重要です。カスタム電源を作るには、トランスやリアクトルの設計技術、マイコンによる制御技術、スイッチング技術などが求められます。また、半導体など使用する部品を選定する能力も必要です。それらが複合的に組み合わさって、ようやく欲しい性能やサイズの電源ができあがるため、技術と経験をバランスよく持っている会社を選ぶといいでしょう。


カスタム電源を製造している様子(提供:ポニー電機)
カスタム電源を製造している様子(提供:ポニー電機)


カスタム電源を依頼する際の注意点

製造を全てお任せにする場合はいいですが、「自社の工場に流したいので、この材料を使いたい」「この部分は自分たちで作りたい」などの要望がある場合などは、任せる部分と自社で作りたい部分を明確にして伝えておくとスムーズです。また、作りたいものが明確にイメージできている場合、その情報を伝えることでより効率よく開発を行うことが可能となります。具体的イメージがつきにくい場合には経験豊富なカスタム電源開発者に相談すると提案してくれます。


パワーエレクトロニクスの最新技術を取り入れたカスタム電源の提供が可能

さまざまなカスタム電源の受託開発に取り組んできたポニー電機。同社の強みは、なんといっても最新の技術を取り入れるのが得意なこと。
「弊社は、大学と連携して研究・開発を進めています。また、文部科学省のプロジェクト『SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)』にも参加しており、ノーベル賞を受賞した名古屋大学の天野浩先生と共同研究を行っています。この他、NEDO事業に2回採択されています。そのため、まだ市場にない最新の技術にも多く触れていますし、そういった技術を取り入れた受託開発ができるところが我々の強みです」(長井氏)

一方、ニーズの多いものを製品化して販売するという、製造業としての技術も兼ね備えているのも強みです。
「弊社では、バッテリー充放電装置や小型風力発電の制御装置などを設備材として販売もしています。製品化する場合、コストと品質のバランスを考えながら作る必要がありますが、弊社は自社で製品化も行っているので、お客様が量産化したい時にその経験が役に立っています」(長井氏)

そんなポニー電機の技術力がわかる事例があります。
「大手メーカーの電池とEV充電、家庭用電力負荷、系統電力の4つのエネルギー源を備えたパワーコンディショナーを開発する際に、弊社が以前特許を持っていた技術が採用されたことがあります。もともと約95%の効率化を実現していた機器だったため、さらに効率化を図るのは非常に難しかったのですが、弊社の技術を活用することで効率をさらに1〜2%上げ、ノイズを減らすことに成功しました」(長井氏)


ワイヤレス給電向け13.56MHz対応高周波インバータ(提供:ポニー電機)
ワイヤレス給電向け13.56MHz対応高周波インバータ(提供:ポニー電機)


現在は、今までにないような周波数で給電できるワイヤレス給電を開発中。周波数を上げることで小型化を実現しようとしています。


常に挑戦し続ける姿勢を大切に

ポニー電機の仕事は、顧客のニーズを聞いてそれに応えていくスタイルの仕事がほとんどです。そのため、社会のニーズや変化に合わせて、技術力を上げて柔軟に対応してきました。「いくら技術力が高いといっても、自分たちの得意な方ばかりに向かうと社会の役に立たない。そうではなく、お客様からのニーズがある技術を卓越していこうと考え、日々努力しています」(長井氏)

ポニー電機がそのようなスタイルを貫いているのは、代表取締役である長井氏が前職のメーカーで一番面白いと感じた仕事が開発だったからです。
「開発だけを集めた事業ができないかと思って進めてきたのが、このパワーエレクトロニクスの受託開発でした。今は、常時仕事を通じてトップレベルの情報が入ってくるので、それに合わせて我々も進化しています」(長井氏)

最新の技術に触れながら、新しい課題にチャレンジし続ける。そんなポニー電機で働く人たちは、「難題に立ち向かいながらもそれを楽しめる人たち」と言います。
「簡単に答えが出ることばかりではないので、泥沼化することもある。思考的に結構きつい仕事だと思います。でも、それが面白いと思える人たちが活躍している会社ですね」(長井氏)

また、補助金を活用して設備を増強しているため、同社の設備はかなり充実しています。
「最近では、9千万円を投じて横浜事業所と高速の通信回線をつないで、カメラ映像を介して実験室と横浜事業所、顧客の三者をつないで遠隔操作で実験を行えるようにしました。現在は、その実験装置を使って道路を使わない次世代のクルマなどの開発もお手伝いしています」(長井氏)


ポニー電機に設置した遠隔実験室(提供:ポニー電機)
ポニー電機に設置した遠隔実験室(提供:ポニー電機)


最後にメッセージをいただきました。
「我々はあらゆる分野のパワーエレクトロニクス機器の開発を350件ほど行ってきました。我々にご相談いただければ、そのニーズに合わせたベストなご提案をしたいと思っています。カスタム電源に関する経験は豊富なので、ぜひご相談ください」(長井氏)


ポニー電機株式会社
昭和28年創業。群馬県藤岡市に本社を構える、パワーエレクトロニクスの受託開発、トランスやリアクトルの製造などを行う会社。さまざまな大学や企業の研究施設と連携し、最新の技術を生かした開発と、顧客のニーズに合わせた提案が得意。研究施設としての横浜事業所を有するほか、電気エネルギーに関する子会社4つを持つ。
ポニー電機 受託開発品事例