次に目指すは設計の自動化! ITをフル活用して、高品質な受配電盤をスピーディーに提供する上和電機

発電所で作られた電気を引き込み、負荷へ配電するための設備である受配電盤。プラグインブレーカーや溶断表示付きヒューズといった高性能な機器を使用することで現場での誤配線、ヒューズが切れたことによる誤計量などのさまざまなトラブルから顧客を守り、製品の品質を安定させることができると言います。今回は、山形県東置賜郡に本社を構える、受配電盤の製造メーカーである株式会社上和電機に同社の強みやそれを実現する社内体制などについて話を伺いました。

上和電機のモノづくりと対応力についてお話を伺いました

上和電機は1988年の創業以来、受配電盤の製造一本で歩んできた会社です。グループ会社に筐体を作る板金部門と塗装部門を有するため、一気通貫で製造することができます。取引先は、大手ゼネコンから中堅・小規模の施工会社まで幅広く、一部メーカーのOEMにも対応しています。


本社外観(提供:上和電機)
本社外観(提供:上和電機)


今回は、代表取締役社長である村上秀樹氏に、同社の強みやそれを実現する社内体制などについて話を伺いました。

上和電機の3つの強み

上和電機の強みは、高品質な製品をスピーディーに提供できることと、ITを活用した細やかな対応です。

・高品質な製品

上和電機では、製品の品質を安定させるために、一般的な受配電盤で使用されている機器よりも高性能なものを使用しています。
「例えば、弊社で使用するプラグインブレーカーや分離形中継端子台は差し込み式のものを選定しています。なぜなら、現場での誤配線を防止したいから。差し込むだけなので、現場でミスが起こりにくいんです。また、切れていたら知らせてくれる溶断表示付きヒューズを使っているのも当社ならでは。この機器は一般的なものより少し高価になるため、他社ではあまり使用していません。しかし、ヒューズが切れると誤計量の原因になるため、弊社では多少高くてもこちらを使用しています。誤計量や接続不良などの原因になることは極力排除したいと思っていますから。お客様にもそのように説明すると、とても喜んでいただけます」と村上氏は語ります。

性能の良い機器を使って受配電盤を製造することで、さまざまなトラブルから顧客を守る。当然、その分割高にはなりますが、「その点に納得して評価してくださっている方々が、顧客として利用してくださっている」のだそうです。


プラグインブレーカー(左)と分離形中継端子台(右)。差し込む場所が明確なのでミス防止につながる(提供:上和電機)
プラグインブレーカー(左)と分離形中継端子台(右)。差し込む場所が明確なのでミス防止につながる(提供:上和電機)

・スピード対応

ご要望に応じて、スピーディーな製造にも対応できるのも上和電機の強みです。その秘訣は、さまざまなITソフトと仕組みを組み合わせた一気通貫の生産システムを活用した生産体制にあります。生産システムの一部である文書管理システムで、全ての情報を全社員で共有しているため、営業からの指示を待たずに、各部門の判断でできることから着手するのです。
「当社は、お客様から正式なGOが出る前から製造に着手します。とはいえ、無鉄砲な見切り発車ではなく、営業や設計部門とお客様との会話で『あとはここだけ直せばGOですから』といった話が出てきた時がスタート。工程会議などを行わなくても、文書管理システムを通じて製造に必要な情報を現場が拾い上げ、自分たちで判断して進めていきます。そのため、本格的にGOが出た後は一気に作り込みに入れるんです」(村上氏)


受配電盤を製造している様子(提供:上和電機)
受配電盤を製造している様子(提供:上和電機)


上和電機のスピード対応がよくわかる事例があります。通常であれば実働30日以上、トータルで3カ月はかかると言われる製品を、年の瀬の12月24日に相談があり、「1月15日までに鈑金から塗装、組立、検査まで終了させてほしい」と依頼されたことがありました。全国のメーカーに断られての相談でした。
「お正月休みを挟んでいたのですが、ちょうど自動で作業を進められる機械を導入したところだったので、休みの間に自動で進めておけば終わるのではないかと思ってお受けしました。休み明けに他の案件を全てストップさせて、こちらの作業に人員を投下し、実質10日で完成。お客様にも大変満足していただきました」(村上氏)

・ITを活用した細やかな対応

上和電機では、前述の一気通貫システムを活用し、顧客とのやり取りの全てをログとして保存。やり取りを全て見える化することで、認識のずれや「言った・言わない」などが起きないようにして、確実な製品をお届けしています。
「打ち合わせは基本的にメールで実施し、メールと資料、図面などは全て文書管理システムに保存。全社員がいつでも確認できるようにしています。また、対面やオンラインでの打ち合わせの場合は、会話は録音して議事録も残すように徹底しています。そのようにしてログを残し、全員で共有することでミス防止にもつながっています」(村上氏)

また、製造した製品は、工場から出荷する前に写真撮影をして保存。そうすることで、後々顧客が製品の改造や修理、同じものが欲しいといった場合に、わざわざ現場まで行かなくてもその製品がどのような仕様だったかがすぐにわかるようにしています。
「受配電盤は、短くて5年、長くて20年程度の耐久年数のものが多い。ですから、弊社の製品データは25年間残しています。図面や資料なども全てデータ化して保存しているので、ご相談いただければすぐに取り出せるようになっています」(村上)

このように、事故やミスが起きないように考え抜かれた機器を使って製造した製品を、スピーディーに確実に提供できる。それが上和電機の強みなのです。


過去の経験から得た「気づき」を「改善」につなぐ

上和電機が現在のような生産体制を作り上げた理由には、過去の苦い経験がありました。今から20年ほど前、ある大手メーカーの下請けとして大口の受注をしましたが、納期も間に合わず、コストも見合わない事態に陥ってしまったのです。
「会社が過渡期で、仕事は増えているのに人手が全然足りない状態で。私自身、寝ずに3日間連続勤務をしたつらい経験がありました。これを機に、『同じ思いを他の社員にさせるわけにはいかない』と、真剣に対策を考えるようになったんです」(村上氏)

また、その頃、他社と差別化しようとプラグインブレーカーやPLCを導入。省配線化により他社にはない短納期を達成しようと試みましたが、大赤字に終わります。
「受配電盤は、受注時には原価がわかりません。作っている最中に原価がどんどん積み上がっていくので、最終的に全く利益が出ないといった事態も起こっていました。さらに、納期に間に合わせられず、さらに高い金額で外注する羽目に。これらを解消するために、原価管理アプリや業務指示アプリを導入して、少しずつ改善していきました」(村上氏)

このように、「気づき」を得て「改善」を積み重ねた結果、顧客にとっても自社にとってもメリットが出るような生産体制が構築されていったのです。

企業の3つの柱である「QCD」を、さまざまなITツールを組み合わせた「一括管理システム」によって構築している(提供:上和電機)
企業の3つの柱である「QCD」を、さまざまなITツールを組み合わせた「一括管理システム」によって構築している(提供:上和電機)


目指すは設計の自動化。互いに刺激し合える企業とつながりたい

村上氏は、今後は設計の自動化も進めていきたいと考えています。

「今、IoTで夜中に機械が動いて製造を自動で進めてくれていますが、設計も同じように自動化できる時代が間もなくやって来ると考えています。自動化やAIなどに対する興味は非常に強いので、アンテナを張りつつ、設計の自動化を実現していきたいですね」(村上氏)

最後に、村上氏にメッセージをいただきました。
「上和電機の『和』は、足し算の『プラス』の意味です。人とつなぎ、未来とつなぎながら『上』を目指していく。ですから、受配電盤を必要としている会社でなくても、当社を『面白そうだな』『意見交換してみたいな』と思ってくださる方や自動化やAIなどに詳しい方々がいればぜひお話ししたいです。お互いの存在が新しい気づきにつながる会社と出会えたらと思っていますし、そこから何か新しいものづくりが産まれたら面白いですね。IoTやIT化がうまく進んでいない企業のご相談などにも乗れると思います。ぜひ、気軽に声をかけてください」(村上氏)


株式会社上和電機
山形県東置賜郡に本社を構える、受配電盤の製造メーカー。設計から筐体の板金、塗装、配線・組立までを一気通貫で行う。ITを活用した一気通貫生産システムをもとに、高品質な製品をスピーディーに提供している。
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