電力変換装置を設計から製造、メンテナンスまでフォローする東京精電に聞く、カスタムオーダーのステップ

INTERVIEW

東京精電株式会社
代表取締役社長 岩本 千章
営業部 山田 裕太

電力変換装置製造技術は太陽光発電やEV車、燃料電池などを始めとした新電力関連で注目されていますが、長年利用されている古い設備にも広く利用されており、それらの装置の新規製造・修理・メンテナンスを行なう事業者が少なくなくなっているという課題もあります。

今回は、産業機器や自動車や電車、医療機器向けの電力変換装置の設計から製造、修理・メンテナンスまでを自社で一貫して行う東京精電株式会社社長の岩本千章氏、営業部の山田裕太氏に電力変換装置のカスタムオーダーについてお話しを伺いました。

東京本社と、長野県上田市に自社工場を構える電力変換装置メーカー「東京精電株式会社」

東京都杉並区の本社と長野県上田市に自社工場を構える東京精電株式会社は、電源変圧器、電源装置、計測センサーの3つを柱に製造を行う会社です。現在の社員数は約70名。1919年の創業時から変成器の製造を行い、現在に至るまで、約100年に渡り電源に関わる様々な装置の開発、製造に携わってきました。

長野県上田市にある工場には、研究開発を行う技術者が14名在籍し、社内で開発・設計・部材の調達、製造、修理、メンテナンスまで一貫した受注を得意としています。現在の主要製品は、電源変圧器、電源装置といった電力変換装置です。電気メーカーの組込型の製品から医療機器の電源電圧変換器まで幅広い分野との取引を行っています。近年は、カスタムオーダーの需要も高く、ニッチな仕様にも積極的に取り組み、少量多品種にも柔軟に対応しています。


工場での製品製造の様子(提供:東京精電)
工場での製品製造の様子(提供:東京精電)

主要な取引先

三菱電機株式会社 富士通株式会社 日置電気株式会社 
パナソニック株式会社 横河電機株式会社 トヨタ自動車株式会社
ダイハツ工業株式会社 株式会社豊田自動織機 株式会社東芝 株式会社フィリップスジャパン 東京電力株式会社 JR各社及び官公庁 など

東京精電で製造を行っているカスタムオーダーの一例

医療機器:海外仕様の電圧を国内仕様に変圧するための変圧器を製造
織機:日本で製造した紡織機械を海外仕様に変圧するためのコンバータを製造
試験装置:新幹線の完成品を試験するための試験装置をカスタムで製造
自動車部品:トヨタ自動車のEV車に使用する電源部分を共同開発
太陽光発電:発電した電気を効率化するための変圧器やパワコンの製造


電力変換装置のカスタムオーダーのステップ

実際にカスタムオーダーを依頼してから、製品の導入までどのようなステップがあるのかを解説していただきました。

1.質問シートの記入

製品の電圧・電流・希望価格や納期など、カスタムオーダーを依頼するにあたり、必要な情報を事前に記入します。

2.ヒアリング

技術者が質問シートをもとに製品についてのヒアリングを実施。製品に関する情報を細かく確認し、見積仕様書を作成します。

3.設計〜材料手配

見積仕様書をもとに設計をスタート。同時に納品に必要な材料の手配を行います。

4.製造

図面や部品表をもとに製造部が製品の製造に着手。工場内にすべての部署が集積しているので、スピーディーな対応が可能です。

5.試験

技術部の担当者と製造部が一緒に完成した製品の動作確認や試験を行います。

6.立会い確認

お客様に工場に足を運んでもらい、製品の確認をお願いしています。

7.納品・据え付け

製品の据え付けを行い、そこで最終の調整や動作確認を実施。現地での最終確認を終え、納品完了です。

8.メンテナンス・アフターサポート

製品の納品後も、定期メンテナンスやアフターサポートを実施。1〜8までを同じ技術者が一貫して担当するため、何かあってもすぐに状況を把握し、対応することができます。


電力変換装置に精通した技術開発担当者による無駄のないスピーディーな提案

東京精電では、技術者が直接お客様と打ち合わせを行います。仕様図面がなく「こういう商品を作りたい」という漠然としたオーダーに対しても、技術者がヒアリングをすることで、現実的で無駄のない仕様図面を作成します。
また、これまでに蓄積したノウハウや知識を活用し、カスタムオーダーに関するメリット・デメリットの説明や希望に沿ったアイディアの提案も可能で、お客様の一番納得のいく仕様までしっかりとブラッシュアップしていきます。カスタムオーダーで一番時間がかかる仕様図面の作成が無駄なく進むことで、全体のスピードもアップし短納期も実現。お客様の課題を的確に解決し、理想の製品を製造します。
「ここ数年は、営業部内の体制を変え、営業部内にも技術者に近い提案ができるようメンバーの育成を行っています。さらに販売促進課を設立し、リピートいただいているお客様のサポートにも注力しています」(山田氏)


電力変換装置に関する優れた技術力と課題解決力で他社には作れないローテク製品にも着手

ベテラン技術者がもつ経験と知識でお客様をサポート(提供:東京精電)
ベテラン技術者がもつ経験と知識でお客様をサポート(提供:東京精電)


近年電力変換装置の製造業界では、太陽光発電を始めとした新電力関連の開発、製造が最先端技術とされています。東京精電でも10年程前に、EV車や燃料電池などの製造にも従事。しかし最新技術を用いた製造分野が広がる一方で、古くからある設備を支える技術や工場は廃業を余儀なくされているそうです。

「昭和40年代頃の設備を使用しているお客様から、当時の製造メーカーがほとんど廃業していて困っているというご相談を受けました。そこで私たちが製品の詳細をヒアリングし、カスタムオーダーで製造したところ、お客様に大変お喜びいただくことができました。昔の製品に対応することは、今の時代においてはローテクなのかもしれませんが、豊富な経験と知識、そして製造技術を支える設備が必要です。東京精電には、それを満たすベテランの技術者と100kV前後の高電圧機器を製造する設備が揃っています。その恵まれた環境を自負し、今後は他社では対応できない分野を積極的にサポートしていきたいと考えています」(岩本氏)

属人化してしまいがちな技術者のスキルを次世代に継承できるよう、ベテラン技術者と若手技術者がペアを組んだり、週に1回勉強会を実施したりと、社内のナレッジマネジメントにも注力しています。


電源変圧器、電源装置、計測センサー、3つの柱を主軸にさらなる発展を目指す

電源装置(試験器)と電源変圧器の一例(提供:東京精電)
電源装置(試験器)と電源変圧器の一例(提供:東京精電)


「以前よりOEM生産をしていた経緯もあり、2020年1月から横河計測株式会社のシャント抵抗シリーズが、東京精電に全面移管されました。新設備も多数導入し、これからより精密で精度の高い製品をご提供していきたいと思っています。そして、電源変圧器、電源装置、計測センサーやキーパーツとなる装置の設計から供給まで社内で一貫して行ってきたノウハウや技術力を強みに、お客様の希望に寄り添った課題解決をしていきたいです」(岩本氏)

高い技術力と優れた課題解決力で日本の製造を支える東京精電株式会社。電力変換装置の理想の製品が見つからない方、製造メーカーが廃業してしまった設備をお持ちの方はぜひ一度カスタムオーダーのご相談してみてはいかがでしょうか。


東京精電株式会社
東京都杉並区に本社を構え、長野県上田市に自社工場を持つ、電力変換装置メーカー。社内には高い技術力を誇る開発部があり、電源装置の設計から製造、メンテナンスまでを一貫して行っている。近年では、他社では製造不可能なニッチな仕様のカスタムオーダーにも積極的にチャレンジ。今後は2020年1月に横河計測から移管したシャント抵抗部門にも注力し、さらなる技術力の向上を目指していく。
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