プリント基板を用いた試作の基礎知識。松和産業に聞く、プリント基板の種類やメーカー選びの注意点

さまざまな製品やデバイスの軽量化・小型化が進み、限られたスペースに極小な部品を高密度で実装することが求められ、製品の心臓部として重要性が増していくと考えられるプリント基板。プリント基板を用いた試作では、基板の素材やサイズ、スペックなどが基板の製造コストや納期に影響を与えます。そのため、試作したい製品のイメージをある程度固めてメーカーに相談するのがスムーズに試作を進めるポイントだと言います。今回は、三重県松阪市にあるプリント基板製造メーカーの株式会社松和産業にプリント基板の種類やメーカー選びの注意点についてお話を伺いました。

プリント基板製作について、2000社以上の取引実績を持つ松和産業に話を伺いました

プリント基板を設計している様子(提供:松和産業)
プリント基板を設計している様子(提供:松和産業)


株式会社松和産業は、三重県を本社として30年以上にわたってプリント基板の設計製造を手掛けるメーカーです。多品種・少量・短納期に対応できる製造体制を強みに、取引社数2000社を超える豊富な実績を有しています。本記事ではプリント基板を用いた試作を検討する際に役立つ知識や、同社の強みについて松和産業 代表取締役社長の玉置芳人氏と営業部長代理の伊藤文剛氏、営業課長兼試作開発室長の松本純幸氏にお聞きしました。

左から営業部長代理の伊藤文剛氏、代表取締役社長の玉置芳人氏、営業課長(試作開発室長)の松本純幸氏(提供:松和産業)
左から営業部長代理の伊藤文剛氏、代表取締役社長の玉置芳人氏、営業課長(試作開発室長)の松本純幸氏(提供:松和産業)


試作の前に知っておきたい、プリント基板の種類と用途

さまざまな製品やデバイスの軽量化・小型化が進む昨今は、限られたスペースに極小な部品を高密度で実装することが求められています。こうした状況下で、電子回路が形成されたプリント基板は、製品の心臓部として重要性が増していくと考えられます。製品の試作段階においても、最適な回路設計をするためにはプリント基板への理解を深めておくことが肝要です。

まずは代表的なプリント基板の種類を解説します。プリント基板は基材・用途によって大きく3つに分類されます。

・リジッド基板(硬質基板)

ガラスエポキシ樹脂やMEGTRON6といった低誘電率熱硬化性樹脂、フッ素樹脂、ガラスコンポジット、紙フェノールなどを素材とした、最もポピュラーな硬質基板です。民生品からFA、遊技機、自動車、航空宇宙、IoTまで幅広い用途に対応しています。基材には多くのバリエーションがあり、近年は次世代通信への注目が高まる中で、5Gアンテナやルーター、センサーなどに使用する誘電特性に優れた高周波対応基板や、放熱対策とした金属基板や大電流基板などの需要が増大しています。

・フレキシブル基板(FPC基板)

ポリイミドやLCP(液晶ポリマー)、フッ素フィルムなどの素材を用い、屈曲性と柔軟性に優れた薄型の基板です。3次元的な立体構造が可能で、携帯電話やノートパソコン、デジカメ、プリンターなどの可動部分に使用されることが多いです。最近では、車載用途にも使用されるなど、さらに用途が広がっています。


リジッド基板(左)とフレキシブル基板(右)(提供:松和産業)
リジッド基板(左)とフレキシブル基板(右)(提供:松和産業)


・リジッドフレキシブル基板(リジッドFPC基板)

リジッド基板とフレキシブル基板を一体化させた基板です。リジッド基板の部品実装のしやすさと、FPC基板の立体配置を両立できることが強みです。基板間の接続にコネクタを使用しないため、パーツの隙間に入り込んだ配線も有効で、ウェアラブル端末などの省スペース化を求められる製品に幅広く利用されています。リジッド基板とフレキシブル基板の特性を併せ持つことから幅広い分野での使用が検討されており、特に車載や航空宇宙の分野でも需要が伸びてきています。



プリント基板を用いた試作のコツ

プリント基板を用いた試作にあたり、どんなことを検討すればよいのでしょうか。基板の製造コストや納期に影響を与えるポイントは以下の通りです。

・基板のサイズや素材

プリント基板にかかるコストは、基材に対してどのくらいの寸法の基板を何枚切り出すかによって大きく変わります。試作したい製品のサイズや、基板の大きさをどこまで許容できるかを明確にしましょう。プロトタイプや3DCADの設計図をもとにメーカーと打ち合わせができると望ましいです。

・基板に求めるスペック・品質

基板に搭載する回路や部品の密度、製造公差(誤差)の範囲など、基板の品質をどこまで求めるのかも重要なポイントです。例えば、高周波対応基板のように高機能かつ量産を見据えて品質の安定性も求めるのであれば、一定のコストや製作期間を見込む必要があります。

松和産業では、回路図と部品表があれば基板製造にとりかかることが可能とのこと。「規格仕様外の製品でも内容によっては対応できる場合があり、要求仕様を満たす基材の選定から、協力会社と連携してのパターン設計や実装まで支援できます」(松本氏)
試作したい製品のイメージをある程度固めてメーカーに相談するのがスムーズに試作を進めるポイントといえるでしょう。


試作を成功に導くための、プリント基板製造メーカーを選ぶポイント

プリント基板は製造業者の数も多く、信頼できるメーカーの見分けが困難なのが実情です。メーカー選びにおいて重視したい3つのポイントを紹介します。

1.プリント基板の製造設備

プリント基板の製造スピードと品質を左右するのが、製造設備の豊富さです。社内で製造工程が一貫していると納期を短縮しやすくなり、高性能な設備を用いることで高機能な基板を安定して製造できます。

松和産業は小ロット製造に対応しているメーカーでは珍しく、社内に一貫した製造体制を有しており、30種類を超える最新鋭の製造設備を備えています。「令和元年にはFPC基板の製造ラインを新たに立ち上げ、顧客の要求仕様に応えられるように果敢な設備投資を行っています」(玉置氏)

プリント基板製作の様子(提供:松和産業)
プリント基板製作の様子(提供:松和産業)


2.ノウハウ・分析力

試作においては、依頼側も予測がつかない検討事項や不具合が発生することが多々あります。メーカー側から実現可能性を高める提案ができることや、不具合の原因や解決策を分析できることも、製品開発のスピードを高めるファクターになりえます。
「松和産業は30年を超える業界実績に加えて、国家資格であるプリント配線板製造技能士を取得した技術者が30人以上おり、技術者の人材の質にも強みを持っています」(伊藤氏)


3.営業担当者の知識や提案力

実際に製造を依頼する以前から、信頼できるパートナーとして対話できるかどうかが重要です。松和産業では「1級電子回路営業士」の検定資格を取得している営業担当者が8人おり、体系的な知識をもとに顧客からの相談に乗ることが可能です。

短期間で製品化を実現するために、試作を手掛けるメーカー選びには万全を期したいものです。「短納期・高品質」のキャッチコピーだけでは分からない実力を見極めることが大切です。


これまでに例のない試作にも果敢に挑戦。松和産業だから実現できたスピード感

松和産業では、他社で断られた案件も含め、これまで多数の試作を手掛けてきました。同社が製品開発に大きく貢献したのが、ポータブルデバイスの試作プロジェクトです。

顧客は多機能のポータブルデバイスを製品化するため、特殊な接続工程を要するリジッドFPC基板を求めていたといいます。しかし、顧客が当初に依頼していたメーカーでは要求する仕様の実現が難しく、松和産業に声がかかったのだそうです。
「他社からは一度FPC基板を製造するだけでも2カ月はかかると言われたそうですが、当社では不具合の究明と再製作を含めて3カ月で製品化につなげました。顧客からは『よくぞ、製品をものにしてくれた』という感謝の言葉をかけていただきました」(松本氏)

基板製造メーカーとして、ものづくりの楽しさを目標に掲げる松和産業。玉置氏は「Beyond5Gや自動運転、ウェアラブル、医療、宇宙など技術進歩も著しいハイエンドな次世代要求に応えるために、従来の常識にとらわれない、全く新しい素材・基板づくりにも挑戦したい。当社を実験室と見立て、ラボ用途での立ち合いや試作も歓迎します」と今後の展望を語ります。プリント基板の試作をお考えの方は、同社にぜひ相談してみてはいかがでしょうか。


株式会社 松和産業
三重県松阪市にあるプリント基板製造メーカー。少量・短納期に対応できる強みを生かして、社員数約70人の規模ながら取引社数は2000社にのぼる。格付投資情報センターが実施する「R&I中堅企業格付」では11年連続で最高評価の『aaa』を取得しており、安定した財務体質を生かして積極的な設備投資を行っている。
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