検査治具とは。検査治具の特殊案件を多数手がける大研工業に聞く潮流と加工時の要件

検査治具とは、目的に合わせてゲージや測定機を使って製品の良し悪しを判断・検証する工具のことです。検査治具は、誰でも、簡単に、正確に、製品の良し悪しが判断できます。例えばゲージによる検査は作業者の技量の差が出づらく、扱いやすいというメリットがあり、目的に合わせた製品の良し悪しを、誰もが素早く判断することができるそうです。今回は、宮城県にある金型製作や精密部品加工、各種自動機の設計製作など、金属加工を専門に行う、大研工業株式会社に検査治具に関する基本事項や潮流、加工時の要件などについてお話を伺いました。

検査治具に多数の製作実績を持つ大研工業に話を伺いました

大研工業は、宮城県で50年近く金型製作や精密部品加工、各種自動機の設計製作を手掛けています。中でも、金型製作で培った技術を活かして手掛ける検査治具や加工治具の製作が強みです。複雑な形をした製品の検査治具は、製作できるところが少ないという理由もあり、難しい特殊案件ばかりが集まるようになりました。

本記事では、検査治具に関する基本事項や潮流、加工時の要件などについて、大研工業の代表取締役社長である今野崇輝氏に話を伺いました。

宮城県大崎市にある本社外観(提供:大研工業)
宮城県大崎市にある本社外観(提供:大研工業)


検査治具とは、製品の良し悪しを「誰でも、簡単に、正確に」判断する道具

検査治具とは、「形状を測定したい」「精度高く作業したい」など、目的に合わせてゲージや測定機を使って製品の良し悪しを判断・検証する工具のことです。

例えば、ある製品の検査したい部分の寸法が30mmで、寸法公差は0mmから0.005mmだとします。その場合、29.995mm~30mmの範囲内であれば、その製品は良品と言えます。このとき、0.005mmの寸法公差内に収まるかどうかを検証するのが、検査治具の役割です。

検査治具の最大の特徴は、「誰でも、簡単に、正確に、製品の良し悪しが判断できる」こと。例えば、ゲージによる検査は作業者の技量の差が出づらく、扱いやすいというメリットがあります。製品の穴にゲージを入れてみて、「通ればよし」「通らなければよし」というように、目的に合わせた製品の良し悪しを、誰もが素早く判断することができます。


さまざまな形状のゲージを製作している(提供:大研工業)
さまざまな形状のゲージを製作している(提供:大研工業)


検査治具の用途と種類

検査治具の用途に関しては概ね、狂いのある製品をはじくために「狂いがわかる」検査治具をオーダーする顧客が多いようです。ただし厳密には、用途は製品や顧客によって実にさまざま。今野氏いわく、「私たちでさえも、使われ方が分からない検査治具は多い」そうです。

また、1つの製品を作るのに、必要な検査治具は多岐にわたります。例えばゲージは、単体では「丸ゲージ」「ピンゲージ」「角ゲージ」などがありますが、製品によっては部品と部品を組み合わせたゲージが使われるケースも多々あります。そのため、検査治具の用途と種類は、正確に言えば「製品と顧客の数だけ存在する」といっても過言ではありません。

「単品のゲージであっても、精度の要求は実に多岐にわたります。形は同じでも外径30mm、29.995mmというように、求められる寸法の径が少しずつ違ったりします」(今野氏)


非常に複雑な形状の治具もある(提供:大研工業)
非常に複雑な形状の治具もある(提供:大研工業)


検査治具のメリットと潮流

検査治具の最大のメリットは、先にも述べた通り、作業者の触感で誰でも、簡単に、正確に、製品の良し悪しが判断できることです。センサー付きの検査治具では、接触したかどうかの判断なども明確にできます。作業者の技量にさほど依存しないため、結果に差が出づらいのです。

また、自動測定器などと比べて製作コストが抑えられること、現場の生産性が上がることも検査治具の大きなメリットです。

「近年は、大量生産できる製品であれば、検査も自動化の流れが主流です。ただ、多品種小ロットの製品でそこまで量が出るわけではない場合、大きなコストを掛けて検査を自動化する機械までは必要ありません。その場合、全自動ではなく半自動でも、手動であっても、作業者がスムーズに検査できる治具があれば生産効率は上がります。例えば、検査治具を導入することで、もともと5人いる製造ラインの人員を1人減らし、余力ができたその人材にはやりがいのある仕事で力を発揮してもらう。人件費の削減だけでなく、生産性向上のニーズが潮流としてあるため、検査治具は重宝されています」(今野氏)

一方、検査治具のデメリットは、自動測定器と比べたとき、判断基準ギリギリの数値において製品の良し悪しの判断が少し曖昧になることです。これはセンサー付きの治具であっても同様です。ダイヤルゲージやインジケーターを用いたとしても、センサーの精度によっては、基準値ギリギリの部分は判断が難しい場合もあります。

検査治具に向くもの・向かないもの

検査治具を使用する際は、固定したり検査したりするときに圧力がある程度掛かるため、検査対象となる製品の素材は、やわらかい素材は向いていません。検査対象は、金属やプラスチックが一般的です。



「良い検査治具」に求められること

前述した検査治具の基本を踏まえて、使い手にとって「良い検査治具」を製作するために求められる要件とは、一体どういうものかを見ていきましょう。

要件1:作業性の良さ

操作があまりに複雑だと、作業者が使いこなせません。そこで検査治具は、誰でも繰り返し作業が同じようにできるよう、「なるべく使い方が簡単」であることが求められます。「誰が繰り返しやっても同じ着脱ができる」「誰でも固定する位置が簡単に決められ、検査ポイントで測定器を簡単に当てたり入れたりできる」といった作業性の良さが重要です。

「例えば、検査のために製品を固定するにも、固定のしやすさが問われます。置いたときに安定する製品なら、特別な治具がなくても、誰もが同じようにきちんと固定することができます。一方で難しいのは、曲がりやひねりがあるなど、置いたときに不安定になる形状をした製品の固定です。特別な治具が必要になりますが、誰もが安定して製品を固定し、必要な箇所を測定なり検査するためには、どこに固定位置を持ってくるかなど製作側の技量が問われます」(今野氏)

要件2:判断基準の明確さ

検査である以上、作業する人によって判断にばらつきが出るのは困ります。そのため検査治具では、判断のばらつきを無くすために、製品の良し悪しを判断する基準が明確であることが求められます。

例えば、「検査治具が製品の穴にすんなり入れば合格、不合格」といった単純明快な判断基準です。良い検査治具には、「少しでもつかえたらダメ」と誰もが判断できる基準が欠かせません。

要件3:抑えたコスト

作業性が良く、判断基準が明確な検査治具を作ることができても、価格が高ければ顧客から選んでもらえない可能性があります。そのため、できるだけコストを抑えて提案することも、「良い検査治具」に求められます。

「例えば、コイルをうまく曲げる治具や、コイルを曲げたあと曲げた角度が正しいか検査する治具は製作がなかなか難しい。特に、硬い太めのコイルを加工できるところは少ないため、困っていらっしゃるお客様は多い印象です。けれども、難しい案件だからといって、価格をぐっと引き上げるのは違います。お客様から選ばれるために、品質の良さとコストのバランスがとれるよう提案力や技術力で乗り切っています」(今野氏)


治具製作の様子(提供:大研工業)
治具製作の様子(提供:大研工業)


検査治具のニーズは研究開発部門でも

検査治具の複雑な案件を手掛けてきた技術力が、大きな付加価値となっている大研工業。現在は、顧客のほとんどが民間企業の生産部門とのことですが、「研究開発をしているような部門にもニーズはあるのでは。お客様に具体的に伺いながら積極的に提案していきたい」と、今後に向けた抱負を今野氏が語ってくれました。

検査治具や加工治具ついてお困り事やご相談があれば、大研工業にぜひご相談ください。



大研工業株式会社
1973年創業。宮城県で金型製作や精密部品加工、各種自動機の設計製作など、金属加工を専門に行う。特に、他社が嫌うような複雑な形状の製品における、検査治具や加工治具の製作が得意で、顧客の要求に合わせて精度高く仕上げるのが強み。
大研工業株式会社 お問い合わせ