北海道で製缶加工を手掛けるミヤタ技研工業。創業17年でなぜ地元の老舗企業と肩を並べるほど成長できたのか

INTERVIEW

株式会社ミヤタ技研工業
代表取締役
宮田 豪

製缶加工では小型の製品の場合、一般的に製缶加工ですべてを組み立ててから機械加工しますが、大型製品を機械加工するとなると対応できる機械が限定され、機械加工に膨大なコストが掛かります。しかし、組み立て順序を加味し、製缶技術で溶接しながら部品を組み立てることで指定の公差を守ることができ、機械加工したのと同じ精度の製品に仕上げることができ、高い精度を保ちながらもトータルコストを抑えられるそうです。今回は、産業機械部品における製缶加工と機械加工、メンテナンスの3事業を手掛ける北海道伊達市にある株式会社ミヤタ技研工業に躍進し続ける理由や原動力についてお話を伺いました。

創業17年目の若い会社ながら、地元である北海道の老舗企業と肩を並べるほどの規模にまで成長し、今や北海道の製缶加工業をリードするミヤタ技研工業。躍進し続ける理由や原動力は一体何なのか。代表取締役の宮田豪氏に伺いました。

北海道の製缶加工業をリードするミヤタ技研工業

株式会社ミヤタ技研工業は、産業機械部品における製缶加工と機械加工、メンテナンスの3事業を手掛けるメーカーで、北海道伊達市に本社を、室蘭市に2つの工場を構えます。同社は、室蘭市にある同業の会社で50年あまり役員として仕事をしてきた先代が立ち上げた会社です。製鋼業界の大手企業に先代が見込まれたことをきっかけに創業しました。

南黄金工場兼代表事務所の外観(提供:ミヤタ技研工業)
南黄金工場兼代表事務所の外観(提供:ミヤタ技研工業)


特に、精度の高い製缶構造物に強みがあり、鋼構造物製缶や精密製缶、圧延ラインの設備部品などの製作加工やメンテナンスを多数手掛けてきました。中でも大型の産業機械やその部品は輸送に多額のコストが掛かるため、同社は、北海道に拠点を置く製鋼業などの企業から「北海道内で精度の高い部品をすべて安くまかなえる」と重宝がられています。

創業17年でもノウハウは50年以上の蓄積

2004年創業の同社は、地元ではかなり若い会社ながら、今や地元の老舗企業と肩を並べるほどの規模にまで成長しました。理由の1つは、同業で50年以上仕事をしてきた先代の経験値やノウハウが、社員にも脈々と受け継がれ浸透しているからです。

「他社がやらないような仕事や断った仕事も、相談に乗りながら積極的に挑戦してきた結果、今があるのだと思います。ただし、地元全体が潤うことが大事なので、地元の老舗企業のテリトリーを犯さないようにし、同業他社とも協力し合ってきました」(宮田氏)

北海道が誇る「鉄鋼業界の宮大工」

同社のキャッチコピーは「鉄鋼業界の宮大工」です。そこには、「図面がなくても、製品を持ってきてもらえたらうまい具合に修復します」という仕事への意気込みとともに、「お客様の痒いところに手が届く仕事」をモットーに、提案型の仕事をする自負が込められています。

「壊れやすい部分や消耗しやすい部分について、『図面をこう変更すればもう少し持ちがよくなるのでは』などと提案することはしょっちゅうです。図面通りというより、お客様の痒いところに手が届く的確な提案を先回りします」(宮田氏)

北海道内で製缶加工からメンテナンスまで完結するワンストップサービス

ミヤタ技研工業の事業割合は大よそ、製缶加工45%、機械加工25%、メンテナンス30%。どれか1つの事業に大きな偏りがないことも、実は同社の特徴であり強みです。

「製缶加工から機械加工、メンテナンスまで一元的にノンストップでできるので、お客様は当社に依頼すればすべて完結します。それが付加価値であり強みなので、どれか1つの事業に偏るのではなく、同じくらいの力加減で設備投資などもしてきました」(宮田氏)

大型の製缶加工では独自技術で高精度と低コストを実現

製缶加工で手掛けるのは、クレーンの旋回部分や海に浮かぶ指標灯、製鋼所で搬送用に使う架台など、主に鋼構造物製缶や精密製缶です。

一般的には、製缶加工ですべてを組み立ててから機械加工します。小型の製品なら従来の方法で問題ありませんが、何十トンもする大型製品を機械加工するとなると、対応できる機械が限定されます。そのため機械加工に膨大なコストが掛かり、大型製品を仕上げる上での障壁となります。そこで同社はコストを抑えるべく、独自の施工方法を確立してきました。

「具体的には組み立て順序を加味し、製缶技術で溶接しながら部品を組み立てます。このやり方だと指定の公差を守ることができ、機械加工したのと同じ精度の製品に仕上げることができます。機械加工が必要なくなるので、高い精度を保ちながらもトータルコストを抑えられるのです」(宮田氏)

アンローダーの組立溶接の様子(提供:ミヤタ技研工業)
アンローダーの組立溶接の様子(提供:ミヤタ技研工業)


機械加工では他社にない機械をあえて導入

機械加工で手掛けるのは、単品や少量生産の製品がメインです。例えば、長尺の治具の加工や深穴のボーリング加工、防衛装備品の加工など。他社ではあまり導入していない機械を、あえて選んで導入するのが同社のこだわりです。

「シャフト加工や旋盤加工ができる機械は限られていて、他社で導入しているところはなかなかありません。長尺の治具を7mまで加工できる機械もそうです。他社にない機械をあえて導入することで、当社の機械加工に付加価値が生まれています」(宮田氏)

旋盤での、深穴鋸刃2条ネジ加工の状況(提供:ミヤタ技研工業)
旋盤での、深穴鋸刃2条ネジ加工の状況(提供:ミヤタ技研工業)


品質とコストに優位性があるメンテナンス事業

メンテナンス事業では主に、圧延ラインの搬送用ローラーや、クレーン車の車輪やレールなど、大型で消耗が激しい部品を手掛けています。

「素材の性質を理解してメンテナンスし、最初に納品したときと同じような状態で出荷します。買い替えれば何百万円とするので、コスト面でも優位性が高い。最近はメンテナンス事業が浸透してきて、単発でご依頼を受けることも増えてきました。そのため昨年、北海道で今のところ1台しかないプラズマの肉盛り溶接機を導入し、設備投資を強化しました」(宮田氏)

ローラー補修の様子。肉盛(左上)、肉盛後の機械加工(右上)、組み込み(右下)、完成(左下)。(提供:ミヤタ技研工業)
ローラー補修の様子。肉盛(左上)、肉盛後の機械加工(右上)、組み込み(右下)、完成(左下)。(提供:ミヤタ技研工業)


製缶加工でのチャレンジは続く

若い会社ながら着々と他社との差別化を図り、顧客からの信頼を得て、成長を続けるミヤタ技研工業。この躍進を支える原動力は何なのでしょうか。

「チャレンジ精神です。これに尽きます。今でこそ、高さの誤差0.1ミリ以内といった厳しい製缶精度が求められ、レントゲンで溶接精度をすべて厳しくチェックされる湾岸産業機械をも手掛けるまでになりましたが、最初からうまくいったわけではありません。そこに至るまでにはたくさんのチャレンジがあり、失敗して大赤字になったこともあります」(宮田氏)

例えば、「ニューマチックアンローダー」という、タンカーで輸入された穀類などを吸い上げて荷揚げする装置です。同社ではレシーバータンクという、極端に言うなれば「大きな掃除機」の部分を手掛けました。

「レシーバータンクは、求められる精度や真空度などが厳しく、初めのうちは失敗もしました。でも諦めずにチャレンジし続けて、同じようなものを2台、3台と手掛けるうちにものになっていったのです。そうして実績を積むうちに、『難しい製缶構造物はミヤタ技研工業へ』と言われる仕事につながっていきました。他社がやりたがらない仕事にチャレンジし続けてきた。これが当社の歴史でありDNAです」(宮田氏)

ミヤタ技研工業が手がけたニューマチックアンローダーのサイクロンタンク(提供:ミヤタ技研工業)
ミヤタ技研工業が手がけたニューマチックアンローダーのサイクロンタンク(提供:ミヤタ技研工業)


今後はどのような未来を見据えているのでしょうか。

「頼られているうちが花。期待を裏切らないよう技術を磨き続ける必要があります。小型製品については、大型の製缶加工に引けを取らない付加価値の高い加工が目標です。そこで今年、小型の溶接機を3台導入して4台体制にしました。今後はステンレスや銅、アルミといった非鉄金属の加工にも注力します。それに新しいことにも引き続きチャレンジしていきます。室蘭市内の中小企業5社が連携する組織『室蘭航空宇宙産業ネットワーク』に加わっていますが、今後ロケットエンジンの上げ下ろしに使う治具や架台など、支援機材などの分野でお役に立てると考えています」(宮田氏)


産業機械部品における精度の高い製缶加工や機械加工、メンテナンスについてお困り事やご相談があれば、ミヤタ技研工業にぜひご相談ください。


株式会社ミヤタ技研工業
2004年創業。製缶加工と機械加工、メンテナンスの3事業をワンストップサービスで手掛ける。特に精度の高い製缶構造物に強みがあり、技術力とコストパフォーマンスに顧客からの信頼が厚い。
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