電子制御機器で分野を問わず市場を開拓。「小型化・安価・性能よし」で難題をクリアしつづける野場電工の強さとは

エアバックや小型高機能計測器、介助用ロボットなど様々なものに利用されるセンサー技術。センサー技術を使った制御技術の応用で困りごとを解決するには、目的に合わせて必要な機能だけを選定する目利きが大切で、この機能ならこのセンサーといった選定をすることでコスト削減につながるといいます。今回は、愛知県豊田市に本社をもち自動車用部品や電子機器の開発・設計・製作などを手掛ける野場電工株式会社に小型で、安価で、性能がいい競争力のある製品を生み出し続ける秘密についてお話を伺いました。

小型高機能計測器や介助用ロボットなど、培ったセンサー技術で、時代が求める製品をよりよい形で世の中に生み出している野場電工。小型で、安価で、性能がいい競争力のある製品を生み出し続ける秘密は、どこにあるのでしょうか。取締役 常務執行役員 野場務氏、エレクトロニクス部門 部門長 浅井俊博氏、エレクトロニクス部門 電子機器部 主査 酒井義文氏の同社のキーパーソン3人に話を伺いました。

電子制御機器の開発技術で社会に貢献する野場電工

「電子製品が重要な役割を担う新しい時代がきっとくる」

46年前の1975年、野場電工の創業者であり、現在の会長である野場基氏は、時代の流れをそう読んでいました。そして当時勤めていた大手自動車メーカーの電子技術部門を辞すると、愛知県豊田市に会社を設立。ものづくりの会社としてスタートしました。

創業時は製造部門でのスタートでしたが、「電子制御技術で社会に貢献したい」という創業者の強い思いから、電子制御機器の開発や設計を行う開発部門が加わることに。同社はメーカーというポジションで事業分野を拡大し、現在はシートベルト部門、プラスチック成形部門、エレクトロニクス(技術)部門の3つで事業を展開しています。


電子制御機器の開発風景(提供:野場電工)
電子制御機器の開発風景(提供:野場電工)


基盤とセンサー技術を絡めた電子制御機器開発が得意。「小型化・安価・性能よし」を叶える設計とものづくり

今回は、エレクトロニクス部門の取り組みについて掘り下げて話を伺いました。もともと同部門は、電子制御機器の技術を使って、お客さまの困りごとを一つひとつ具体化するところからスタートしたといいます。

「電子制御機器の試作品のご依頼を通して、小型化やシステム化といったご要望に応える中で、培ってきたスキルやノウハウが当社の強みです。特にエアバックのセンサーを応用した製品開発からスタートし、当社のセンサー技術は培われました。ですからセンサー技術を絡めた制御製品開発が得意です。複合レバースイッチや小型高機能計測器、介助用ロボット、太陽光発電状態センサモニターといった製品も、お客さまから相談を受けて設計から製造まで一から手掛けました」

こう話すのは取締役常務執行役員の野場務氏。さらに同社の強みについて、エレクトロニクス部門の部門長である浅井俊博氏は次のように付け加えます。

「長年お客さまの困りごとを解決する中で、お客さまの目的に合わせて必要な機能だけを選定する目利きも同時に養ってきました。この機能ならこのセンサーでいいよね、といった選定ができる。それがコスト削減につながります。お客さまのニーズを具現化する設計力と、設計したものを安価に形にする力。この両輪でお客さまに提案できるのが私たちの大きな武器です」


培われたセンサー技術で市場を開拓。省庁認定レベル計測器の開発事例

野場電工の強みを活かして開発された製品は、市場でもニーズが高く評判です。例えば、試作品から量産化につながった計測器は、小型で、安価で、省庁認定レベルの性能を持つ極めて付加価値が高い製品。「この価格でこの性能の同様な機能・性能の計測器はなかなかない」と幅広い分野から引き合いがあります。

左から、初代、2代目、3代目の小型計測器(提供;野場電工)
左から、初代、2代目、3代目の小型計測器(提供;野場電工)


「当社がこの計測器の開発に携わったのは2000年頃。もともとお客さまで車のエアバッグを手掛けるメーカーから、『エアバッグのセンサーを使って何かできないか?』と言うご相談があり、新たな開発のサポートすることになったのがきっかけでした。当社がその事業を引き継ぎ、発売元である計測器メーカー様と改良を重ねて現在3代目になりますが、より小型化し、数値をより正確に測れるよう性能を引き上げ、けれども価格は以前のものより下げています」(浅井氏)

この計測器は今や、市場を新たに開拓するほどの製品へと成長。市場のニーズは、従来では考えられないほど広がっているようです。これについて、エレクトロニクス部門電子機器部 の主査である酒井義文氏は、次のように話します。

この計測器は、もともとは大型で高価なもの。ですから導入するのは省庁などの限られた官公庁がほとんどでした。それを当社がこれまで蓄積した量産ノウハウを活かして、低価格化を実現し、さらに小型で、性能も確かな計測器となったことで、お客さまであるメーカーから「さまざまな分野の業種から多様化した用途での引き合いが増えており、今後ますます販路拡大が期待される」と嬉しいお言葉を頂きました。


新たな分野にも臆せずチャレンジ。介助用ロボットのコントローラ基板の開発事例

「スマイビ」は、株式会社東郷製作所様が開発した赤ちゃん型コミュニケーションロボットです。高齢者の介護をサポートするために開発されたロボットで、目、口、首の動き、内蔵された500種類の赤ちゃんの声、ランプで喜怒哀楽といった感情を豊かに表現します。本体に搭載された複数のセンサーが揺れなどを検知して、「たかいたかい」をすると喜んだり、乱暴に扱うと泣いたりとリアルな動きが特徴です。

野場電工は、「スマイビ」のコントローラ基板の開発に携わりました。声と表情を表現する電子機器部とそれを制御するプログラム、そこに当社の技術が生かされています。


「スマイビ」の表情。嬉しい(上)、悲しい(左下)、寝る(右下)(提供:東郷製作所様)
「スマイビ」の表情。嬉しい(上)、悲しい(左下)、寝る(右下)(提供:東郷製作所様)


「当社の開発メンバーは、『電子のオタク』といえるほどこの仕事が好きです。個人で計測器を持っているメンバーもいるほど。要求が高く、難しい案件が来ると、チャレンジ精神に火がつくタイプです。そうしたメンバーで成る部門だからこそ、新しいチャレンジにも臆することや妥協がないのかもしれません」(浅井氏)

地道でありながら、結果を出すために発揮する柔軟性と旺盛なチャレンジ精神は、まるでベンチャー企業のようです。長年培われた高い技術力に加えて、こうした仕事に向かう姿勢も同社の魅力といえます。


介護・保育・電気自動車など新たな分野でも貢献したい

左から、野場氏、浅井氏、酒井氏(提供:野場電工)
左から、野場氏、浅井氏、酒井氏(提供:野場電工)


エアバッグのセンサー技術から、画期的な小型高機能計測器の開発へ。はたまた介助用ロボットの開発へ。核となる電子制御機器の開発技術をつねにブラッシュアップしてきたことで、分野にとらわれることなく、時代が求める製品をよりよい形で世の中に生み出してきた野場電工。今後、チャレンジしてみたい分野はあるのでしょうか。

「当社はこれまでも、安全・環境・福祉の分野で事業展開していきたいと言い続けてきました。ですから少子高齢化の時代、介護の分野でニーズを掴んでいきたいですね。あとは、企業主導型保育園『とよたキッズステーション吉原』を開園・運営してきた経験があり、保育の分野でもきっとお役に立てるニーズがあるのではと考えています」(野場氏)

「実は、当社は長らく電気自動車の開発に携わってきました。2000年にマイクロEV(小型電気自動車)に電子部品供給をしましたが、時代に対してあまりに時期尚早でまったく売れませんでしたが、カーボンニュートラルが叫ばれる今、何か世の中にご提案できることはあるのではないかと常々考えています」(浅井氏)

センサー技術を使った制御技術の応用で困りごとや実現したいことがあれば、分野を問わず、ぜひ試作から野場電工にご相談ください。


野場電工株式会社
愛知県豊田市に本社をもち自動車用部品や電子機器の開発・設計・製作などを手掛けるメーカー。自動車用シートベルトやプラスチック成形の製造のほか、エレクトロニクス部門では小型高機能計測器や介助用ロボットの開発にも取り組む。
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