『第16回 再生可能エネルギー世界展示会&フォーラム RENEWABLE ENERGY 2022』現地レポート

2022年1月26〜28日の3日間、東京ビッグサイトにて「第16回 再生可能エネルギー世界展示会&フォーラム RENEWABLE ENERGY 2022」が開催されました。本展示会では、省エネ・再エネのようにエネルギーをうまく活用することで化石資源の消費抑制を図り、地球温暖化の防止と持続可能な社会の実現を目指すための様々な技術が紹介されていました。今回は、「太陽光パネルお掃除ロボット」、「プラスチック製雨水貯留浸透施設用ブロック」、「肌になじみやすい特殊ポリレフィン」および「様々な素材に適用できるメッキ用プライマー」の展示内容を紹介します。

太陽光パネルお掃除ロボットで、発電効率低下の原因となるホットスポットの汚れを除去

ロボット、ドローン、その他関連製品の研究開発、設計、製造、販売、輸出などを行っている株式会社ワールドスキャンプロジェクト(東京都新宿区)が出展していたのは、太陽光パネルお掃除ロボットです。説明してくださった同社企画営業部、産業ロボットチームの及川靖隆(おいかわ・やすたか)氏によれば、現在、太陽光パネルの掃除はほとんど人の手で行われているそうです。

日本でも全国的に大規模な太陽光発電システムが設置されていますが、太陽光パネルにホットスポットと呼ばれる鳥の糞や植物の花粉、落ち葉、泥などが付着すると発電効率が悪くなります。こうしたホットスポットの汚れを落とすために、同社は太陽光パネルお掃除ロボットを開発したと言います。

人力で行ってきた掃除作業をロボットによって自動化し、労力を使わずより多くのパネルをむらなく掃除することで、運用コストや労災リスクを削減でき、ホットスポットを抑制することで発電効率の低下を防ぐことができるそうです。太陽光パネルが設置されている山間部などにも運び入れることができるように折畳式で軽量化し、設置角度35度でも稼働させることができ、低圧から特別高圧までの発電所の規模にも対応可能と言います。

及川氏によれば、このロボットを使えばソフトナイロン回転ブラシとスプリンクラー散水で太陽光パネルの表面を傷つけずに清掃でき、人力で洗浄するために使う水の量を1/8以下にすることが可能だそうです。また、1MWの太陽光発電システムでも2名のスタッフにより2、3日で掃除ができると言います。

ワールドスキャンプロジェクトの太陽光パネルお掃除ロボット。重量は約60kg。ワンタッチでブラッシングによる水洗いと拭き取り仕上げまで自動で行うそう
ワールドスキャンプロジェクトの太陽光パネルお掃除ロボット。重量は約60kg。ワンタッチでブラッシングによる水洗いと拭き取り仕上げまで自動で行うそう


プラスチック製雨水貯留浸透施設用ブロックで、豪雨の雨水も無駄にしない

プラスチック製品の設計・製造・販売などを手掛ける天昇電気工業株式会社(東京都町田市)が出展していたのは、ゲリラ豪雨などの雨水を貯めたり流出を抑制したりする施設のためのプラスチック製雨水貯留浸透施設用ブロックです。説明してくださった同社営業本部土木資材部の中谷耕太郎(なかたに・こうたろう)氏によれば、従来の同種製品よりも強度が高く、内部や組み合わせの空間をより多くとることで大量の雨水を貯めることができる構造になっていると言います。

こうしたプラスチック製雨水貯留浸透施設用ブロックは、多数を小規模分散でき、工事費用も安くすむそうです。同社のブロックは、互い違いにスクラムを組むように積み重ね、貯留型の施設では遮水シート、浸透型で浸透シートを使い、駐車場、公園、学校などの施設の地下に遮水や浸透シートを貼ってから埋設すると言います。

中谷氏によれば、同社のブロックは標準サイズで1個が740mm×740mm×670mm(高さ)、重量は約5.3kg、ブロックとブロックの間に160mmの空間を保持することで1立方メートルあたりの樹脂の量を減らすことができるそうで、そのため、空隙率を高くすることができたといいます。標準では1立方メートルあたり6個を組み合わせるそうで、すでに8,000m2や1万5,000 m2の駐車場で実績があるそうです。

天昇電気工業のプラスチック製雨水貯留浸透施設用ブロック。ブロック同士はジョイント部材や切掛け加工などが不要で組むことができ、運搬時の積載効率も高く、再生材を使用しているために環境負荷も低くできていると言う
天昇電気工業のプラスチック製雨水貯留浸透施設用ブロック。ブロック同士はジョイント部材や切掛け加工などが不要で組むことができ、運搬時の積載効率も高く、再生材を使用しているために環境負荷も低くできていると言う


人間の体温によって柔らかくなり、肌になじみやすい特殊ポリレフィン

自動車用、ヘルスケア、フード・パッケージ、基盤素材などの総合化学メーカー、三井化学株式会社(東京都港区)が出展していたのは、形状記憶機能や温度依存性のある特殊なポリオレフィン(polyolefin)です。説明してくださった同社フード&パッケージ事業本部、企画管理部、新製品開発グループ主席部員の上田剛史(うえだ・たけし)氏によれば、今回の展示は試作品による参考出展で事業化や供給については未定と言います。

形状記憶性については、常温でゴムのように曲げたり折ったり伸ばしたりでき、最初は硬いものの、次第にじわじわと伸び、変形すると一定時間は形状を保ち、少しずつ元の形状に戻るそうです。また、温度依存性は、人間の体温で柔らかくなり、10℃から50℃の間で弾性率、引張強度が変化するといい、40℃の以上の高温下で柔らかく、100℃で溶け、10℃以下の低温下で硬くなると言います。

特に温度依存性では、人間の体温によって柔らかくなり、肌になじみやすいという特性をもっているそうです。また、水は透過・浸透・吸収せず、無臭で、素材同士の表面を合わせると粘着性が少しあるといいます。任意に穴を開けて通気性をもたせることは可能と言い、一般的なオレフィン径の接着剤を使うことができるそうです。

すでに、家具メーカーとソファーやエアクッション、靴メーカーとパンプスの中敷きなど、服飾メーカーと人肌になじむブラジャーなどを提供開発していると言います。上田氏によれば、素材の特性を生かした新しい使い方を探るために同展に出展したそうです。

三井化学の特殊ポリレフィンを使ったブラジャー。厚みは0.5mmだが、サイズや厚みについては検討して対応できる部分もあるそう
三井化学の特殊ポリレフィンを使ったブラジャー。厚みは0.5mmだが、サイズや厚みについては検討して対応できる部分もあるそう


様々な素材に適用できるメッキ用プライマー

機能性ナノ分散塗料の開発・製造・販売を行っている株式会社イオックス(大阪府東大阪市)が出展していたのは、無電解メッキが析出するメッキ用プライマー(下塗り)です。説明してくださった同社研究開発部、複合材料グループ、中澤悠人(なかざわ・ゆうと)氏によれば、従来は難しかった樹脂、セラミックス、繊維などにメッキできるプライマーと言います。

例えば、PETフィルムに無電解銅メッキ処理を施したり、塗工フィルムにニッケルメッキ処理をしたりすることが可能とのこと。このプライマーは黒褐色の液体で、母材の必要な部分にボトムアップ製造法でメッキでき、従来は20数工程あった樹脂メッキの前処理が不要になり、工程数や廃液が削減されることでメッキによる環境負荷も少なくできると言います。

被膜の厚みは標準的なもので乾燥後、0.05umから数um、数十nmの膜厚で85%程度の透過性があり、薄膜にしても強い密着力が得られるそうです。液状なので印刷にも対応でき、透明PETフィルムに無電解銅メッキでインクジェット印刷したり、凸版によるフレキソ印刷したり、あるいは3Dパターンにもメッキすることが可能と言います。

イオックスのプライマーを用いたメッキ展示品。PETの複雑な3D形状品へのメッキも可能とのこと
イオックスのプライマーを用いたメッキ展示品。PETの複雑な3D形状品へのメッキも可能とのこと


コロナ禍の中、感染対策を実施して開催された「第16回 再生可能エネルギー世界展示会&フォーラム RENEWABLE ENERGY 2022」の展示会でしたが、多種多様な内容の展示会が一同に介していたためか、来場者も多く、昨今の展示会のなかでも活気が感じられました。


文・写真/石田雅彦


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