JSA(日本規格協会)とは?JIS規格・ISO規格・JSA規格との関係を詳しく紹介

日本の国家規格の一つ・JIS(日本産業規格)の制定に深い関わりを持つJSAとは、どのような活動をしている機関なのでしょうか。今回は、JSAの担っている役割や、JSAグループを構成する3つの法人、JISやISOとの関わりなど、JSAに関する基本的な情報について紹介します。

JSA(日本規格協会)の組織概要

JSA(日本規格協会)は、日本国内での規格開発と標準化の普及に関わっている機関です。名称はJapanese Standards Associationの頭文字から取っています。JSAが関わるのは日本の規格全般ですが、国家規格としてとりわけ広い範囲をカバーするJISの開発に長く関わってきた機関として知られています。その歴史は長く、1945年12月に大日本航空技術協会と日本能率協会の規格に関わる部門が合併して発足しました。これは、JISについて定めた工業標準化法が制定された1949年よりも早く、JSA はJISの誕生当時から深く関わってきた機関であることがわかります。なお、かつては経済産業省の管轄にありましたが、2012年には一般財団法人に移行しました。(参考文献1)

JSAの役割は、規格の開発や普及を通じて国民の生活を豊かにすること

JSAの活動は規格の開発だけでなく、規格と標準化の重要性を普及することで日本の産業技術力の向上と生産の能率化に寄与し、国民生活を豊かにするという大きな役割も担っています。
近年は、情報技術の急速な発達、グローバルスタンダードの浸透、年齢別人口分布の大きな変動を迎えている時期でもあり、標準化に求められる意味や必要性も多様化してきています。
こうした時代の動きを受けて、JSAは活動内容を変化させています。これまでJSAが担ってきた役割を3つの部門に分割し、2019年からは各部門を法人化し、日本規格協会グループとして新体制に移行しました。これにより、それぞれの役割の専門性と機動力を向上させることが目的です。

JSAを構成する3法人

現在の日本規格協会グループは、次の3つの法人によって構成されています。

1. 一般財団法人 日本規格協会(JSA)
規格開発と標準化普及を担当する部門です。書籍販売やセミナー開催なども行っています。

2. 日本規格協会ソリューションズ株式会社(JSA-SOL)
営業部門であり、出版情報事業、研修事業なども担当。審査登録、サービス認証などの組織認証事業も受け持っています。

3. 一般財団法人 日本要員認証協会(JRCA)
要員認証事業の部門です。ISOマネジメントシステムの審査員、内部監査員、ISOの翻訳者、規格開発エキスパートなどの資格登録を担当します。

このように、JSAは3法人からなるグループとして活動しながら、規格開発と標準化普及の活動を進めています。

 

 

JSAの活動の特徴3点

次に、JSAがどのように規格と関わっているのか、活動内容の重要なポイントを見ていきましょう。

1. JIS規格の制定において重要な役割を担う

JSAはこれまでJISの開発と密接に関わってきましたが、その役割は昨今、より重要なものになっています。
JISの制定は、基本的に次のようなフローによって進められます。

1.国や産業界から規格が必要とされる内容の要望
2.業界団体やJSAが原案作成
3. JISC(日本産業標準調査会)が審議
4.主務大臣による制定
5. JIS規格として制定

この流れの中でJSAが担当するのは、原案作成から審議会への提出までの過程、2から3へ続く部分です。
2019年に新JIS法(産業標準化法)が施行されたことで、このフローを簡略化し、制定までの時間短縮が図られました。2~4の過程において、標準化に関わる専門的な知識と能力を備えた認定機関(認定産業標準作成機関)が提出した規格案は、3の審議会を経ずに制定できるようになったのです。
JSAは認定産業標準作成機関として第1号の認定を受け、JIS制定に関しての立ち位置はより重要なものとなっています。

 
JISについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2. ISOマネジメントの国内委員会としても活動

JSAが関わっているのは、国家規格のJISだけではありません。国際規格のISOについてマネジメントする国内委員会の運営も行っています。
品質マネジメントシステムに求められる事項を定めたISO 9001と、それに関する用語や運営管理方法、適用指針、支援規格などを含めた規格群は、ISO 9000ファミリー規格と呼ばれています。
同様に、環境マネジメントシステムについてはISO14000ファミリー規格に規定され、まとめられています。
これらISO9000/14000をマネジメントするISO/TC176およびISO/TC207の国内委員会の運営を行っているのがJSAです(ISO/TC207は社団法人産業環境管理協会と分担して運営)。


ISOについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

3. 独自の民間規格「JSA規格」の開発・発行も行う

JSAはJISやISOとの関わりを持つだけでなく、「JSA規格」という独自の民間規格も開発・発行しています。
日本の経済活動は多様化し、サービス業や情報技術など、さまざまな産業において標準化が求められる場面が少なくありません。こういった変化の速い分野では、国際規格・国内規格ともに従来の制度では対応が厳しい面もあり、規格開発が困難となる場合もあります。
このような従来制度では対応が難しい規格開発ニーズに対し、透明性・公平性・客観性を備えた民間規格として発行しているのがJSA規格です。社会的責任と信用を伴った民間規格を発行できるのは、長くJIS開発に関わってきたJSAだからこそ可能といえるでしょう。
「BtoBコールドチェーン物流サービス規格」として発行されたJSA-S1004がその一例です。
ASEANではコールドチェーン物流(温度管理を伴う物流)のニーズが高まり、主に食品などの保冷配送の重要度が高まりを見せています。
コールドチェーン物流では、管理の方法や基準が標準化されていなければ、健康被害や食品廃棄などにつながる恐れがあります。またそのような問題はコールドチェーン物流に対する消費者の信頼を損ない、物流網の普及に支障をきたすことも懸念されます。
業者から消費者へのBtoC小口保冷配送サービスについてはISO規格がありますが、業者間のBtoBコールドチェーンについては規格がありませんでした。そこで、国土交通省の提案のもと策定のための議論が続けられ、発行されたのがこのJSA-S1004です。
今後はこの規格を標準として、ASEANをはじめとするアジア諸国に普及していくことを目指しています。(参考文献2)



国内の規格と標準化において重要な役割を果たすJSA

JSAとはどういった機関か、その沿革や役割、活動内容などについて紹介しました。JSAはJIS策定に深く関わってきた機関であり、新JIS法施行以降は認定機関としてさらに重要な役割を持つようになっています。また、国際規格ISOの国内委員会や、独自規格・JSA規格の発行など、さまざまな規格と標準化の普及に関わっています。
産業やニーズが多様化する中で、規格と標準化の重要度は高まっています。それに伴い、JSAが担う役割もさらに大きなものとなっていくのではないでしょうか。


▽参考文献
参考文献1:「JSA GROUP Webdesk」(日本規格協会グループ)
(https://webdesk.jsa.or.jp/)
参考文献2:「BtoB コールドチェーン物流サービス規格 JSA-S1004 が発行されました~日本式コールドチェーン物流の海外展開を目指して~
(国土交通省プレスリリース)、2020年7月

 

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