ISO規格とは|ISOの基礎的な知識とメリット・デメリットを徹底解説

国際標準化機構という機関が定める規格に「ISO規格」があります。国際間取引が多分野で増えてきている近年では、ISO規格の重要性は年々高くなっている状況です。また、企業によってはISO規格を取得していないと国内間であっても取引を行うことが難しいなど、国際的な基準に合わせた方針で取引を進めているところも増えてきています。今回は、ISO規格とはそもそもどんな規格でどんなメリット・デメリットがあるのか、そして取得するにはどうすればいいのかを解説します。今後、他国との取引や、他国と取引している企業との取引を検討されている方はぜひ参考にしてください。

ISO規格とは

ISO規格は、国際標準化機構ISO(International Organization for Standardization)が定める規格で、あらゆる部品・製品・サービス・システムなどの基準を国際的な規模で統一することを目的として作られました。ISO規格を取得することは「国際的な基準に合わせたモノづくり・運営ができる」ということの証明にもなりえます。

そのため、国際的な取引を行っている企業(自動車関係の企業や衣服関係の企業など)はISO規格に則って、製品の開発や運営方法を実施しているところがほとんどです。これにより、世界に輸出した製品が輸出先で故障したとしても現地の工場で修理できるようになります。

また、ISO規格には規格対象によって分けた「モノ規格」と「マネジメントシステム規格」の2種類があり、それぞれの内容は以下で解説します。


モノ規格とは、モノに対して基準を定めた規格のこと

モノ規格とは製造するモノ(製品・部品)に対する基準を定めている規格のことです。モノに対する規格を定めることで、ISOに認定された製品や部品の基準が統一されて、その基準を満たすものは世界で利用ができるモノとなります。

例えば、一番イメージしやすいのがクレジットカードです。現時点でクレジットカードは、日本全国、世界の旅行先などあらゆる場所で利用することが出来ます。これは、クレジットカードのサイズがISO規格に定められているからです。
もし、クレジットカードのサイズがISO規格で定められていなかったら、クレジットカードはそれぞれ提供する会社ごとにサイズが違って挿入口に差し込めないような不具合が発生していたかもしれません。また、クレジットカード以外にも以下のようなモノに対してISO規格が適用されているので、「もし定められていなかったらどうなっていただろう?」とイメージしながら確認してみてください。

【ISO規格が定められている製品】
・コピー用紙のサイズ(A4、B5など)
・案内標識・看板(非常口の標識など)
・コンセントやプラグ(差し込み口の統一)
・ネジ(ネジ山の幅など)

 

マネジメントシステム規格とは、作業工程などに対して基準を定めた規格のこと

マネジメントシステム規格とは、社内ルールや運営システム、作業工程の仕組みなどに対する基準を定めている規格のことです。この規格があることによって、製品の管理方法や検査基準、製造工程が統一されて、その規格に携わる人たちが同じ目標(不良発生ゼロなど)に向けて作業するようになります。

そのため、ISO規格に則った方法を用いて運営をしている企業は、安定した品質で製品を提供できる企業として評価されやすくなります。企業によってはマネジメントシステム規格の認定を取得していないと取引を行うことが難しくなるところもあります。

また、マネジメントシステム規格はモノ規格と異なり、「規格を導入したら終わり」などのように簡単にはいきません。人材教育も含めて規格を恒久的に機能させるには、PDCAサイクルを回し続けて改善実施を繰り返しながら規格を満たし続けられる盤石な体制を整える必要があります。したがって、ISO認定を受けている企業を評価する時は、その規格に対してPDCAサイクルを回し続けられているかも判断基準となります。



【マネジメントシステム規格の種類】
マネジメントシステム規格と言っても、品質に関する規格だったり、機密情報に関する規格だったりと種類は様々です。業種によって取得が推奨される規格は違ってくるので、まずはどんな規格があって、自社に適した規格はどれなのか確認してください。

規 格 項 目 内 容
ISO9001 品質マネジメントシステム サービスや製品の質を保証し、顧客満足度を高める。
ISO14001 環境マネジメントシステム 会社があることで周囲に与える悪影響を無くす。
ISO27001 情報セキュリティー 機密情報や個人情報の漏洩、ネットワーク犯罪を防ぐ。
ISO22000 食品安全 製造工程を含めた企業全体の管理を行い、食品の安全性を保証する。
ISO20000 ITサービス ITサービスの内容やリスクを明確にし、効率性や改善の機会を作る。
ISO22301 事業継続 効果的・効率的な事業継続マネジメントシステムの運用を実現する。
ISO17025 試験・校正機関 試験所や校正機関が、正しい結果を生み出せるかどうかを認定する。
ISO50001 エネルギー エネルギー使用を効率化し、使用量を削減する。

 

ISO規格を取得することのメリット

 

ISO規格を取得することで得られるメリットは様々ですが、その中でも特に知っておきたい3つのメリットをご紹介します。

【ISO規格を取得することで得られるメリット】
・管理体制を対外的にアピールできる
・作業を標準化できる
・責任の所在を明確にできる

ISO規格を取得することのメリットで注目すべき点は、マネジメントシステム規格の方に多くあるということです。マネジメントシステム規格に関しては、会社の運営体制、作業の安定性、情報の保守性などについて定められているので、マネジメントシステム規格の認定を取得しているだけで品質や組織運営の健全さをアピールすることができ、国際間取引を行う際に有利に働くことが期待できます。

 

管理体制を対外的にアピールできる

ISO規格を取得していることで管理体制を対外的にアピールできます。「ISO規格の取得」事実が国際基準レベルでの管理を行っているという第三者機関の証明と言えるため、取得しているだけで取引先や顧客からの信頼を得たり、取引を優位に進めたりすることができるようになります。

また、管理体制がしっかりしていれば品質面の向上にも繋がるとされているので、取得しているだけで客先に対する提供品質レベルを保証するものとしても役立ちます。この観点から、市場クレームなどを絶対に出したくない一部のメーカーでは「ISO取得企業としか取引をしない」と社内ルール化が行われていたりもします。


作業を標準化できる

SO規格に準じて管理体制を整えれば、作業を標準化することが出来ます。作業を標準化すると、決められた規格に従って作業をすることになるので、「誰でも作業を実施できる」という環境を構築することが可能です。

また、誰でも作業を実施できる環境を作ることが出来れば、たとえ新入社員が入ってきてもすぐに作業実施ができるため、作業効率を大きく低下させることがない安定した運営、安定した品質の提供実現に繋がります。

責任の所在を明確にできる

ISO規格に基づいて組織全体の管理の仕組みを作ると、各作業者に役割が与えられて、作業者はその役割にのみ集中するような形態となります。これにより、役割分担が明確化するので仕事に対する責任の所在をはっきりさせることが出来ます。

また、役割が明確化することで一人ひとりが「この仕事は何のためにしているのか」「その仕事のために、自分は何をすればいいのか」を自覚できるようになって、自然と作業員の業務の質が向上していくことでしょう。


ISO規格を取得することのデメリット

 

ISO規格は取得しているだけで品質が安定している保証にもなりますし、社内の業務分担が明確化するので安定した運営体制を敷くことが出来るメリットがあります。しかし一方で、ISO規格を取得することで発生するデメリットもあります。

【ISO規格を取得することで発生するデメリット】
・文書化による作業が増えて手間になる
・従来の業務体制が崩れる可能性がある

管理体制を盤石なものにするには書類の管理も重要になってきます。そのため、記録事項などが大幅に増えて今まで以上に書類管理の業務が増加します。また、ISO規格に合わせるということは、今までの業務体制を大幅に変えることにも繋がるので、従業員が戸惑ったり、作業トラブルが発生したりする懸念があります。

 

文書化による作業が増えて手間になる

ISO規格に準じた管理体制を敷くと、書類の整備や記録の管理は必須項目になるので、単純に文書化作業が増えます。そうすると、今まで実施していなかった書類管理も増えて人手が必要になってしまい、人件費が増えて利益が減少してしまう可能性もあります。もちろん、取得することで営業先の幅は広がりますが、取得直後は運用面などかなり大変になるでしょう。

また、ISO規格を取得すると定期的に第三者機関からの監査が入ります。この時に、書類不備があったりするとすぐに指摘されて指導対象となり、速やかな是正が求められるため社内の管理体制を整える必要があります。


従来の業務体制が崩れる可能性がある

ISO規格は作業の標準化を目的とするため、「仕事ができる人」を中心にして業務を回している会社のように、一部の人間に依存した業務体制だと大きな変更を余儀なくされます。もちろん、ISO規格に基づいた業務体制でも仕事が優秀な人はすぐに対応して成績を上げていくことが予想されますが、そうでない人の場合は大幅な変化に対応しきれずにパンクしてしまう可能性があります。

とはいえ、優秀な人に依存しすぎない業務体制を作れるというメリットもあるので、導入した際は確実に進められる範囲から少しずつISO規格を適応させていくことが重要となるでしょう。


ISO規格を取得するまでの流れ

ISO規格を取得するには以下の流れで進めることが必要です。

 

【ISO規格を取得するまでの6ステップ】

  1. 取得までの計画を立てて準備をする

まず、取得する規格を決めます。次に取得範囲(どの営業所まで、どの製品まで)を決めます。そして、ISO取得の際は責任者を置いて、専門部署を設置し、ISO取得の中心となるメンバーを構成します。

  1. キックオフ宣言

経営者が全従業員に対しISOの取得を目指すことを宣言します。ISO取得は何ヶ月にもわたって取得するので、会社全体を鼓舞するためには重要なステップです。

  1. 品質マネジメントシステムの構築

現在の業務を見直して、どのように改善すべきかをISOの規格に沿って考え、マニュアル文書を作成します。マニュアル文書を作製したら、実際に導入して現場・文書の両方を改善しながらシステムの構築を実施していきます。

  1. 文書審査・本審査

文書審査と本審査は第三者機関が行います。書類審査は6~12ヶ月にわたって数回行われ、その都度改善を実施します。改善がすべて完了したら、本審査を行って基準を満たしていれば合格です。

  1. 認証取得完了

本審査が完了したら認証機関にて、登録書を発行してもらいます。

  1. 定期審査・改善

ISO取得で最も重要な工程はこの部分です。ISOを取得して終わりではなく、恒久的に管理体制を維持するためにも定期的な審査をしなくてはなりません。そして、再度指摘があれば改善をして管理体制を盤石なものとしていきます。定期的に審査があるということだけでも、従業員の意識は大きく変わるので、管理責任者には定期審査を意識させて普段の業務に当たらせると良いでしょう。

 

まとめ

ISO規格とは国際標準化機構ISOが定める規格のことを指します。国際的な規格として位置付けられているISO規格は、取得することでその企業が国際的な管理体制を身に付けていると判断されます。そのため、海外と取引をするような企業はISO規格を取得していることがほとんどです。

また、ISO規格は作業の標準化ができたり、管理の質が上がったりといったメリットがある反面、その体制を恒久的なものにするために多くの書類管理や業務体制の継続的な改善が求められます。したがって、人員を確保に苦慮する企業や、ISO取得後の活用まで考えらない企業に導入を勧めることは難しい規格でもあるとも言えます。その点を把握したうえで、どんな種類のISOを取得するか検討してくだい。


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