サステナブルなモノづくりのあるべき、「自立共生型」のスタイルとは (2/3)

多品種少量生産ニーズが高まる中、モノづくりをどうサステナブルにするか

浅羽 登志也(株式会社情報工場 シニア・エディター)
浅羽 登志也
株式会社情報工場 シニア・エディター

多品種少量生産ニーズが高まる中、モノづくりをどうサステナブルにするか

『バッファデザイン』
 ── 製造業における多品種少量・短納期化に応えるための方法論


 八木 将計/八木 香織 著
 
 NextPublishing Authors Press
 2020/06 120p 1,870円(税込)



多品種少量生産と短納期化に対応しつつ、コストを抑えて生産性を高めるには

コンヴィヴィアルなモノづくりでは、poimoのように、カスタマイゼーションが前提となる。

それでなくても製造業の現場では多品種少量生産や、短納期化への対応が急務となっている。消費者ニーズが多様化し、商品のライフサイクルも短くなっているからだ。

カスタマイゼーション前提のモノづくりの現場は、数々の課題に直面する。仕様の異なる中間在庫が増えるためコストがかさむ。生産計画は複雑化し、段取りや生産ラインの変更が頻発するため生産効率が落ちる。

そのため、コストを抑え、生産効率を上げて収益を確保するための工夫が必要となる。モノづくり自体のサステナビリティを確保しなければならないのだ。

生産工程の全体最適により効率化を図るための理論は以前からある。有名なのは1980年代に提唱されたTOC(Theory of Constraints、制約理論)だが、抽象的で現場での適用が難しいと言われている。

本書『バッファデザイン』は、その難しいTOCを導入するための具体的ノウハウを学ぶのに最適だ。

著者の八木将計氏と妻の香織氏は、大手総合電機メーカーで、長年にわたりTOCベースのプロセス改善のコンサルティングに従事してきた。本書には、その経験から得た独自の方法論が分かりやすくまとめられている。


工程上に必要なさまざまな「バッファ(余裕、ゆとり)」を最適化する

「バッファ」とは、何らかの変動要因で計画からズレが生じそうになった時に、それを吸収するための「余裕」や「ゆとり」を指す言葉だ。

八木夫妻は、多品種少量生産の複雑な製造計画の下で納期を守るために、いろいろな種類のバッファをバランスよく設定する「バッファデザイン」が重要だと説いている。

例えばある製品を組み立てる際の複数の工程には、それぞれ部品や仕掛品などの「在庫バッファ」が必要となる。

多品種少量生産では部品や工程の種類が増えるため、在庫バッファが膨らみ、全体のコストが増えてしまう。

そこで八木夫妻は、部品共通化とモジュラー設計による在庫バッファの圧縮を薦める。

異なる製品でも、同様な機能にできるだけ共通の部品を使えば、必要な部品の種類を減らせる。

さらにモジュラー設計を行えば、互換性が高い少数のモジュールを組み合わせることで多品種を製造できる。

本書には、在庫バッファ以外にも、各工程の必要作業時間の余裕である「時間バッファ」や、工程の作業能力の余裕である「能力バッファ」といった、多様なバッファを最適にデザインするために必要な考え方や実践的なノウハウが一通り明解に示されている。

モノづくり自体をサステナブルにしていくための具体的な方法論として、バッファデザインの考え方は大いに参考になりそうだ。


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