不確実な時代に日本の製造業が「レジリエンス」を強化するには (3/3)

【考察】日本の産業全体の「レジリエンス」はプレーヤーとプラットフォーマーの「役割分担」で高めるべき

浅羽 登志也(株式会社情報工場 シニア・エディター)
浅羽 登志也
株式会社情報工場 シニア・エディター

【考察】日本の産業全体の「レジリエンス」はプレーヤーとプラットフォーマーの「役割分担」で高めるべき

安定性、持続性だけでなく「柔軟性」もレジリエンスの重要な要素

日本人の多くは「レジリエンス」という言葉から、「安定性」「持続性」をイメージするのではないだろうか。

しかし、変化の激しい不確実な時代には、安定性や持続性だけでは不十分といえる。

変化した新たな環境にすばやく適合する「柔軟性」も、重要なレジリエンスの要素と考えた方がいい。

だが、一つの企業だけで安定性・持続性と、柔軟性を両立させるのは容易ではない。そこで、前述のBASFの戦略を拡大して考えてみてはどうだろう。

つまり、BASFのように一つの会社の中で、標準化可能なプロセスとカスタマイズするプロセスを切り分けるのではなく、企業間で役割分担するのだ。

日立物流の「シェアリング型プラットフォームセンター」のように、プラットフォーマーに特化する企業と、それを活用して製品やサービスを提供する企業を明確に分けることで、日本の製造業全体のレジリエンスを高め、成長を実現できるのではないか。

プラットフォーマーに特化した企業は、標準化されたプロセスを効率よく、安定提供するためにリソースを集中すればいい。

一方、顧客の個別ニーズに応える製品の企画・開発に強みを持つ企業は、積極的にプラットフォームサービスを活用することで、強みの部分にリソースを集められる。共通プロセスの切り離しによって、変化にすばやく対応しうる柔軟性も獲得できる。


「世界屈指の物流品質」を生かしたプラットフォーム構築を

『ロジスティクス4.0』によれば、物流業界は装置産業化された結果、「規模の経済」が働くようになる。

つまり、プラットフォーマーとしてより多くの顧客を獲得し、いちはやくビジネス規模の拡大に成功した少数の企業が有利となり、生き残る。IT業界でGAFAが生き残ったのと同じだ。

つまり、日本企業がプラットフォーマー立ち上げにモタモタしていると、物流やサプライチェーンの分野でも、GAFAのような海外勢にビジネスを奪われてしまう可能性があるということだ。

『ロジスティクス4.0』で小野塚氏は、日本企業が世界屈指の物流品質を実現していることを指摘する。例えばヤマト運輸は、世界に先駆けてハイレベルな温度管理による宅配サービスを確立している。

日本企業は、こうした「世界屈指の品質」を生かしながら、上記のような役割分担を進めることで、物流・サプライチェーン分野におけるGAFAのような、世界を制するプラットフォーマーを輩出できるかもしれない。

その一方で、環境変化に応じた優れた製品やサービスを企画・開発する企業が台頭すれば、日本経済全体が成長する可能性が高くなる。

以上のように、日本の産業全体のレジリエンスを念頭に置きながら、各企業が戦略を描いていくべきではないだろうか。


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