不確実な時代に日本の製造業が「レジリエンス」を強化するには (2/3)

ロジスティクスの進化を牽引する「プラットフォーマー」の可能性

浅羽 登志也(株式会社情報工場 シニア・エディター)
浅羽 登志也
株式会社情報工場 シニア・エディター

ロジスティクスの進化を牽引する「プラットフォーマー」の可能性

『ロジスティクス4.0』
   ── 物流の創造的革新


小野塚 征志 著

日本経済新聞出版(日経文庫)
2019/03 232p 946円(税込)




標準化可能なプロセスに強みがあれば、それを他社に提供できる

BASFが戦略的に切り出したような「標準化」が可能なプロセスは、必ずしも社内で賄わなくてもよい。思い切って、そのプロセスを専門とする業者へのアウトソーシングを検討することも可能だ。

逆に、もしそうした標準化可能なプロセスに自社の強みがあるのならば、それを他社に提供することもできるだろう。

例えば在庫を保管し、輸送して顧客に届けるといった「物流」に関するプロセスは、どの業種でもさほど変わりがない。さすれば、自社の物流部門を、標準化したプラットフォームにして、新たなビジネスを展開できるかもしれない。

本書『ロジスティクス4.0』は、現在進行中の次世代テクノロジーを用いたイノベーションを紹介し、物流業界がどのように進化しようとしているのかを詳説。

著者の小野塚征志氏はローランド・ベルガー社パートナー。ロジスティクス/サプライチェーン分野を中心に、多様なコンサルティング業務に従事している。


自動化によるプラットフォームサービスを始めた日立物流

小野塚氏によると、ロジスティクス(物流)の近代化は「輸送の機械化」に始まり、「荷役の自動化」が続き、「管理・処理のシステム化」が起こるという三つの段階を経てきた。

そして現在は第4の段階、すなわちIT、AI、ロボティクスといったテクノロジーが物流全体を「装置産業化」する「ロジスティクス4.0」に移行しつつあるという。

従来のロジスティクスには、輸送、保管、積み替え、梱包、手配、荷物のトラッキングといったさまざまな作業が含まれ、各々のプロセスに異なるノウハウがあった。

だが、例えば自動運転トラックによる長距離輸送や、物流センターでのロボットによる荷役作業の自動化など、テクノロジーの発展により、人手と細かい独自のノウハウが要らなくなった。すなわち省人化と標準化が可能になったということだ。

さらに、これらの物流プロセスをITシステムで統合管理し、オープンに物流サービスを提供するプラットフォーマーも登場し始めている。

例えば日立物流は2019年に「シェアリング型プラットフォームセンター」を開設。自社の物流センターにロボットなど自動化機械・システムを導入し、従来比72%の省人化を実現している。

本書によれば、将来的には、交通や気象情報、原材料の市場価格、地域別販売実績なども組み合わせたビッグデータを活用したプラットフォームサービスも可能になる。

このような安定性や拡張性の高いプラットフォーマーが続々と登場するようになれば、それを活用することで、自前のサプライチェーンを運用するよりも自社事業のレジリエンスを高められそうだ。


【考察】日本の産業全体の「レジリエンス」はプレーヤーとプラットフォーマーの「役割分担」で高めるべき 次ページ

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