『第47回ジャンボびっくり見本市』現地レポート

2021年4月9~10日に、インテックス大阪にて「第47回ジャンボびっくり見本市」が開催されました。ジャンボびっくり見本市とは、東京、大阪にて1975年から開催されている電設業界の大規模な展示会です。新型コロナウイルスの影響で中止された昨年の見本市から約2年ぶりの開催となります。今回は、ハンズフリーの「拡声器」や、搬送用「電動シリンダー」、「リニアコンベアモジュール」など、電設業界の最新動向についてご紹介いたします。

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電設業界の展示会として1975(昭和50)年から開催されてきたジャンボびっくり見本市ですが、2021年4月で47回目となりました。電設資材、住宅設備、情報設備、照明、工具、通信、セキュリティ、空調などの総合的な見本市として専門メーカーなど約200社が出展し、新商品や最新情報を展示していました。

前回(2020年春)の同見本市は東京・大阪ともに中止。今回はコロナ禍で開催され、マスク着用の徹底、体温測定、ソーシャルディスタンスの確保、手指衛生、換気などの感染拡大防止対策を行い、ウィズ・コロナ、アフター・コロナに向けた「ニューノーマル」時代と「Society 5.0」時代に焦点を当てた展示がテーマになっていました。そして、このテーマに沿って出展各社を「5G(ローカル5G)・Smart Construction」「Smart Building」「Smart Home」という3つのゾーンに分けていました。そんな同見本市の様子と気になった出展や製品などを紹介していきましょう。

教育現場などで活用できるハンズフリーの小型、軽量タイプの「拡声器」

拡声放送機器、通信機器、音響機器、映像機器などの製造販売を行っているTOA株式会社(兵庫県神戸市)が出展していたのは、両手が自由に使える小型、軽量の拡声器です。説明してくださった同社ソリューション営業本部の山田大貴(やまだ・ひろき)氏は「同製品は以前からありましたが最近になってより小型で軽量なタイプを開発しました」と言います。

この拡声器は耳掛け式のヘッドセット・マイクロフォンを装着し、本体を腰に巻きつけることで使用でき、例えば小学校や保育園、幼稚園といった教育現場にて、ソーシャルディスタンスを確保した状態で先生が児童らへ呼びかけなければならない場合に役立っているそうです。

山田氏によると、現在の教育現場では、新型コロナの影響でソーシャルディスタンスを確保した状態で先生が呼びかけを行うことで、先生が声を張り上げなければならない機会が増えたため、声がかすれたり出なくなったりすることもあるそうです。そこでこの拡声器がソーシャルディスタンスも保ちながら呼びかけを行えるという点で、先生方の負担軽減に貢献していると言います。

教育現場以外でも、ハンズフリーかつマスクをした状態で拡声器を利用できることで、店頭販売や観光案内、非常時、災害時などでも活用されているそうで、ヘッドセット・マイクロフォンは付け替えが可能なため、利用者ごとに交換して衛生的に使うことができるそうです。また、音楽プレイヤーも同時に使え、Bluetooth対応のモデルではスマートフォンやタブレットなどからワイヤレスで音楽再生が同時に可能になると言います。

山田氏によると音質を落とさずにスピーカーを小型化する点が技術的に難しかったとそうで、アンプをデジタル化したことでその課題を解決したと言います。電源は電池ですが、単三電池を4本でも6本でも使用できます。

TOA株式会社のハンズフリー拡声器。長年(創業は1934年)、音響や映像、情報伝達装置機器の製造販売をしてきた技術がいかされているといいます。
TOA株式会社のハンズフリー拡声器。長年(創業は1934年)、音響や映像、情報伝達装置機器の製造販売をしてきた技術がいかされているといいます。

電線のむき出し部分に被せたり取り外せる「絶縁キャップ」

自社で工夫して絶縁キャップ、絶縁機材、電設ジョイントボックスなどの商品開発を行っている株式会社カワグチ(愛知県大府市)が出展していたのは、照明器具やコンセントなどの新築時の先行配線、配線取り換え時の電線などにかぶせる絶縁キャップです。この商品は同社が開発したもので通線帽(とおせんぼう)(R)と名付けられていました。

先行配線や取り換え時のむき出しの電線は、ショートしたり感電したり、地絡・短絡などのアクシデントがつきもので、通常はビニールテープを巻き付けて絶縁していました。現場ではこのビニールテープ巻きがわずらわしいということで開発したといいます。同社の絶縁キャップは電線のむき出し部分にかぶせ、電線を配線するときには取り外さず、突き破って根本側へ引き、線にかぶせて絶縁性を保った状態にして使うそうです。

株式会社カワグチの絶縁キャップ「通線帽(とおせんぼう)(R)」。使用時に線にかぶせたままなので廃棄物にならないといいます。
株式会社カワグチの絶縁キャップ「通線帽(とおせんぼう)(R)」。使用時に線にかぶせたままなので廃棄物にならないといいます。

ラインの搬送や不良除去などで使われる「電動シリンダー」

小型産業用ロボットの開発、製造、販売を手掛ける株式会社アイエイアイ(IAI)(静岡県清水市)が出展していたのは、ラインの搬送や不良除去、部品挿入などで使われる電動シリンダーです。最長1,000mmで最高速度860mm/秒、最長ストロークでも最大10N(ニュートン)の先端荷重を受けることのできる高剛性4列リニアガイド、垂直設置など設置姿勢の多様性、複雑なプログラムが必要ないデジタル・インターフェースなどの特徴をもっているそうです。

株式会社アイエイアイ(IAI)の高剛性電動シリンダー。ボールネジを支持するサポート機構と内蔵されたリニアガイドによって高速度と高剛性が可能になったといいます。
株式会社アイエイアイ(IAI)の高剛性電動シリンダー。ボールネジを支持するサポート機構と内蔵されたリニアガイドによって高速度と高剛性が可能になったといいます。

つぶれたネジ頭をロックして外せる「バイス・プライヤー」

金属加工業が集積している新潟県三条市から出展していたのは、ペンチ、ニッパなどの作業工具を製造販売する株式会社スリーピークス技研です。同社では、つぶれたネジ頭をロックして外すことのできるバイス・プライヤーを独自に開発し、展示していました。

これはドライバーなどで頭をなめてしまったネジを強力に固定し、回すためのプライヤーで、先端が細くなっているため、狭い場所でのネジでもつかむことが可能だそうです。ほかのプライヤーと違って工夫しているのは、くわえ部が菱形になっていて縦溝が切ってあり、ネジの頭を3点で支持することでしっかりとつかむことができる部分だと言います。また、口幅の調整を六角棒レンチで増し締め可能だそうで、より強く固定できるそうです。

株式会社スリーピークス技研のバイス・プライヤー。先細のタイプは今回の見本市に初めて出展したそうです。
株式会社スリーピークス技研のバイス・プライヤー。先細のタイプは今回の見本市に初めて出展したそうです。

速度制御や停止位置などを最適化できる「リニアコンベアモジュール」

産業用ロボットも製造するヤマハ発動機株式会社(静岡県浜松市)が出展していたのは、搬送用のリニアコンベアモジュールです。リニアモーター駆動で高速化し、速度制御や停止位置などを個別に最適化できるシステムだそうで、スライダー間隔差は±30μm、接地面積も小さくできると言います。狭いピッチでの高速搬送とダイレクトな位置決め、なめらかな原則停止などが特徴だそうです。

ヤマハ発動機株式会社のリニアコンベアモジュール。搬送部分をロボット化することで生産性の向上やコスト低減が期待できるといいます。
ヤマハ発動機株式会社のリニアコンベアモジュール。搬送部分をロボット化することで生産性の向上やコスト低減が期待できるといいます。

小型で可搬できる「エアーコンプレッサー」

自動機械装置、駆動機器、空気圧制御機器、空気圧関連機器、流体制御機器など機能機器の開発、製造販売を行っているCKD株式会社(愛知県小牧市)が出展していたのは、可搬できるエアーコンプレッサーです。この小型の圧縮空気供給装置は、圧縮空気の供給配管がない場所や、そもそも圧縮空気のコンプレッサーがない場所、例えばオフィスや研究室などで使われることを想定して開発されたと言います。

圧縮エアーの定格圧力は0.4MPa、吐出空気量は19ℓ/分(50Hz)、25ℓ/分(60Hz)(ANR=Atmosphere Normale de Reference、参照標準大気)、一般的な工場用エアーコンプレッサーの定格圧力は0.7MPaほどということで、幅350mm×奥行き225mm×高さ560mmのサイズながら強いエアーを出力できる能力があるそうです。

CKD株式会社の持ち運べるエアーコンプレッサー。エアー源が遠かったりする場合にも重宝するといいます。
CKD株式会社の持ち運べるエアーコンプレッサー。エアー源が遠かったりする場合にも重宝するといいます。

コロナ禍で開催されたジャンボびっくり見本市でしたが、地元の関西地区をはじめ、遠方からの出展社も多く、出展企業の規模も街中の工務店から大企業まで多種多様で製品や技術も興味深いものがありました。ものづくりの投票コンテストや土産物コーナーなども行われ、土日ということで関係者の家族など来場者も多彩な印象を受けました。次回の同見本市は、2022年4月に大阪と東京で開催される予定です。

文/石田雅彦


参考情報
・通線帽は、株式会社カワグチの登録商標です。


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