『第2回Grinding Technology Japan 2021(研削加工技術と工具製造技術展)』現地レポート

2021年3月2~4日に、幕張メッセにて「第2回Grinding Technology Japan 2021(研削加工技術と工具製造技術展)」が開催されました。本展示会は、研削盤、砥石などに関する工作機械、素材、周辺機器などが出展されている展示会です。また、併催されている「2021年度 先進テクノフェア(ATF2021)」でも特徴のある展示が見受けられました。今回は、バリ抑制し再研磨が可能な「ドリル」や、研削用ホイール、研磨布ホイールなどの最新技術をご紹介します。

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Grinding Technology Japan 2021(研削加工技術と工具製造技術展)は、研削盤、砥石、周辺機器、計測機器、工具製造に関する工作機械、素材、周辺機器などに関連した国内外の企業・団体が出展する展示会で今回が2019年に続いて2回目の開催です。

会場内では出展各社によって、砥石の使用面の振れ(回転砥石が基準からブレること)を取り除く精密なツルーイング(形直し、振れ取り)や砥石の切れ味を鋭利化したり表面の凸凹や隙間を削ったり埋めたりするドレッシング(目直し)といった研削加工に特有のデモンストレーションがあちこちで行われていました。

また、公益社団法人 砥粒加工学会が「2021年度 先進テクノフェア(ATF2021)」を併催し、同工学会や切削フォーラム21という業界団体なども砥粒による研削や研磨の技術を展示・実演していました。そんな同展示会から目についた出展社や技術を紹介しましょう。

下穴なしで穿孔でき、バリ抑制し再研磨が可能な「ドリル」

独自開発したドリルを出展していたのは株式会社ギケン(福井県坂井市)です。説明してくださった同社、石川貴雄(いしかわ・たかお)氏によると、このドリルでは、下穴なしで穿孔でき、削り屑であるバリを抑制し再研磨が可能だと言います。福井県工業技術センターと共同開発したもので、特許もすでに取得しています。同社の石川氏の名刺には丸い穴が空けられていましたが、鋭利なドリルにより、紙にも切端のきれいな穴が空けられることを示しているそうです。

特にアルミ、炭素繊維を積層しているCFRP(Carbon Fiber Reinforced Polymer)にドリルで穴をあけると、どうしてもバリが出てしまいがちです。同社のドリルは、切削する先端を点で削るように3次元的な曲線にし、穿孔するためのドリル機能と形状を整えて仕上げをするリーマ機能を合体させ、多方向にドリルの力を分散しながら穿孔し、抜ける時も横方向へ力を逃がすため、バリが発生しにくくなっているそうです。

「3次元的」というのは、先端部と先端のテーパ接続部が複合曲率で構成されていることを指し、またテーパ部も三角柱をベースにした形状にして長くし、穴の真円度を高めることができ、抵抗分散で母材への熱の影響が発生しにくくなっていると言います。さらに、面でなく点で切削するために耐久性も高く、再研磨が可能、下穴なし、バリ減少などによって穴加工の工程とコストを大きく減らすことが可能になるそうです。

また、同社ではテーパがついたエンドミル(回転しながら切削するドリル状の工具)や複雑な加工を1工程で行う総型のエンドミルといった特殊なエンドミルを1本からオーダーメイドで製作できるそうで、市販品の改造やコーティングにも対応できると言います。

株式会社ギケンの下穴なしで穿孔でき、削り屑であるバリを抑制し再研磨が可能なドリル。ワークをしっかり固定し、抜け代が貫通することがドリルの機能や性能を発揮するために重要だそうです。
株式会社ギケンの下穴なしで穿孔でき、削り屑であるバリを抑制し再研磨が可能なドリル。ワークをしっかり固定し、抜け代が貫通することがドリルの機能や性能を発揮するために重要だそうです。

ポリゴン形状の高精度な円筒研削が可能な「円筒研削盤」

工作機械類の製造・販売などを行う株式会社シギヤ精機製作所(広島県福山市)が出展していたのは、新開発の円筒研削盤です。回転軸であるジャーナルという部分が偏っているクランクシャフトなどの偏心ピンを研削する技術と、研削盤によって多角形の形状の研削をするポリゴン研削を高精度に実現するCNC(Computerized Numerical Control)研削盤とのことです。

同社では、偏心ピン研削や非真円工作物であるポリゴン加工を得意技術とし、工作物の回転と砥石の台送りを同期制御する研削盤を製造・販売しているそうです。同展示会に出展していたのは新しい偏心ピン/ポリゴン研削盤で、本体の台(ベッド)を熱変形を最小限に抑えた高剛性ベッド構造にし、対話式の自動プログラミング装置を一新することなどにより、ポリゴン形状の高精度な円筒研削を実現できるようになったと言います。

また、同社のマイスターハンドルという操作システムも実演されていました。マイスターハンドルというのは、使いやすい油圧汎用機を操作する感覚のハンドルで、火花を見ながらの切込みや作業単品加工物を効率よく研削加工することができ、オシレーション研削(砥石が左右に振動する研削)などの難易度の高い研削加工にも対応できるそうです。

株式会社シギヤ精機製作所の新型CNC偏心ピン/ポリゴン研削盤。クランクシャフトの偏心ピンなどの円筒研削に使うそうです。
株式会社シギヤ精機製作所の新型CNC偏心ピン/ポリゴン研削盤。クランクシャフトの偏心ピンなどの円筒研削に使うそうです。

ポリイミド樹脂にダイヤモンドやCBN砥粒などを混ぜだ「超硬工具研削用ホイール」

多種多様なダイヤモンド工具の製造・販売する旭ダイヤモンド工業株式会社(東京都千代田区)が出展していたのは、ドリルなど各種工具を研削したり超硬合金などを加工する工具です。説明してくださった同社経営戦略本部経営戦略部事業戦略課技術グループ課長、原淑雄(はら・よしお)氏によると出展しているCBN(Cubic Boron Nitride:立方晶窒化ホウ素)ホイールの研削技術は、ポリイミド樹脂にダイヤモンドやCBN砥粒、ある種の金属を混ぜ、ドリルなどを研削加工するためのものだそうです。

研削する被削材の違いによって、ダイヤモンドを混ぜるのか、CBNを混ぜるのかが変わってくると言い、ダイヤモンド砥粒は超硬合金、チタン合金、ガラス、水晶、セラミックスなどに、CBN砥粒は炭素鋼、高速度鋼、工具銅、合金銅などに使われます。また両方とも使える被削材には、アルミ合金、鋳鉄、タングステンなどがあるそうです。

原氏によると、研削ホイールを砥石にするには、ホイールを高速で回転させてワークに当て硬い砥粒で微細な切削をする研削加工を行うといいます。ダイヤモンドは天然の物質の中で最も硬いことが知られていますが、ホイールというのはCBNを混ぜた超砥粒研削砥石のことで、同社のホイールは、耐熱性、引張強さ、弾力性に優れたポリイミド樹脂をホイール研磨工具の主成分にし、工業用の人造ダイヤモンド粉、銅や鋼などの金属粉を混ぜることで切れ味を保持しつつ、削り粉が自生作用してダイヤモンドを保持し続けるようになっているそうです。

ホイールの中のダイヤモンドの砥粒が砥石の刃となる研削の場合、ダイヤモンド砥粒がホイールから少し頭を常に出した状態で研削します。この自生作用というのは自生発刃とも言い、研削する過程でホイールの樹脂やダイヤモンドもワークの切り屑によってまた削られ、下からダイヤモンド砥粒が出てきて研削する機能を復活させることを指します。樹脂、ダイヤモンド、金属の割合によって、この自生作用、研削の切れ味、ホイールの砥石としての寿命のバランスが決まると言います。

旭ダイヤモンド工業株式会社の超硬工具研削用ホイール。砥石の部分の色は混ぜる金属の色を反映しているそうです。
旭ダイヤモンド工業株式会社の超硬工具研削用ホイール。砥石の部分の色は混ぜる金属の色を反映しているそうです。

研磨剤や「研磨布ホイール」を要望に応じてオーダーメイド

研磨剤をオーダーメイドで製造・販売する株式会社スリーエフ技研(大阪府門真市)が出展していたのは、大型の産業用研磨布ホイールです。同社はサンドクロスという研磨布を独自に開発し、顧客の要望に応じて研磨の強さ、細かさや粗さ、砥粒や布、密度、布の硬さなどを調整・加工してオリジナルの研磨布ホイールを作っていると言います。

大まかな種類としては、研磨布を高密度に配置し、ホイールの中心部よりも外周部のほうが密度を高くし、砥粒の量を増大させることで研磨力を増すもの、摺り研磨で研磨面にできる波状の傷(Chatter Mark)を生じにくくしたもの、柔らかく柔軟性のある研磨布なのに腰を強くすることで細番手でも高い研磨性をもったものなどがあるそうです。

高密度配置のものは、超硬度の難削材である特殊合金を研磨するために使われます。また、波状の傷(Chatter Mark)が生じにくいものは、適度な放熱効果が期待できて熱ごもりや目詰まりが少なくなり、柔軟性のあるものは従来の研磨用の布を軸に放射線状に巻き付けた「フラップホイール」という研磨材では実現できなかった面接触の研磨ができると言います。こうした研磨布ホイールをオーダーメイドで作ることで、在庫を利用するより生産性が向上したり、コストを低く抑えることができるそうです。

株式会社スリーエフ技研の研磨布ホイール。鉄鋼、自動車、金属加工などの業界が主な顧客だそうです。直径最大510mmのものもあると言います。
株式会社スリーエフ技研の研磨布ホイール。鉄鋼、自動車、金属加工などの業界が主な顧客だそうです。直径最大510mmのものもあると言います。

新型コロナ感染防護対策を講じて開かれた「Grinding Technology Japan 2021」でしたが、出展社の関連担当者はもとより、研削加工技術者や研究者、工具製造者、切削加工業者、工学系の学生などが来場していたようです。研削や研磨、砥石・砥粒、ツルーイング(砥石の形直し、振れ取り)、装置、周辺機器、工具、切削油などの関連製品や技術が紹介され、業界独特の雰囲気が漂う展示会でした。

文/石田雅彦

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