『第5回Japan IT Week 関西』現地レポート

組み込みやエッジコンピューティング、情報セキュリティ、データストレージ、IoT、5G、AI、設計開発といったIT系の企業を中心とした出展社が出展する展示会がJapan IT Weekです。東京(幕張メッセ)と大阪で各1回、年2回開催されています。
 
本展示会は、新型コロナ感染防止対策として体温測定、3密の回避、マスク着用、手指衛生などをほどこし、医師と看護師を常駐させて実施されていました。先端技術の出展がそろい、AI化や電子化の流れに沿った展示、新型コロナ感染対策関連の展示も多く、ITに限らず幅広い業種業態の関係者が来場していたようです。会場内にはテレワーク用のエリアも設けられ、オンラインでの商談サービスも行われていました。

ただ、来場者数は約5,000名で前回の関西展の来場者数(約20,000名)の4分の1と新型コロナの影響は大きいようでした。そんなJapan IT Week 関西から興味深い技術を出展していた企業を紹介しましょう。

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測域センサーを使って障害物を回避する自動運転技術

株式会社ゼネテック(東京都新宿区)が出展していたのは、車載システム開発のデモカーによる自動運転技術です。車載用ソフトウエア開発の国際標準であるAutomotive SPICEに準拠した開発を行い、レベル3以上のシステムを開発してきた企業で、今回の出展ではZMP製のロボット自動車による衝突防止などの自動運転の事例を紹介していました。

説明してくださった同社デジタルソリューション本部の鏡匠(かがみ・たくみ)課長によれば、レーザーレンジセンサー(測域センサー)によってロボット自動車の周辺の障害物を検出し障害物の回避走行をしたり、衝突防止ブレーキを作動させたりするそうです。周囲のスキャンは100ms周期、検出エリアは0.36度ピッチで前方240度、また検出エリアを15分割し、エリアごとに障害物までの距離を測定していると言います。

Linuxを用いたアルゴリズムで開発しているそうですが、同社は産業機器向けの超高速通信ボードや超高画素カメラ評価ボードなどのハードウエア開発からシステム、ソフトウエアまでの開発実績があり、レベル3以上の受託開発をしているそうです。今回の出展技術は、障害物のパターン分析が難しく、人間と壁などを自動運転でどう区別するのかが課題と言います。

株式会社ゼネテックが開発している自動運転技術の事例として使用されたZMP製のロボット自動車(スケール1/10モデル)
株式会社ゼネテックが開発している自動運転技術の事例として使用されたZMP製のロボット自動車(スケール1/10モデル)

従来ロボットハンド価格の半分以下、使いやすい協働ロボットの簡易版キット

株式会社イシイフィールドサービス(兵庫県小野市)が出展していたのは、オリジナルに開発したという協働ロボットの簡易版キットです。同社はこれまで中国DOBOT製のハンドリングロボットを使って独自に開発したプログラム不要のロボット操作システムを開発してきたそうですが、もっと手軽に協働ロボットを使えないかと考えて新たに開発したそうです。

説明してくださった同社代表取締役の石井和志(いしい・かずし)氏によると、新たな目標として、ロボットの電動工具化を目指したとのこと。従来のロボットハンドは高機能・多機能であり過ぎるために高価格でもあり、価格を半分以下にして使いやすい協働ロボットができないかという発想から開発がスタートしたと言います。30Wのアクチュエータが3軸で、システムのアプリケーションは従来の中国製ロボットを使用できます。

石井氏によると、例えば、プレス加工や穴開け加工での治具などのセッティング時に人間をアシストできる機能性をもっているといい、Windows10のタブレットなどで誰でも簡単に操作できると言います。

株式会社イシイフィールドサービスが開発している協働ロボットアーム。長さによって3タイプ、タイプ1のアームの長さは390mm。
株式会社イシイフィールドサービスが開発している協働ロボットアーム。長さによって3タイプ、タイプ1のアームの長さは390mm。

異常箇所、異常値の検出に使われる統計的手法による画像解析

一般財団法人材料科学技術振興財団(東京都世田谷区)が出展していたのは、統計的手法による画像解析の事例です。説明してくださった同財団大阪支所長、荒木達郎(あらき・たつろう)氏によると、工業製品の外観検査、農産物や食品の異物検査、病理組織の画像診断検査などに応用できる技術だそうです。

こうした異常箇所、異常値の検出には、AIによる閾値からの異常検知、対象データと正常データを比較する画像解析、あるいはGAN(Generative Adversarial Network、敵対的生成ネットワーク、画像の重ね合わせ検知)を活用した方法などがあります。展示していた統計的手法では、例えば、結晶粒の配置を統計的に解析して定量的に評価したり、トランジスタの結晶薄膜の材質界面境界を統計的数理モデルで検出して境界の上下動を定量的に見積もったりすることができるそうです。

一般財団法人材料科学技術振興財団の展示パネル。分析の目的に合わせた計算モデルを作成し、データの特性を評価する。
一般財団法人材料科学技術振興財団の展示パネル。分析の目的に合わせた計算モデルを作成し、データの特性を評価する。

圧力計などアナログ式計器向け後付IoTセンサーユニット

株式会社木幡計器製作所(大阪市大正区)が出展していたのは、アナログ式計器のデータをデジタル化して、見える化する装置です。例えば、圧力計や電圧計、雨量計などのアナログの既設計器の表面に後付でセンサーユニットを取り付け、アナログ計器の数値を自動で読み取り、データをBluetoothでモバイル端末やクラウドへ飛ばすことで点検作業の手間や人員を省くことができ、データの管理も容易になるというものです。

説明してくださった同社技術設計部ループ、中井嘉之(なかい・よしゆき)氏によると、現状では直径60mmから300mmまでの円型のアナログ計器に取り付けることが可能だそうで、センサーはTMR(Tunnel Magneto Resistance、トンネル磁気抵抗)センサーで電池寿命は1年以上、Bluetoothの通信距離は約10m、動作温度はマイナス10℃から60℃までの仕様になっているそうです。

また、機能に合わせた管理画面にカスタマイズすることが可能で、円型アナログ計器の見た目そのままでモニタリングすることもできると言います。計器のモニタリングはもちろん、アナログの経時データをCSVデータとして管理したり、異常値を検知するとアラームで通知したりするなどの活用ができるそうです。

株式会社木幡計器製作所の後付IoTセンサーユニット。ボタン電池で作動する。
株式会社木幡計器製作所の後付IoTセンサーユニット。ボタン電池で作動する。

なかなか収束しないコロナ禍で開催されたJapan IT Week関西でしたが、多種多様な技術や出展がありました。来場者はかなり減ったものの、新技術や新サービスも多く出展され、活発な商談風景も見受けられた展示会でした。

文/石田雅彦

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