変化の時代を生き抜くのに役立つ「思考法」とは (1/3)

浅羽 登志也(株式会社情報工場 シニア・エディター)
浅羽 登志也
株式会社情報工場 シニア・エディター

新型コロナウイルス感染症の流行は、大都市中心の効率や経済合理性を追求する社会の発展に、ストップをかけた。今後は、強力な感染症にも耐えうる「持続可能な社会」への転換を余儀なくされるだろう。本記事では、このような変化の時代を生き抜くのに有効な2つの思考法、「オープン思考」と「アート思考」を紹介。これらをツールとして、アフターコロナ/ウィズコロナにおけるビジネスやものづくり、そして人生をどう切り拓いていくべきか議論する。

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思い込みに捉われず、あらゆる可能性を考慮に入れる「オープン思考」


『OPEN TO THINK〜最新研究が証明した 自分の小さな枠から抜け出す思考法』
 
 ダン・ポンテフラクト 著
 糟野 桃代 訳
 あさ出版
 2020/11 360p 1,800円(税別)



経済発展と持続可能性はてんびんにかけられない

今回のようなパンデミックが起こりにくくするには、経済合理性の追求による大都市圏への人口集中や、やみくもなグローバリゼーションなどを見直す必要がありそうだ。

また、近年の気候変動に対処するには、言うまでもなく温室効果ガスの排出量を大幅に削減し、地球温暖化を止めなくてはならない。

つまりこれからは、経済発展優先から、地球と人類の持続可能性重視の価値観へとシフトしていくべきということになる。

だが、この転換は簡単ではない。経済発展と持続可能性は、どちらか一方を選べばいい、というようなシンプルな問題ではないからだ。

今後も人類が発展し続けていくためには、この両者をてんびんにかけるのではなく、あらゆる可能性をオープンに考えるのが得策だろう。

本書『OPEN TO THINK〜最新研究が証明した 自分の小さな枠から抜け出す思考法』が紹介する「オープン思考」は、未来をより良いものにするために、思いを描き、意思決定し、行動するまでを、オープンに、バランスよく考えるフレームワークを提供する。

著者のダン・ポンテフラクト氏は、リーダーシップと組織文化向上を目指すコンサルティング・ファーム「ポンテフラクト・グループ」の創業者兼CEOだ。


3つのフェーズで自由なアイデアを客観的に検討した上で行動する

毎日を忙しく生きるわれわれは、課題が発生した時、できるだけ早く処理しようと、よく考えずに表面的な行動をとりがちだ。

その反対に、忙しいからと判断を先延ばしにする、あれこれ解決策を熟考し続けるなどして、なかなか具体的な行動をとらないこともある。

オープン思考は、このどちらにも偏らない。そのために、(1)クリエイティブ思考(創造的思考)、(2)クリティカル思考(批判的思考)、(3)アプライド思考(実践的思考)という三つのフェーズにより、バランスよく「熟考」と「行動」を進めていく。

(1)は、先入観を捨て、長期的な視点でオープンに思いを巡らせ、自由に頭の中で新しいアイデアを膨らませるフェーズだ。

「経済的発展」と「持続可能性」のように一見相反するアイデアがある場合も、とりあえず両方を選択肢として持っておき、状況に応じて切り替えられるようにしておくのが重要だ。

(2)のフェーズでは、(1)で浮かんだアイデアに関係する事実やデータをできるだけ多く集めて、批判的に分析・検討したうえで意思決定をする。その際には、客観性を重視し、自らの思い込みをできるだけ排除した決断を心がける。

そして(3)では、(2)の意思決定をもとに思慮深く行動する。

オープン思考では、すべてのフェーズで特定のアイデアや決断に固執しないことが重要になる。何か問題があれば、躊躇せず前のフェーズに戻り、他の選択肢を再考したり、別のアイデアを探したりする柔軟性が求められる。

このように思考を進めていけば、フェーズを行きつ戻りつする中で、行動する前にたくさんの選択肢が生まれる。もし状況が変化したら、それらの選択肢から新たな状況に最適なものを選び直して、行動を変化させればいい。

オープン思考は、不確定な時代にこそ真価を発揮する思考法ともいえそうだ。


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