デジタル化社会の到来にどう備えるか(2) (3/3)

【考察】従来のやり方を維持するためではなく、「変革」に向けたデジタルの活用を

浅羽 登志也(株式会社情報工場 シニア・エディター)
浅羽 登志也
株式会社情報工場 シニア・エディター

【考察】従来のやり方を維持するためではなく、「変革」に向けたデジタルの活用を

ビジネスや業務のあり方自体を変革するのがDXの基本

DXでは、デジタル技術の活用による、ビジネスや業務のあり方自体の「変革」が求められる。DXは、環境変化に対応したり、不具合を解消したりするのに、デジタル技術を活用して“従来のやり方を続けられるようにすること”ではない。

ここを間違えているから、日本におけるデジタル化やDXは思うように進まないのだと思う。

例えば、現金の受け渡しは新型コロナウイルスを媒介する恐れがあるとして、コンビニ各社は、人の手を経ずに現金支払いが済ませられるセルフレジを導入した。

これなどは、「現金で支払う」という従来の行動様式を変えないために、デジタル技術を活用している。

ここで、なぜ、現金決済を延命させるのではなく、キャッスレス決済に一気に転換しようとしないのだろうか。

DXとは、デジタルで“考え方や行動を変える”こと。この基本を、もう一度しっかりと踏まえた上で、さまざまな改革・改善を考えるべきだろう。


業界や事業領域ごとの「縦割り」を打破することも重要

もう一つ、別の切り口から考えてみる。

日本企業は、まだまだ業界や事業領域ごとの縦割りの発想が強い。自社と異なる業界や事業領域に踏み込もうとしないことも、DXの遅れの一因ではないだろうか。

『未来IT図解 これからのDX デジタルトランスフォーメーション』で著者の内山氏は、DXが進み、デジタルが当たり前になった時代は、すべての業界や事業領域がデータで横に繋がる時代になると言っている。

そのような時代に新たな企業価値を創造するには、デジタルを武器に縦割りの壁を越え、積極的に、新たな事業領域や顧客層にアプローチしていく必要があるだろう。

『Small Factory 4.0 第四次「町工場」革命を目指せ!』の著者である木村氏が(旭鉄工と)社長を兼務するiSTCでは、旭鉄工が開発したITシステムを武器に、製造業という事業領域の壁を越えてサービス業に進出。さらに、食料品販売会社のレジでの顧客対応時間を「見える化」するといった、新たな顧客層にもアプローチを始めている。

もしさらにiSTCが、食料品メーカーの製造ラインや、流通事業者の配送トラックや集配所などの「見える化」にも取り組んだらどうだろう。これらの現場と、上記の食料品販売会社のレジのデータを横につなげば、従来不可能だった製造、流通、小売のプロセスを一気通貫で「見える化」し、カイゼンできるかもしれない。

DXを進めるにあたっては、発想を転換して従来の慣習や行動を変革するとともに、自社の領域からどんどんはみ出して、新たな事業や顧客層にアプローチしていってほしい。


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