ものづくりに欠かせない鉄鋼とは?5分で学ぶ鉄鋼材料の主な特徴と種類

鉄鋼とは、鉄(Fe)を主成分として用いた金属材料の総称です。強度が高く、加工性に優れるなどの特徴から昔から現代に至るまでものづくりには欠かせません。
本記事では、ものづくり企業を支援するWebメディアみんさく編集部が、ものづくりに携わる人が最低限知っておくべき鉄鋼の基礎、鉄と鋼の違い、特徴、種類、加工方法について簡潔に整理しました。
鉄鋼を使うことになった、ものづくり現場への配属が決定したなど、鉄鋼について改めておさらいしたい方は、ぜひご一読ください。

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鉄鋼とは鉄が主成分の金属材料の総称のこと

鉄鋼とは、鉄(Fe)を主成分として用いた材料の総称です。主な合成材料は炭素(C)で、炭素量が増えることで硬度が増す傾向にあります。
ものづくりに携わっていない方は、鉄鋼と聞くと鉄をイメージする方も多いと思いますが、鉄鋼は鉄を主成分とした合金であり鉄とは異なる金属材料です。


鉄と鋼の主な違いは炭素量の差

鉄鋼には厳密にはいくつかの元素が含まれています。その中でも主に炭素の量が増えることで、鋼、鋳鉄へと変化し、異なる特徴をもつ金属材料となります。

<鉄と鋼の違いと特徴一例>

材料名 炭素量 特徴
0.02%未満 脆く酸化しやすい
0.02~2.14%未満 硬く折れにくい
鋳鉄(ちゅうてつ) 2.14%以上 振動を吸収しやすく
熱伝導率が高い

 

鉄鋼の特徴は加工性に優れ、強度が高いことからものづくりに適している

鉄は強度が高いイメージがありますが、純度が高いと脆く酸化しやすい金属です。その鉄に炭素を加えることで鉄鋼となり、硬度が上がります。

しかし、鉄鋼は炭素の量が多いほど硬度が増す反面、靭性(材料の粘り強さ)が低下します。そこで、炭素以外の元素も混ぜ合わせて耐摩耗性や、耐熱性などの特性を高めた鉄鋼がものづくりでは多く用いられます。

鉄鋼の5元素は炭素、シリコン、マンガン、リン、硫黄の5つ

鉄鋼の5元素とは炭素(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)のことを指し、これらを鉄鋼の主成分である鉄(Fe)に加えることで様々な特性を与えることができます。

5元素の主成分は炭素です。シリコン、マンガン、リン、硫黄などを加えることで靭性や加工性が増す反面、加えすぎると強度が下がるため補助的な役割を担います。

またこの5元素のみで構成される金属材料を「炭素鋼」と呼びます。

炭素鋼にクロムなどを混ぜることで耐摩耗性や耐熱性を高めることもできる

5元素のみで構成される炭素鋼に、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)などの元素を組み合わせることで、異なる特性をもつ合金鋼となります。

実際のものづくり現場では、他にも様々な元素と掛け合わせた鉄鋼材料が用いられており、それらはJIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)により12種に分類されています。

<JIS材料記号による鉄鋼材料の鋼種12分類>

呼称 分類 鋼種 JIS材料記号
鋳鉄 ねずみ鋳鉄品 FC
球状黒鉛鋳鉄品 FCD
可鍛鋳鉄品 FCMB、FCMWなど
普通鋼 圧延鋼材 SS、SBなど
特殊鋼 構造用合金鋼鋼材 SCM、SNCなど
工具鋼鋼材 SK、SKSなど
特殊用途鋼鋼材 SUS、SUHなど
鋳鋼 炭素鋼鋳鋼品 SC、SCW
構造用合金鋼鋳鋼品 SCC、SCMnなど
特殊用途鋼鋳鋼品 SCS、SCHなど
鍛鋼 炭素鋼鍛鋼品 SF
構造用合金鋼鍛鋼品 SFV, SFVVなど

 

鉄鋼材料を活かすには加工方法の選定も重要

鉄鋼材料を用いた試作には材料の選定だけでなく、加工方法の選定が重要です。鉄鋼材料の加工方法は大別すると9種類に分かれます。

<金属材料9つの主な加工方法>

加工方法 概要 種類
成形加工 型にはめて所定の形状を造る 鋳造:重力鋳造、ダイカスト鋳造、低圧鋳造、ロストワックス、連続鋳造
塑性加工:自由鍛造、型鍛造、押し出し、引き抜き、圧延、曲げ加工、深絞り加工、せん断加工、ファインブランキング、順送型プレス加工
焼結:焼結
除去加工 不要な部分を取り去り所定の形状にする 切削:旋削加工、フライス加工、穴あけ加工、歯車加工、ブローチ加工
研削:平面研削、円筒研削、心なし研削、両面研削加工、ホーニング加工、超仕上げ加工、ELID研削
砥粒研磨:ラップ加工、バレル加工
放電加工:ワイヤ放電加工、型彫り放電加工
切断加工:レーザ切断、ガス切断、ウォータージェット切断
付加加工 材料を付加して所定の形状を造る 積層造形:3D金属プリンタ積層造形、3D樹脂プリンタ積層造形
接合加工 部品を接合して所定の形状を造る 接合:溶接、接着、ハンダ、カシメ、焼バメ、圧入、ロウ付け、ねじ固定
全体熱処理 部品全体組織を改質する 熱処理:焼き入れ、焼きもどし、焼きなまし、焼きならし
特殊熱処理:固溶化熱処理、サブゼロ処理)
表面熱処理 部品表面の組織を改質する 表面熱処理:表面焼き入れ、浸炭焼き入れ、窒化処理
電気化学処理 備品表面に金属膜、酸化膜を生成させる めっき:電気めっき、無電解めっき
化学処理:3価クロム化成処理、りん酸塩処理
陽極酸化:アルマイト処理
塗料被膜 備品の表面に塗料を付着 塗装:塗布、焼付塗布
物理的表面処理 部品表面改質 ショットブラスト:ショットピー二ング、サンドブラスト

 

まとめ

鉄鋼は、鉄(Fe)が主成分の金属材料の総称で、炭素(C)の量で硬度などの性質が変化します。さらに、5元素を加えた炭素鋼や、クロム(Cr)やニッケル(Ni)などの元素を加えた合金鋼などの鉄鋼材料はJISにより12種に分類され、耐摩耗性や耐根悦清に優れることからものづくりによく用いられます。
鉄鋼材料を活用するには使用条件に合致した加工方法の選定も重要なので、試作のための材料選定を行っている方は加工方法の記事もご覧ください。

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