「アフターコロナ」に向けた新たな社会づくりを探る(3) (3/3)

【考察】アフターコロナに向けて、多様なオプションにチャレンジして生き残りを図れ  

浅羽 登志也(株式会社情報工場 シニア・エディター)
浅羽 登志也
株式会社情報工場 シニア・エディター

【考察】アフターコロナに向けて、多様なオプションにチャレンジして生き残りを図れ

「開疎化」や「分散化/多様化」が「脆さ」を見きわめる試金石に

今回のコロナ禍は、生活の利便性や効率を上げるために人類が進めてきた都市化や、経済合理性のためのグローバルな分業体制が、実は「脆い」システムであったことを証明したといえる。

『反脆弱性』でナシーム・ニコラス・タレブ氏は、「システムに害をもたらす事象の発生を予測するよりも、システムが脆いかどうかを見分けるほうがずっとラクだ」と説いている。

そうであるならば、ウィズコロナ/アフターコロナに向けての大きな方向性は、「最適化」の過剰による「脆さ」をまず見きわめることが重要ということになる。そして次に、それを解消するための多様なオプションを検討していくべきだろう。

おそらく『変質する世界』で安宅和人氏が示した「開疎化」、あるいは戸堂康之氏が主張する「分散化/多様化」といった指標が、脆さを見きわめる試金石となるだろう。そして、それらの指標は、そのまま新たな「オプション」になる。


「経済合理性」から「持続可能性」に最適化の舵を切り替える時

日本人の国民性は「真面目で一途」とよく指摘される。そのため、何事にも、とことんまで最適化しようとするきらいがあるのではないか。また、あるものが「良い」と分かれば、皆が脇目もふらずそれに集中する。

その結果が、東京をはじめとする大都市への過度の人口集中だ。また、急速に発展した中国市場が進出するのに「もっとも良い」と皆が判断したがゆえに、依存しすぎてしまったのかもしれない。

アフターコロナでこの現状を改めるには、日本人の国民性はそのままにして、「最適化」の方向を転換するのも一つの手ではないかと思う。経済合理性ではなく「持続可能性」に最適化の舵を切り替えるのだ。

その点で、安宅氏の言うように「開疎化」に「森を活用する」のもいいだろう。また先ごろ、人材派遣大手のパソナグループが淡路島に本社を移転し、人事や経営企画を担う1,200人の社員を段階的に異動させる計画を発表したが、これも開疎化により持続可能性を図る動きといえる。

「開疎化」「分散化/多様化」といったオプションが有効なのかどうかは、やってみなければわからない。だが、チャレンジしなければ前進もない。これからは特定の環境に最適化したプレイヤーが生き残るのではなく、不確定な状況に多様なオプションで柔軟にチャレンジできるプレイヤーが生き残るのだ。

ウィズコロナ/アフターコロナに向けて、これまでとは違う視点で自らのビジネスの「脆さ」を見きわめ、それを乗り越えられる「オプション」に、皆がチャレンジすべき時ではないだろうか。


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