『メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2020』Withコロナ時代の展示会現地レポート

新型コロナウイルス感染症が全国に広がる中、各種展示会は2020年3月頃から数か月間、開催延期や中止が続いてきました。展示会での自社製品・技術のPR、営業、デモンストレーションなどをメインに販路を広げてきた企業にとって、この期間はかなりもどかしい状態であったと言えるでしょう。

メンテナンス・レジリエンスは、一般社団法人日本能率協会(JMA)が主催する今回で44回を数える工場設備の維持管理・保全技術を対象にした専門展示会で、プラント、インフラ、建設、生産といった展示構成のほか、ロボットや労働安全など幅広い内容が特徴で、気象関係、ドローン技術などの展示会も併催される大規模な展示会となっています。

これまでは東京・大阪の会場のほか海外でも行われてきましたが、今回大阪の展示会がマスク着用、検温、3密防止などの新型コロナウイルス感染症対策を施し、7月29日から3日間、インテックス大阪で開催されました。


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人と協働する鉄筋の結束ロボットと、材料等の内部欠陥を検出する非破壊検査機器

展示会を取材したのは初日の7月29日です。梅雨明け間近の暑い日で午前中はさすがに人出が少なかったものの、午後を過ぎたあたりから少しずつ来場者が増えてきた印象を受けました。来場受付では密にならないような社会的距離の確保がとられ、入場者は一人ずつ検温を受けていました。

最初に向かったのはプラントショーの展示会場です。株式会社IHIや株式会社荏原製作所などの大手企業に混じって、鉄筋の結束ロボット「トモロボ」の実演展示をしていたのが建ロボテック株式会社(香川県木田郡)です。「トモロボ」は人と協働するロボットで、結束という単純作業を1カ所あたり2.7秒(人と比べて1.4倍以上)で行うそうです。市販の結束用電動工具を取り付け、鉄筋のピッチ幅に合わせて本体も伸縮します。


「トモロボ」のサイズは高さ690ミリ、幅600ミリ、長さは可変で630〜930ミリ、重量は38.5キロ(結束機は含まず)。10ミリ径、13ミリ径、16ミリ径の鉄筋に対応するそうです(16ミリ径3本交差で対応不可の場合もあり)。本体1台で220万円(税抜き、結束機は含まず)。
「トモロボ」のサイズは高さ690ミリ、幅600ミリ、長さは可変で630〜930ミリ、重量は38.5キロ(結束機は含まず)。10ミリ径、13ミリ径、16ミリ径の鉄筋に対応するそうです(16ミリ径3本交差で対応不可の場合もあり)。本体1台で220万円(税抜き、結束機は含まず)。


オリンパス株式会社(東京都新宿区)の出展で目立っていたのが「OmniScan」という超音波による非破壊の探傷器と「SteerROVER」という遠隔検査用スキャナーによる壁面の検査デモです。

この超音波探傷器は、振動子アレイについて可能なすべての送受信の組み合わせ音響情報を収集するデータ収集方法であるFMC(Full Matrix Capture)によって得られたデータを、TFM(Total Focusing Method)という解析アルゴリズムで波形データセットに変換し、非破壊分析をするそうです。データはマッピング用の遠隔スキャナーで得るそうですが、タッチスクリーンで直感的に操作できると言います。


オリンパスの非破壊探傷器とスキャナーによるデモ。探傷器は傷をより高いSN比(Signal to Noise Ratio:信号対雑音比)で観察でき、スキャナーのケーブルは最長30メートルだそうです。
オリンパスの非破壊探傷器とスキャナーによるデモ。探傷器は傷をより高いSN比(Signal to Noise Ratio:信号対雑音比)で観察でき、スキャナーのケーブルは最長30メートルだそうです。


オリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析計(オレンジの機器、新製品)とIPLEXという工業用ビデオスコープの展示。
オリンパスのハンドヘルド蛍光X線分析計(オレンジの機器、新製品)とIPLEXという工業用ビデオスコープの展示。


自動運転可能な水門開閉システムと、フッ素ポリマー熱交換・廃熱回収システム

プラントショーではクボタ機工株式会社(大阪府枚方市)が、太陽光発電と鉛電池の組み合わせによるスタンドアローン型の水門開閉システム「お助け門II」を展示していました。増水時に水門開閉操作へ出かけ、被災する事例も増えてきていますが、独立電源駆動で遠隔監視や操作、自動運転が可能な水門開閉システムがあれば、そうした事故も減るかもしれません。商用電源を引き込む工事が不要なため、既設の水門設備の再利用が可能、短期間の工期で改造できるそうです。


クボタ機工の「お助け門II」の展示。パソコンやスマートフォン経由で操作できるそうです。水門の駆動は50W、100W、200W(400Wも対応可能)、ソーラーパネルは36W、48W、90Wの3種類を用意。晴天時の日照4時間の満充電で夜間でも5往復の開閉が可能だそうで、晴天時に比べて曇天は10〜30%、雨天5〜20%の発電が可能と言います。
クボタ機工の「お助け門II」の展示。パソコンやスマートフォン経由で操作できるそうです。水門の駆動は50W、100W、200W(400Wも対応可能)、ソーラーパネルは36W、48W、90Wの3種類を用意。晴天時の日照4時間の満充電で夜間でも5往復の開閉が可能だそうで、晴天時に比べて曇天は10〜30%、雨天5〜20%の発電が可能と言います。


株式会社潤工社(東京都千代田区)は、フッ素ポリマーなどによる成形加工メーカーです。熱溶融フッ素樹脂(FEP)で有名ですが、今回注目したのはフッ素ポリマー熱交換・廃熱回収システム。

これはボイラーなどの燃焼時に発生する腐食性と付着性の高い排気ガスからエネルギーを回収する装置で、耐薬品性、耐熱性(200℃以下)のあるフッ素ポリマーを伝熱管に使っているそうです。国内のエネルギー供給過程では、一次エネルギーの約6割が廃熱として排出され、有効活用されていないと言います。この熱交換・廃熱回収システムにより、こうした熱エネルギーを利用することが可能になるそうです。


潤工社の熱交換・廃熱回収装置。ガラス管ではないため、割れたり破損する危険性が低いそうです。ボイラーから出た熱エネルギーをフィルターなどで160℃へ下げ、30℃の軟水をこの装置に通過させることで、70℃の給湯に変換できるそうです。
潤工社の熱交換・廃熱回収装置。ガラス管ではないため、割れたり破損する危険性が低いそうです。ボイラーから出た熱エネルギーをフィルターなどで160℃へ下げ、30℃の軟水をこの装置に通過させることで、70℃の給湯に変換できるそうです。


こちらは潤工社のフッ素ポリマーによる熱交換用投げ込みチューブ。耐腐食性の高い伝熱管で、気温上昇による機器の冷却機構のトラブルを未然に防ぐために開発されたそうです。
こちらは潤工社のフッ素ポリマーによる熱交換用投げ込みチューブ。耐腐食性の高い伝熱管で、気温上昇による機器の冷却機構のトラブルを未然に防ぐために開発されたそうです。


衛星システムに頼らなしドローンと、360度カメラ搭載のドローン

今回のメンテナンス・レジリエンス展示会には、第6回になる国際ドローン展も併催されていました。後半は同展に出展されていた新たなドローンの技術について紹介します。大手や海外出展はなく、国際ドローン展だけの来場者(登録者数)は約1,200人と少なかったものの、衛星信号を得られない環境下での飛行に特化した展示が目立ちました。

株式会社アース・アナライザー(京都府綾部市)は、ドローン(無人航空機)とレーザースキャナを使った道路や河川、トンネル、橋梁などの3次元測定を主に手がけている会社です。「Analyzer」という自社開発したドローンを出展し、GPSなどのGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)が使えない環境でも飛行できるドローン(シームレスドローン)の技術を展示していました。

この技術は、iシステムリサーチ株式会社(GNSS送受信装置、通信・信号変換装置)、徳島大学理工学部制御工学研究室(ドローンの制御システム開発)との共同開発によるもので、センサーを設置することで擬似的なGPS(GNSS)環境を作り、衛生からの位置情報を得られなくても精密な非行が可能になるそうです。


アース・アナライザーなどが開発したドローン「Analyzer02」。センサーを備え、衛星からの位置情報がない環境でも自律的な飛行が可能。
アース・アナライザーなどが開発したドローン「Analyzer02」。センサーを備え、衛星からの位置情報がない環境でも自律的な飛行が可能。


株式会社エイテック(東京都渋谷区)は、球体ガードによって保護された360度カメラ搭載のドローンを出展していました。

ドローン本体は既存の機器で、主に橋梁の事前点検として手法特許を取得している技術だそうです。そのため、比較的安価な機体のわりに安定した飛行が可能であり、全球360度の動画(5.7K)撮影の撮影距離約1メートルにより、0.2ミリメートルのヒビ割れを判読するなど、撮影後に確認したい箇所を選ぶことができると言います。橋梁点検車が届かない場所にもドローンを接近させられるそうです。


エイテックの球体ドローン。直径は最大750ミリメートル、球体ガードの重量は530グラム、360度カメラの重量115グラム。飛行時間は約15分。橋梁の下部は、衛星による位置情報が届きにくいため、3人の担当者が目視による操縦をするそうです。ただ、打音調査はできないと言います。
エイテックの球体ドローン。直径は最大750ミリメートル、球体ガードの重量は530グラム、360度カメラの重量115グラム。飛行時間は約15分。橋梁の下部は、衛星による位置情報が届きにくいため、3人の担当者が目視による操縦をするそうです。ただ、打音調査はできないと言います。


ドローンの展示ではオリジナルの機体を使用しない展示、飛行の事前許可の必要なしに自由にドローンを飛ばすことのできるドローンエリアを用意した徳島県那賀町のドローン推進室が目立ちました。ドローンの機体のものづくり技術では、やはり中国など海外の企業が先んじていますが、新型コロナウイルス感染症の影響で国際的な展示がなく、ドローン技術の現状について海外の情報が少ないのが残念でした。

梅雨明け前後に大阪で開催されたメンテナンス・レジリエンス展示会でしたが、その後の情報で新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生したという報道もなく、こうした状況の中、無事に会期を終えることができたということも大きな成果だったのかもしれません。秋以降のほかの展示会がどうなるか予断を許しませんが、引き続き開催されるものづくり系の展示会を紹介していきたいと思います。



文/石田雅彦


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