「アフターコロナ」に向けた新たな社会づくりを探る(2) (3/3)

【考察】アフターコロナには、これまでの常識を、いったん保留した社会のあり方の議論を

浅羽 登志也(株式会社情報工場 シニア・エディター)
浅羽 登志也
株式会社情報工場 シニア・エディター

【考察】アフターコロナには、これまでの常識を、いったん保留した社会のあり方の議論を

新型コロナウイルスがパンデミックを引き起こした意味とは

「アフターコロナ」では、感染拡大を極力防ぎながら、いかに経済を以前のレベルに戻せるかという議論が多いようだ。

一方で、経済を「元に戻す」ことに捉われない考え方はできないだろうか。いかに経済を戻さなくてもやっていける社会に転換するか、という方向の議論だ。

『ウイルスの意味論』では、人類と共生してきたウイルスが高い致死率の感染症を起こすようになった原因を、人類の都市集中型の生活への転換が原因だと指摘している。

しかしウイルスにしてみれば、増殖できるのは良いことだが、その結果、宿主である人類が死滅してしまっては、自分たちも滅んでしまう。なぜそこまでの危険を犯してまで、ウイルスは感染を拡大していったのか。

ここでウイルス側に、人類と共生進化していく意思があると仮定してみよう。すると、今回の新型コロナウイルスがパンデミックを引き起こしたのは、長期的視点で人類の絶滅を食い止めるためとは考えられないだろうか。行き過ぎた経済成長にストップをかけるために、ウイルスが人類に警鐘を鳴らしたと考えるのである。

人類は産業革命以来、経済成長を是として、都市への人口集中や、グローバルなサプライチェーンのネットワークを発展させてきた。

しかし同時に、地球温暖化やプラスチックごみといった環境問題や、資源・エネルギー問題など、地球規模の持続可能性を脅かす諸問題も発生させてきた。

私たちは、今回のパンデミックをきっかけに、経済成長ありきの社会のあり方を、根本的に見直すべきなのかもしれない。


ショートカットを減らすオンライン化と分散化の検討が必要

『スモールワールド・ネットワーク〔増補改訂版〕』によれば、感染症を拡大させないためには「ショートカット」に注意を払うべき、ということだった。

であるならば、今後も不要不急の移動を避け、ショートカットを増やさないことが重要になる。移動を減らすには、リモートワークをはじめ、諸活動のオンライン化を進めるとともに、都市部から地方への産業と人口の分散化を検討する必要も出てくるだろう。

さらにショートカットを減らす方策も考えられる。これまでのように効率化を重視して経済圏をひたすら大規模化していくのではなく、経済圏を小さめのブロックに分けていくのだ。そして、必要な産業が各々のブロック内で閉じるように調整していくとよいのではないか。

いずれにせよ、アフターコロナを変革の好機と捉え、以前の常識をいったん保留した上での議論が望まれる。



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