「アフターコロナ」に向けた新たな社会づくりを探る(1) (3/3)

【考察】日本社会の「強み」を生かし、「弱み」を解消するための「前提」とは

浅羽 登志也(株式会社情報工場 シニア・エディター)
浅羽 登志也
株式会社情報工場 シニア・エディター

【考察】日本社会の「強み」を生かし、「弱み」を解消するための「前提」とは

日本人の生活様式が感染対策の「強み」に

 今、世界が求められているのは、進行中のパンデミック(世界的感染拡大)をどう乗り切るかであることは間違いない。

 しかし、その対策と並行して考えていかねばならないこともある。それは、将来再び異種のウイルスによる脅威が訪れた際に、経済活動への影響を最小限に抑えられる「アフターコロナ」社会のあり方だ。

 そのために考慮しておきたいのは、今回の新型コロナウイルスへの対応において、日本社会に「強み」と「弱み」の両方が見出せることだ。

 強みとは何か。『感染症 増補版』で指摘されているのだが、日本人の生活様式には、ウイルスの人から人への感染を抑えるものが多い。

 まず、日本人には、欧米人のような、挨拶の際に握手やキス、ハグなどを頻繁にする習慣がない。この点で、手や口を通して人から人へと直接感染するウイルスに対抗するには有利だ。また、日本人は風呂によく入り、トイレの後もしっかり手を洗う人が多い。


仏教の教えである「三密」を前提に具体策の検討を

 一方で、日本人の弱みと考えられるのが「曖昧さ」を許容する文化である。

 『フェイクニュースを科学する』で紹介されている「噂の公式」に当てはめると、「曖昧さ」は、「噂の流布量」を増やす要素になる。したがって、日本では、デマや憶測、根拠のない意見などを含む玉石混交の情報が出回りやすく、ウイルスへの対応の足を引っ張りかねないと考えられる。

 こうした日本社会の強みを生かしつつ、弱みを解消するには「三密」を意識するとよいと思う。といっても、巷間言われている「3密」(密閉、密集、密接)ではない。

 ここでいう三密は、生命現象はすべて「身(身体)」「口(言葉)」「意(意識)」(この三つを三密という)で成り立っているので、それぞれを研ぎ澄ませ、という仏教の教えだ。

 この三密を、新型コロナウイルス対策に応用すると、まず、自分が感染したり、人にうつさないよう、「身体」を清潔に保つ。そして、デマや不確かな情報を拡散しないよう注意して「言葉」を発する。さらに、曖昧な状況に惑わされない「意識」を持つ。こうなるだろうか。

 「アフターコロナ」に向けて、まずわれわれは「3密」とともに「三密」をしっかりと実践する。そしてそれを前提とし、たとえばリモートワークや遠隔教育で社会活動のIT化をさらに推進するなど、具体的な行動を検討していくべきだろう。


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