「アフターコロナ」に向けた新たな社会づくりを探る(1) (2/3)

「確証バイアス」「エコーチェンバー」に惑わされない情報の受け取り方

浅羽 登志也(株式会社情報工場 シニア・エディター)
浅羽 登志也
株式会社情報工場 シニア・エディター

「確証バイアス」「エコーチェンバー」に惑わされない情報の受け取り方

『フェイクニュースを科学する』
-拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ



笹原 和俊 著
化学同人(DOJIN選書)
2018/12 192p 1,500円(税別)


デマ情報の拡散がコロナによる混乱を助長

 現在、新型コロナウイルス感染拡大による不安や混乱が、デマや不確かな情報の拡散によって助長されている感がある。

 代表的なのが、SNS発デマ情報の過剰反応によるトイレットペーパー買い占め騒動だ。

 「コロナウイルスは熱に弱いので、26~27度のお湯を飲めば殺菌できる」という、あり得ないデマも、まことしやかに拡散されていた。

 欧州では「次世代通信規格である5Gの電波がウイルスを拡散する」というデマを信じた一部の人々が、5Gの基地局を破壊する事件が起きている。

 なぜ、こうした明らかに虚偽とわかるデマが、たやすく広まってしまうのだろうか。

 その答えのヒントになる本書『フェイクニュースを科学する』は、計算社会科学という学際領域を専門とする著者が、虚偽情報が拡散される仕組みを科学的アプローチで解き明かしている。


「曖昧な状況」「重要な話題」がデマ拡散の重要要素

 本書では、心理学者のゴードン・オルポートとレオ・ポストマンが唱えた、以下の「噂の公式」を紹介している。

 噂の流布量 = 話題の重要さ x 状況の曖昧さ

 この公式によれば、現在の世界では、何が起こっているかよくわからない「曖昧な状況」が続いているため、新型コロナウイルスという「重要な話題」について、噂やデマが大量に拡散されやすい。

 また、現代ではグローバル化が進み、モノや人、情報が世界中を駆け巡るようになった。たとえ地球の裏側で起きた事象であっても、日常生活やビジネスに大きく影響する可能性がある時代なのだ。

 したがって、一人ひとりにとって「重要な話題」は、ひと昔前から桁違いに増えている。すると「噂の公式」から、「噂の流布量」が増えることになる。

 さらに笹原氏は、「確証バイアス」が虚偽情報の拡散に関係していると指摘する。確証バイアスとは、自分の意見や価値観に一致する情報ばかりを集め、それらに反する情報を無視するという思考の偏りである。

 確証バイアスに無自覚でいると、「エコーチェンバー」に置かれることにもなりやすい。SNSやネットニュースなどで自分の興味関心があった情報ばかりに触れる「閉じた情報環境」がエコーチェンバーである。

 曖昧な状況だからこそ、自分とは異なる意見にも耳を傾けた上で、流れてきた情報をしっかり検証する習慣をつけるべきだろう。われわれは、情報の扱い方を「進化」させる必要があるのだ。


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