動画でわかる鋳造工程「みんさくロゴ入りの鉄鍋」を作ってみた(前編)

鉄製品の鋳造プロセスを、実際に最初から最後まで見たことのある方は少ないのではないでしょうか。実は、みんさく編集部の私たちもそうでした。

そこで、「鉄の鋳造プロセスを動画撮影&取材してみよう!」と思い立ち、オーダーメイド鉄鍋を作っている株式会社プロトに「みんさくロゴ入り鉄鍋」をオーダーして、その製作プロセスを詳細に動画に収めてきました。

今回ご協力いただいたプロトは、アルミや鉄系材料の砂型鋳造やその機械加工を得意とする試作品メーカーです。プロト営業の川崎祐一氏に、鋳造現場や鋳造ノウハウをご案内・ご説明いただきました。


ご協力いただいた株式会社プロト営業・川崎祐一氏
ご協力いただいた株式会社プロト営業・川崎祐一氏


鉄の鋳造プロセス全体像

では、鋳造プロセスの説明に入ります。プロセスの全体像は次のようになっています。

①設計デザイン:3DCADで鋳造品の設計デザインを行います
②木型・砂型製作:3DCADデータをもとに木型を作り、木型から砂型を作ります
③材料用意:鉄の鋳造に必要な材料を用意します
④溶解・成分調整:鉄材料を溶かして、成分の調整を行います
⑤砂型準備:砂型を温めたりした後に組み立てます
⑥注湯:鉄を砂型に注ぎ込みます
⑦凝固・仕上げ:固まるまで待ってから製品を取り出し、仕上げます

 

鉄の鋳造プロセス① 設計デザイン(3DCAD)

鉄の鋳造を行う際は、まず3DCADなどを使い、鋳造品の設計デザインを行います。今回は、鉄鍋自体のデザインはもともと完成していますので、その鉄鍋に入る「みんさくロゴデータ」をどのように2次元から3次元にしていただいたかをご紹介します。


私たちが事前にプロトにお送りしたのは、こちらのロゴデータです。


みんさくロゴ
みんさくロゴ


このデータをもとに、プロトに3DCADで3次元ロゴデータを作成していただきました。川崎氏によれば、みんさくロゴを細かな部分まで再現するために、この時点でさまざまな工夫を施してくださっています。

「ロゴマークや文字などを凸型でくっきり表現できるのは、鋳物ならではの特長です。ただ、その際にいくつか注意しなければならないことがあります。たとえば、今回のみんさくロゴの場合には、特に大きなポイントが2つありました。

①「i」のノギス上部右側の小さな点は、確実に表現するため、ロゴデータよりも少しだけ大きくしました。

②「k」の定規部分の内側のへこみが深いと、注湯がうまくいかず、欠陥になってしまう可能性がありました。そこで、定規部分のへこみは浅めに設計して、湯がスムーズに流れやすいようにしています。

この他にも、ロゴデータを2次元から3次元にする際、製造プロセスを踏まえて、弊社デザイナーがこうした調整をいくつか細かく行っています」(川崎氏)

 

こうして完成した3次元ロゴデータを既存の鉄鍋デザインに入れ込んだら、設計デザインは終了です。

 

 

<動画1>みんさくロゴが入った鉄鍋の3DCAD設計デザイン

 

鉄の鋳造プロセス② 木型・砂型製作(3DP)

次に、高性能3DPを使って、設計デザインから精密なデザイン(今回のロゴの部分)を鋳出すための砂型(中子)を作成します。この中子(ロゴ部分)と標準形状の木型を使って製作した砂型(鍋本体部分)を合わせて鋳型を作っていきます。標準形状用の砂型は、常温で放置すれば砂が固まる「自硬性鋳型」で、特殊樹脂を加えた砂を木型にしっかり均一に詰め、25分ほど置くと砂型が完成します。

「私たちのこだわりの1つは、砂型に粒子の細かな砂を使っていることです。砂が細かいほうが鋳肌がより美しく仕上がるからです。その代わり、砂が細かいほど、注湯時に砂の間からガスが抜けにくくなって、ガス抜きの工夫が必要になります」(川崎氏)



<動画2>砂型製作の様子

 

こうしてでき上がった「みんさくロゴ入り鉄鍋の砂型」がこちらです。

<動画3>みんさくロゴ入り鉄鍋の砂型

 

鉄の鋳造プロセス③ 材料用意

ここで、鉄を鋳造する際に使う材料を紹介します。プロトでは、次の3種類の鉄材料を使っています。

①銑鉄(鋳物の原料となる鉄鉱石を還元して取り出した鉄)
②スクラップ材(他工場で鉄製品を作る際に出た端切れなど)
③リターン材(この工場で以前製品を鋳造したときの余り)

また、成分調整のために、シリコン(Si)・イオウ(S)・マンガン(Mn)・カーボン(C)・マグネシウム(Mg)などを適宜加えていきます。この成分調整によって、鉄の性能を高めたり、欠陥を防いだりします。

たとえば、一般的な鉄の鋳造では「普通鋳鉄」(片状黒鉛鋳鉄・ねずみ鋳鉄:FC100~FC350)を採用しますが、最近はマグネシウム(Mg)を加えて強度を高める「ダクタイル鋳鉄」(球状黒鉛鋳鉄:FCD350〜FCD800)も増えています。成分によって、強度などが変わってくるのです。なお、今回の鉄鍋の鉄は「FC250」ですが、プロトでは普通鋳鉄に加えて、ダクタイル鋳鉄の製造も行っています。ダクタイル鋳鉄にも対応することで、自動車・自動車部品メーカーなどからの引き合いが急増しているそうです。

スクラップ材はものによって成分が異なるため、プロトではスクラップ材の質にもこだわっていますが、それでも鋳造時の成分調整が不可欠です。その点、リターン材はすでに一度成分調整を済ませているため、安定的に鋳造する上で役に立つ材料です。

 

<動画4>プロトで鉄鍋の鋳造に使用している材料

 

≪後編に続く≫

▽おすすめ関連記事

こちらの記事もおすすめ(PR)