『第14回メッセナゴヤ2019』異業種交流を促進しうる特徴ある加工技術を持つ企業 (2/3)

平らで出っ張りの少ないネジ

平らで出っ張りの少ないネジ

ネジ頭部の出っ張りが少なく、ドローンなどで求められる1mmでも小さく1gでも軽くというニーズに対応するネジを出展していたのは株式会社サイマコーポレーション(神奈川県藤沢市)です。斎間孝(さいま・たかし)代表取締役社長によれば、同社もメッセナゴヤへの出展は初めてで藤沢商工会議所の小間で出展したそうです。

「ネジというのは、頭で押さえつける圧と摩擦、ネジ山にかかる圧の二つで複数の部材を締結しています。ネジ本体と頭の部分は同じ素材でワイヤーを金型で変形させて作ります。ネジは頭の部分が重要で、複数の部材を締結する場合、頭で軸力という力を50%くらい受け、ネジが緩まないように締結しているわけです」

以前は切削でネジを作ることも行われていたそうですが、いまはそうした加工はほとんどやられていないと言います。ワイヤーを工作機械へ入れるとネジ山が切られていないT字型のネジの元の状態ができ、その後、ダイスという工具で螺旋状のネジ山を転造(転がしてネジ山を刻む)するそうです。斎間さんは、金属加工の特性として変形するとその部分が硬くなって強度が増すので、転造の過程でネジの強度が少し上がると言います。


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斎間さんは、縫製業として起業した祖父から続く三代目で、家業を継ぐ際にネジ加工会社を立ち上げたと言います。
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斎間さんは、縫製業として起業した祖父から続く三代目で、家業を継ぐ際にネジ加工会社を立ち上げたと言います。


同社のネジは自社開発ですが、製造機械を持たないファブレスのメーカーだそうです。ネジは図面から同社で起こし、金型や加工機械は外部の会社に作ってもらっていると言います。

「最初にファーストドラフトの図面を起こし、それで金型を作ってもらい、試作品を出してみます。試作品の性能試験をしますが、最初はネジとしての機能がとても低い、製品にはならないものしかできません。しかし、そこから出てくるデータから弱点がわかるので、次はどこを工夫しようということで金型屋さんと一緒に詰めながら詳細図面を書いて試作を繰り返し、最終的に性能試験がクリアでき、量産できて製品化ができそうなネジが初めてできてくるというわけです」


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頭部の低い「スリムヘッド・スクリュー」の六角リセスバージョン。薄くてもトルク伝達が良く強度も担保されているそうです。
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頭部の低い「スリムヘッド・スクリュー」の六角リセスバージョン。薄くてもトルク伝達が良く強度も担保されているそうです。


同社が展示していたのはスリムヘッド・スクリューという頭部が平たくなっているネジです。頭の首下の部分のアールが小さく、締結部分に接している座面積という面積が大きくなり、薄板でも安定した締結が可能になっているそうです。

「頭をどんどん薄くしていけば、ある薄さでしっかり締結できなくなります。強く回しても頭が取れないだけの強度も保たなければなりません。こうしたネジでは、表面の出っ張りをできるだけ少なくしたいドローンやロボットなどに使われるニッチな市場です。ドローンが多く使われ始め、少しは需要が増えていますが市場が小さいのでどこも参入してこない領域です。需要が少ないわりにお客様からの要求も厳しく技術的に難しい領域になります。弊社はそこで勝負しているのです」

スリムヘッド・スクリューの素材はアルミ、ステンレス、鉄とニッケルの合金の3種類。M5サイズの長さ10mmのネジを100本まとめた際の重量は、従来のステンレス製十字なべ子ネジを100%とすると、スリムヘッド・スクリューでは鉄とニッケルの合金で66.8%、ステンレスで65.5%、アルミで22.4%と大きく軽量化されていると言います。また、締め付け強度でも、従来のネジより強いトルクで締め付けても頭が飛んだり壊れたりすることが少なくなっているそうです。

「標準的なM5サイズの十字なべ子ネジの場合、頭の出っ張りが3.3mmありますが、弊社のスリムヘッド・スクリューの場合は1mmになります。M2サイズではこれが0.5mmの厚さになっています。

六角穴のヘキサロビュラというJIS規格のネジでもスリムヘッド・スクリューを実現していますが、これは十字よりトルクの締め付け管理が格段にしやすく、頭部体積が少なくてもネジがきちんと回るようになっています。

十字と六角のどちらもスリムヘッド・スクリューでは、リセスという穴を浅くしており、浅くても工具がしっかり引っかかってトルクが伝達されるようになっています」

同社は、転造と熱処理で頭が飛びにくい加工を施しているそうです。スリムヘッド・スクリューの場合、素材は、ステンレスでは通常のものを、鉄系のネジでは専用の特殊な素材を使っていると言いますが、使う加工機械も工程も通常のネジと同じで、素材と金型に弊社独自の工夫が施されているそうです。

「ドローンなどを製造販売しているお客様からのご要望にも対応しますが、ネジの場合、数量的に3〜5万本が経済ロットなので、それ以下だと高くついてしまいます。

ですから、弊社の在庫の中から選んでもらうことも多いのです。スリムヘッド・スクリューで300〜400アイテムの在庫をご用意しています。サイズ、ネジの長さでそれだけの数になります。ただ、300mm以上の長さになると転造は難しくなります」

同社のスリムヘッド・スクリューの場合、ニーズが小さなサイズに偏っているそうです。仮に頭のサイズをどんどん大きくして直径300mmにしても、小さいサイズのスリムヘッド・スクリューと同じ原理で強度を担保できると言います。ただ、実際にそれくらいの大きさのネジで性能試験をやっておらず確かなことは言えないそうです。

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同社は、いたずら防止ねじも出展していました。リセス(ネジ穴)の種類がたくさんあるそうで、リセスに合った専用工具でなければ取り外しづらくなっています。
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同社は、いたずら防止ねじも出展していました。リセス(ネジ穴)の種類がたくさんあるそうで、リセスに合った専用工具でなければ取り外しづらくなっています。

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