二次電池やスマートグリッドが大集結!『第7回 関西スマートエネルギーWeek』でみえた新エネルギー技術が作り出すビジネス方向性 (1/2)

2019年度のノーベル化学賞の受賞でリチウムイオン電池などの二次電池の技術が改めて注目を集めていますが、本展示会は二次電池を含めた新エネルギー技術に関する関西における総合展示会となっています。二次電池以外では、太陽光発電による余剰電力の固定価格買取制度の満期終了後、いわゆる「FIT後」「卒FIT」の自家発電・自家充電・自家消費に関係した技術展示やビジネス展開が多く行われていました。

太陽光発電展では、FIT後を見すえた太陽光発電の自家消費技術を中心に出展され、太陽光発電プラントのO&M技術、出資ビジネス案件や事業展開などの展示なども多く見られました。

二次電池展では、やはりリチウムイオン電池、全固体リチウムイオン電池などの次世代二次電池、大規模蓄電に用いる鉛畜電池といった出展が目立ちました。リチウムイオン電池ではモバイル用の小型高出力の技術が主流でしたが、EV用などの大容量に向けた技術やキャパシタなどの蓄電技術も多く出展していました。また、電池性能の評価技術、電力インフラの高度化といった課題に対し、多くの来場者が興味を持っているようでした。

このほか、スマートグリッドEXPO、バイオマス展、火力発電EXPOにも出展企業が集結し、それぞれの技術を競っている印象を受けました。環境負荷については、エネルギーの採掘・製造・輸送段階も考慮する「Well-to-Wheel」で評価する考え方を提案する出展企業もありました。

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注目を集めた全固体リチウムイオン電池

今回のスマートエネルギーWeekでは、二次電池展とバイオマス展、火力発電EXPOの出展エリア、太陽光発電展とスマートグリッドEXPOの出展エリアと大きく2つに分けられていました。会場の様子を、二次電池展、スマートグリッドEXPOを中心にご紹介しましょう。

古河電池株式会社では、鉛蓄電池による大規模蓄電技術を中心に出展していました。鉛蓄電池は、余剰電力のバックアップ用として改めて着目されている技術で、同じ規格のリチウムイオン電池と比べて約10倍の充放電サイクル数となるそうです。逆に、重量が重く体積が大きいのでコンテナ型などで設置したり、建造物に付属させたりすることになります。

今回の出展はスマートグリッドに合わせた事業用・産業用ですが、鉛蓄電池の1/2以上は車載用ということです。


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古河電池株式会社の展示ブース。鉛カーボン電池は、長寿命(20年)、多サイクル数(5,500サイクル)、安心安全・低コストという特徴があり、電力インフラの安定性を担保し、再生可能エネルギーなどの用途に展開できる技術ということでした。
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古河電池株式会社の展示ブース。鉛カーボン電池は、長寿命(20年)、多サイクル数(5,500サイクル)、安心安全・低コストという特徴があり、電力インフラの安定性を担保し、再生可能エネルギーなどの用途に展開できる技術ということでした。


全固体リチウムイオン電池では、日立造船株式会社(Hitz、大阪市住之江区)が出展し、多くの来場者が集まっていました。液漏れのない固体電解質を用い、難燃性であるため高温になりにくく、従来のリチウムイオン電池に比べて安全性が高く動作温度範囲も広くなっています。宇宙などの過酷環境での使用、医療用、次世代自動車用などに期待されている技術です。

会場で対応してくださった経営企画部広報・IRグループの山本智充(やまもと・ともみつ)氏によると、2016年から既に一部のお客様にサンプル提供しており、その意味では製品化の段階に達している製品となっています。コストはまだ少し高いようですが、量産効果で下げる可能性はあると言います。現在は、品質安定化や自動化など生産性向上に必要な技術開発を進めているようです。

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同社の全固体リチウムイオン電池は、高温(120℃)・真空下での充放電サイクル(50サイクルごとに充放電)特性は100サイクルまで大きな変化はなく、温度特性もマイナス40℃から放電容量(mAh)が上がり始め、約20℃以降は安定したものになっているそうです。
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同社の全固体リチウムイオン電池は、高温(120℃)・真空下での充放電サイクル(50サイクルごとに充放電)特性は100サイクルまで大きな変化はなく、温度特性もマイナス40℃から放電容量(mAh)が上がり始め、約20℃以降は安定したものになっているそうです。


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日立造船株式会社のHitz全固体リチウムイオン電池。外寸は幅52mm、高さ65.5mm、厚さ2.7mm。充電は最大電圧4.15V、最大電流0.014A、放電は終止電圧2.70V、最大電流0.14A、平均電圧3.65V、定格容量140mAh。使用温度は充電で20〜120℃、放電でマイナス40〜120℃となっています。
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日立造船株式会社のHitz全固体リチウムイオン電池。外寸は幅52mm、高さ65.5mm、厚さ2.7mm。充電は最大電圧4.15V、最大電流0.014A、放電は終止電圧2.70V、最大電流0.14A、平均電圧3.65V、定格容量140mAh。使用温度は充電で20〜120℃、放電でマイナス40〜120℃となっています。


ナグシステム株式会社(大阪府摂津市)は、リチウムイオン電池用の積層箔溶接装置を出展。展示担当者によれば、2019年2月27日〜3月1日に東京ビッグサイトで開催された二次電池展にも出展したそうです。


<写真4>
ナグシステム株式会社のスパッタレス積層電極接合技術。精密抵抗溶接という技術で20年前くらいのものですが、少しずつ技術革新が進められ、現在の形になっているそうです。
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ナグシステム株式会社のスパッタレス積層電極接合技術。精密抵抗溶接という技術で20年前くらいのものですが、少しずつ技術革新が進められ、現在の形になっているそうです。


ヤマハファインテック株式会社(静岡県浜松市)は、TAB溶着検査機、内部気泡検査機、ケース用ヘリウム漏れ検査機といった電池の各種検査機を出展していました。中でもヘリウムを使った電池ケース用漏れ検査機は、トヨタに導入され、プリウスの電池はすべてこの検査機で漏れを評価しているということでした。

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