自動車産業の中心地で開催!『第2回 名古屋オートモーティブワールド』にてCASE・MaaSに関わる注目自動車テクノロジーを現地レポート

2019年9月18〜20日に名古屋市にあるポートメッセなごやで開催された第2回 名古屋オートモーティブワールド。先端の自動車関連技術だけでなく、要素技術やソフトウエアなど、幅広い業種業態の企業による出展が目立ちました。今回は、自動運転、軽量化、MaaSといった関連技術や研究開発の出展企業に加え、開催事務局長の早田匡希氏にも取材し、東京とは異なる名古屋での展示傾向や見どころをご紹介します。


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名古屋オートモーティブワールドの会場の様子。さすがに、ものづくり系、自動車関連の来場者が多く、あちこちで興味深い技術の説明に聞き入る人の姿がありました。
名古屋オートモーティブワールドの会場の様子。さすがに、ものづくり系、自動車関連の来場者が多く、あちこちで興味深い技術の説明に聞き入る人の姿がありました。


粉末冶金を自動車の軸受けに

いくつかの出展企業に話をうかがいました。

本展示会に2回目の出展をし、前回よりも小間を2倍の規模にしたというのは、埼玉県のポーライト株式会社です。粉末冶金の会社で、焼結軸受けやギヤ、燃料電池セパレータなどを出展していました。MIM開発課の森山貴浩(もりやま・たかひろ)氏は「東海地方の有力自動車メーカーにアピールするために出展しました。まだ、具体的なお取引にはいたっていませんが十分な手応えを感じています。自動車に使われるモーターの軸受けが主力ですが、焼結技術でナノレベルの微細な穴を開けた燃料電池の電極に使われるプレートも作っています」と言います。

森山さんが所属するMIM開発課では、工程を簡素化し、歩留まりを低くできる量産化が可能で、省エネ省資源につながる金属粉末射出成形法(MIM:Metal Injection Molding)の利用を進めています。この製法はまた、金型を高精度にすることで、後工程が少なくでき、3次元形状のものを容易に製造できることも特徴だそうです。

自動車関連の素材メーカーも多く出展していました。これは東洋紡が出展したコンセプトカー。内装や外装に機能樹脂による新素材が使われています。内装や外装に機能樹脂による新素材が使われ、軽量化したことをアピールするとともにEV用電池に使われる機能性樹脂の素材などを展示していました。
自動車関連の素材メーカーも多く出展していました。これは東洋紡が出展したコンセプトカー。内装や外装に機能樹脂による新素材が使われています。内装や外装に機能樹脂による新素材が使われ、軽量化したことをアピールするとともにEV用電池に使われる機能性樹脂の素材などを展示していました。


軽量化に寄与する新技術と自動運転

また、中には興味深い技術の出展もありました。広島県から「クルマの軽量化技術展」に出展していた株式会社北川鉄工所(広島県府中市)は、低温2面摩擦接合という新しい技術を紹介していました。鋼材の接合は強度を高めるほど溶接性が下がるという矛盾がありますが、この最新の接合技術によって自動車の軽量化に寄与しようというわけです。

この低温2面接合というのは大阪大学接合科学研究所が研究開発した技術だそうで、技術担当の吉川尚吾(きっかわ・しょうご)氏は「鋼材同士を回転させながら圧接して接合する摩擦接合では、接合面が1,200℃前後の高熱になってしまい、母材の性質が変化し、破断するなどのデメリットがあります。

今回、出展している低温2面摩擦接合は、大阪大学接合科学研究所の技術を使って弊社が開発した装置です。低回転の速度で高圧に接合することで、加工発熱を約700℃という低温に抑えられます。素材強度と継手強度の指標である継手効率が100%というほど母材の金属組織が強度を保つことができ、異形材料の位相調整が容易でバリの硬化も抑えられます」と胸を張ります。

自動運転技術ではソフトウエアも重要ですが、ものづくり系の企業の出展が目立ちました。東京に本社を置くディープラーニングなどのAI技術で自動運転の開発をしている株式会社iPX(東京都港区)の石澤慶憲(いしざわ・よしのり)氏は「東京のオートモーティブワールドには出展していますが名古屋は初めてです。ほかのブースをまわってみましたが、あまりAI系ソフトの会社さんは多くない印象を受けました。東京に比べると、ものづくり系が多いようです」と言います。

同社の展示では、牽引連結式の大型トラックの深層教科学習を使った自動運転シミュレーションが興味深く、熟練ドライバーでも難しいクランクを2連トラックがバックで出入りする様子がよくわかりました。その他、経路探索や音声認識の技術も出展していました。


新たな市場を開拓する

また、東京に本社を置き、土木関係の設計・解析・ソフトウエア開発などを国際的に展開する株式会社フォーラムエイト(東京都渋谷区)は、ドライブ・シミュレーターのソフトなどを展示していました。ドライブ・シミュレーターは、自動運転やMaaS(Mobility as a Service)などの研究開発、ITS交通システムなどに多用され始めている製品で、多くの企業が参入している分野だそうです。

説明担当の横山将弘(よこやま・まさひろ)氏によれば「名古屋のオートモーティブワールドは初めての出展です。東京の自動運転EXPOには2年続けて出展していますが、自動車関係の展示会へ出展してみようと考えました。出展しているのは、多様なドライブ・シミュレーターに互換性のある3Dソフトですが、来場されるお客さまの反応はいい感じです」とのことでした。同社のドライブ・シミュレーターは、すでにアカデミアなどへの導入実績があるそうです。


3Dの仮想空間を簡単に作成できるドライブ・シミュレーターを展示していたフォーラムエイト。アカデミアなどへの導入実績があり、自動車教習所などの多様なハードに対応できるといいます。
3Dの仮想空間を簡単に作成できるドライブ・シミュレーターを展示していたフォーラムエイト。アカデミアなどへの導入実績があり、自動車教習所などの多様なハードに対応できるといいます。


併催されている展示会でも、自動車関連にアピールしようという企業の出展がありました。「ネプコンジャパン」はエレクトロニクス製造・実装技術の専門展ですが、大阪有機化学工業株式会社(大阪市中央区)という塗料メーカーが「世界一伸びる機能性アクリル材料」を出展していました。同社はアクリル酸エステル(アルコール化合物)の専門企業ということで、化粧品、塗料、液晶部材などを造っているそうです。

 
同社はまだ自動車関連の業種へ進出できていないとのことで、展示担当者によれば「展示会自体まだ数回目の出展で、今回は自動車関連の感触を得るためにヒアリングという形で出展してみました。素材関連の会社さん自体が少ないので、正直、感触はよくわかりませんが、次回も出展する予定です」と言います。

 
株式会社メイコー(神奈川県綾瀬市)もネプコンジャパンに出展していた企業です。自動車の内装基板の小型化、5Gを使った高速伝送といった展示をしていました。展示担当者によると、ミリ波などの高周波ハイブリッド基板で高周波回路と制御回路を一体にし、低コストと小型化、安定化を実現した技術が目玉だそうです。

 
一方、関連業界が広いためか出展社が多く、思うような小間を取れなかった企業もあったようです。東京に本社を置くある計測関係の商社の担当者は「名古屋は前回に続いて2回目の出展ですが、狙っていたブースを取れず、本来の製品アピールとはややターゲットが異なった小間区画になってしまいました」と悔しそうでした。


作業着での来場者も

最後に、今回の名古屋オートモーティブワールドについて早田匡希(そうだ・まさき)事務局長からコメントをいただきましたので紹介します。


────名古屋の来場者で特徴的な傾向はありましたか。

早田:
名古屋展の来場者のうち85.6%が中部・西日本からの来場者ということでしょうか。毎年1月に東京で開催している本展と比較すると、両展に来場したのがたった3.4%のみということで、名古屋展開催によって新たなビジネス創出のきっかけになったのではないかと考えております。


────名古屋での第1回2018年と本年の第2回2019年の開催内容やテーマなど違いがありましたか。

早田:
新たなテーマとしては、オートモーティブワールドにてCASEスタートアップフォーラムを開催いたしました。名古屋展で初の企画となった本フォーラムですが、イスラエル、中国、アメリカなどから出展されています。日本にいながらにして世界のスタートアップ企業と商談できる場とあって注目を集めました。

加えて併催の専門セミナーでは新たな試み、テーマとして、今回特別講演でMaaS(Mobility as a Service)を取り上げ、トヨタ自動車、フィンランドのMaaS Global、北米のスタンフォード大学の教授など、世界中の取り組みがわかる講演になりました。


────今回、名古屋、地元企業の出展状況は昨年に比べていかがでしたか。

早田:
具体的に数字で出してはいませんが、昨年同様、多くの愛知発企業にもご出展いただきました。一方、愛知以外、国内はもちろん海外からも出展していただきました。このことから自動車をはじめとしたものづくり産業の集積地である名古屋での開催で、ビジネスチャンスを狙う企業が多いという現れかと思います。


────自動運転、AI、軽量化、併催されている産業ロボットなどの出展状況はいかがでしたか。

早田:
本業界での最新テーマであるこれらのキーワードに該当する技術は多く見られたかと思います。自動運転や軽量化に関しては、テーマにして展示会も設置しており、一同に関連技術、製品が並びました。また、産業用ロボットは実演しているブースも多く、来場者の注目を集めていました。業界の最新テーマを知る場になっていたと思います。


────今回の開催で出展社、来場者などの感想、声をいくつか紹介してください。

早田:
出展企業様からは「開発や設計の現場の方が直接来るので商談が決まりやすい」といった声が寄せられました。実際、会場を見ても仕事現場の作業着のまま、数人でまとまって来場している姿が見受けられました。こうした姿からも実際の現場の方が直接会場で技術製品を見ているという実感はありました。

来場者からは展示会はもちろんのことセミナーも非常に好評でした。日本だけでなく海外のキーマンが講演のために来日、セミナー聴講者も昨年に比べ約3,000名も増え、注目を集めました。



自動車関連の先端的な技術だけでなく、要素技術やソフトウエアなど、幅広い業種業態の企業による出展が目立った名古屋オートモーティブワールド。さすがに自動車産業が集積する中部地方だけあり、東京オートモーティブワールドとはかなり異なった展示内容になっていました。



文/石田雅彦



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