ファイバーレーザー溶接がさらに使いやすく!スパッタ問題を解決に導く独創的な技術が生まれた背景 (1/3)

レーザー溶接の中で注目されるファイバーレーザー溶接は、レーザーの優れた光学特性、消費電力や導入コストの低さを活かし利用拡大が期待される一方で、スパッタ問題と呼ばれる溶融金属飛散の課題があります。三菱電機株式会社と多田電機株式会社は共同でこれを改善する技術を開発し、2018年に発表に至りました。両社にお話を伺うなかで、前編ではファイバーレーザー溶接の基本的な知識と開発に至るまでの背景をご紹介します。

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スパッタがほとんど出ないファイバーレーザー溶接を実現

金属(板金)の加工においてレーザー溶接は、切断(穴開け)、曲げと並ぶ3大工程の一つです。産業の発展や振興において溶接は重要な基幹技術ですが、特にレーザー溶接は近年、技術的なイノベーションが多く現れ、自動車や航空機を含めた多種多様な製造分野で使用されるようになってきました。

中でもファイバーレーザー溶接は、高出力、高輝度で波長が短く(1.07μm)、光ファイバーによる伝送が可能という特徴をもち、ビーム品質(BPP=Beam Parameter Products、ビームパラメータ積)が良質かつ消費電力や導入コストなどの点で従来のCO 2レーザー溶接、YAGレーザー溶接、半導体レーザー溶接に勝る技術となっています。

ただ、ファイバーレーザー溶接には重大な欠点がありました。それがスパッタ(溶融金属の飛散)問題です。スパッタが多く出るため、接合部表面にくぼみができたり、飛散物が固着したりして製品不良を引き起こします。また、スパッタの飛散量を抑制しようとすれば溶接速度を落とさざるを得なくなり、生産性が低下するのです。

2018年5月にファイバーレーザー溶接のスパッタ問題を大きく改善する技術が発表されました。これは三菱電機株式会社と多田電機株式会社が共同で開発したもので、スパッタがほとんど出ないファイバーレーザー溶接を実現したのです。ファイバーレーザー溶接の完全実用化に道を開くこの独創的な技術の研究開発を主導した三菱電機の先端技術総合研究所、駆動制御システム技術部、専門技師である久場一樹氏と同技術部レーザシステムグループマネージャー、桂智毅氏、多田電機応用機工場の第二製造部、溶接機技術課開発グループ、上野彰大氏にお話を伺いました。



三菱電機技術部レーザシステムグループマネージャー桂智毅氏(左)と先端技術総合研究所駆動制御システム技術部専門技師久場一樹氏
三菱電機技術部レーザシステムグループマネージャー桂智毅氏(左)と先端技術総合研究所駆動制御システム技術部専門技師久場一樹氏

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