寸法精度がよく表面鋳肌が良好な精密鋳造法の分類と用途〜鋳造入門講座(3) (2/2)

レプリキャスト法(Replicast Process)について

レプリキャスト法(Replicast Process)について

レプリキャスト法は、次回ご紹介するインベストメント鋳造法(ロストワックス法)と同じように金型を使いますが、使用する模型パターンは、発泡ポリスチレン(EPS:Expanded Polystyrene)を用い、またセラミックのコーティングをインベストメント鋳造の半分(4〜5層)にして造型時間を短縮する方法です。

予備発泡したEPSを金型に注入し、その後蒸気を注入することでさらに発泡を進めて金型を充満させ、表面が滑らかで、かつ内部は発泡が進んだ模型パターンを採取します。レプリキャスト法で用いられるEPSの原料の密度は640Kg/m³であり、最終的に発泡した状態では16Kg/m³となり40倍に膨張します。また当初粒子径が0.2〜0.3mmであったものが、発泡完了時には0.6〜1.0mmとなります。

発泡ポリスチレンは熱膨張係数がワックスなどと比較して小さいため、造型工程でインベストメント鋳造ほど 厳しい室温管理を行う必要がないこと、および 比重が小さいため作業行程中の変形が少ないことなどから、インベストメント鋳造と比較して 「大物鋳物」に適用可能です。4〜5層のシェルモールド造型を行った鋳型は模型パターンを除去するため900℃程度の焼成炉に投入され、急速加熱されてEPSの模型パターンを溶融・燃焼させます。

焼成が完了した鋳型は鋳造チャンバー内に装入され、鋳型の周りに振動を掛けながら「乾燥砂」を充填して溶湯の圧力を支持するように鋳型をサポートします。鋳型の周りから空気を吸引しながら上部の注湯口から溶湯を注入し、その後冷却して凝固させます。取り出された鋳物は冷却後、型ばらしされますが、鋳型層数が少ないぶん型ばらしが容易です。
レプリキャスト法の作業工程を<図3>に示します。


<図3>レプリキャスト法の作業工程
<図3>レプリキャスト法の作業工程

レプリキャスト法は、発泡ポリスチレン(EPS)の模型パターンを砂型鋳造に適用するロスト・フォームプロセス(日本ではフルモールド法と称します)から派生した精密鋳造法です。

ロスト・フォームプロセスは、大きなEPS模型パターンの表面に「耐火性塗型剤」を塗布した後、パターン全体を型枠に装入。パターンの周りに鋳物砂を充填し固めてから溶湯を直接注湯して、湯口・ランナーを含むキャビテイー部を形成しているEPS模型パターンを溶湯で溶融・蒸発させながらこの模型パターンを置換する形で鋳物を製造する方法です。注湯の途中では、EPSから発生した燃焼ガスは鋳型を通して外部に放出されます。

この方式では鋳鉄・球状黒鉛鋳鉄・銅合金およびアルミニウム合金などは適用できますが、EPSが溶融・蒸発するときにその主成分である「炭素」が溶湯に吸収される可能性が大きく、これに悪影響を受ける低炭素鋳鋼・低炭素ステンレス鋼および真空溶解鋳造が必要なチタン合金やニッケル基超耐熱合金などの材質は不可能でした。

レプリキャスト法は鋳型を一度900℃程度で「焼成」することでEPS成分の悪影響を除外できるため、インベストメント鋳造法と同様に「すべての材質」に適用可能です。

インベストメント鋳造法との違いは、EPS模型パターンを採用することにより比較的大物鋳物を製造できること、ワックス射出成型と比較して「低圧で模型パターン成形が可能」であるため大物でも高価な射出成型機を必要としないことです。

また模型パターンの比重がワックスの1%程度であることから、造型機などの設備費用も抑えられます。そのほかにも、鋳型厚さがインベストメント鋳造法の半分程度であるため型ばらしの工数が削減できるなどの利点があります。

レプリキャスト法の設備の例を<図4>に示します。装置の下部に鋳込み槽に装入したレプリキャスト鋳型をセット、その周りに乾燥砂を注入し真空引きをして、しっかりしたバックアップ層を形成しながら上部の溶解設備より直接注入します。注湯後は真空を解除するとともに乾燥砂を鋳込み槽から排除し、鋳物を取り出します。

レプリキャスト法による鋳物の用途は、産業機械分野では大型ポンプのケーシングやインペラー、小型ガスタービン部品などに用いられていますが、最近の報告では大物チタン合金鋳物およびニッケル基超耐熱合金を用いてジェットエンジンのケーシングなども製造されています。


<図4>レプリキャスト法の設備概念図
<図4>レプリキャスト法の設備概念図

<表2>にインベストメント鋳造法、セラミック・モールド法およびレプリキャスト法の比較表を示します。


<表2>各種精密鋳造法の比較
<表2>各種精密鋳造法の比較

次回はインベストメント鋳造法(ロストワックス法)をご紹介します。


▽鋳造入門講座

こちらの記事もおすすめ(PR)