商社とメーカーの二刀流「里商会」に特殊案件が集まる理由

加工や溶接など製造工程の内容が多岐にわたる特殊案件。協力メーカーと意見交換しながら綿密に連携することで、製作工程の把握が迅速にでき、製作技術の向上にもつながるため、納期を確実に守りながら、品質の高い製品をお客様に提供することができるそうです。今回は、長崎県大村市にある、商社として事業展開する一方、自社工場にて鉄やステンレスを中心とした機械加工品や溶接品の製造を手掛ける有限会社里商会に特殊案件が自然と集まる理由とともに、どのように特殊案件をこなしているのかお話を伺いました。

顧客のみならず、協力メーカーからも「何とかしてほしい」と相談されることが多い里商会。特殊案件が自然と集まる理由とともに、どのように特殊案件をこなしているのか、同社の代表取締役である里義博氏、営業担当の加島惣一郎氏、木全宏次氏に詳しく伺いました。

里商会は商社とメーカーの二刀流

長崎県大村市に拠点を構える有限会社里商会は、商社とメーカーの2つの顔を持ちます。
創業当初は、客先から受注した製品を協力メーカーへ製作依頼する商社として事業をスタート。しかし事業を展開する中で、急な依頼にも対応できるようにするなど、顧客のニーズや利便性も踏まえて徐々に自社で製造も行うようになりました。

現在は自社工場を持ち、船舶部品の製造をはじめ、鉄やステンレスを中心とした機械加工品や溶接品の製造を手掛けています。

船舶部品の軸受け(提供:里商会)
船舶部品の軸受け(提供:里商会)


里商会が特殊案件を数多く任される4つの理由

里商会は、顧客のみならず、協力メーカーとして普段付き合っている会社からも「何とかしてほしい」と相談されることが多く、特殊案件が多く集まるのが特徴です。その理由について見ていきます。

1.関係値が良好な協力メーカーが豊富

里商会は商社として発足した経緯から、材料調達や加工、溶接などにおける協力メーカーが多いのが特徴です。現在43社の協力メーカーと取引があり、各社の得意分野を把握しているため、案件ごとに各分野のスペシャリストである協力メーカーに最適な依頼が可能。さらに、良好な関係を構築しているため、受注してからの工程組みがスムーズで納期の短縮にも優位性があります。

「昔から付き合いが長く、協力メーカーから当社へ製品の発注があることもしばしば。持ちつ持たれつの関係を創業当初から築いているため、関係値がものすごくいいのです。協力メーカーと意見交換しながら綿密に連携することで、製作工程の把握が迅速にできますし、製作技術の向上にもつながります。その結果、納期を確実に守りながら、品質の高い製品をお客様に提供することができます」(代表取締役 里義博氏)

2.納期に遅れない機動力

「納期厳守」。これは関係値が良好な協力メーカーのおかげであるとともに、里商会のDNAでもあります。

「商社はお客様とお客様をつなぐ立場です。ですから商社こそ納期が大事。創業者であり会長の父が一番口をすっぱくして言ってきたことでもあります。当たり前のことながら、品質と同じく何があっても納期は必ず守る。これが何より大切です」(里氏)

具体的には、製作工程の段取りを瞬時かつ正確にできる機動力が同社の強みです。

「加工や溶接など製造工程の内容が多岐にわたり、複雑な案件は少なくありません。けれども当社は、どのメーカーに、どういう順番で、大体どれくらいの日時に任せられるか、といった段取りを瞬時に見積もることができます。その上で協力メーカーとすぐさま連絡を取り合い、互いの工場の連携をいち早く進めます」(里氏)

「通常かかる日数の約半分ほどで仕上げる『特急案件』に関しては、あまりに対応が早いので、『工程を1つはずしたり、ちょっとしたごまかしをしたのでは』とお客様から言われることもあります。しかるべきルートで工程組みをしているので、ごまかしなんてあり得ませんが、困っていらっしゃるお客様をどうにか助けたいという一心でやってきました。もちろんこれは、協力メーカーと当社の従業員が応えてくれてこそ。日頃から感謝しています」(里氏)

3.ものづくりに精通した営業が主導する

里商会が誇る「納期に遅れない機動力」の要には、同社の営業担当者の存在が深く関わっています。

「当社の営業は溶接など製造業に精通しているので、図面から材料を選別し、それを協力メーカーなどに届け、検査し、納品するという一連の流れを一手に引き受けます。案件ごとにどういった加工法が適切で、どういった点が難しく、最終的にどのように仕上がるのかということまで把握しています。ですからお客様に対して、図面を見た上で適切な説明やアドバイス、提案ができます。社内ミーティングや協力メーカーとの打ち合わせにも参加しているので、製作工程を組むのは迅速そのもの。当社が首尾よく段取り、動けるのは、案件全体をリードする営業の存在が大きいのです」(里氏)

4.船舶関連の製品で鍛え磨かれた溶接技術

船舶関連の製品を数多く手掛けることで磨いてきた精度の高い溶接技術、機械加工技術も、里商会が顧客などから信頼されている大きな理由です。

「船舶関連の部品に関しては、求められる溶接技能が他の製品と比べて特殊と言えます。強度のある溶接を求められる為、鋼板を開先してから接合部を溶接し、変形を抑えるために焼鈍(焼きなまし)してから一体構造品にする製品が多々あります。ですから例えば、溶接による歪みで機械加工が困難になる場合、営業や機械加工者、溶接技師と密に連携しながら、歪みを最小限に抑える方法や取り代などのベストを常に探ります。また、複雑な構造品を扱う場合は、溶接途中工程で機械加工をして溶接部の隙間を無くす工夫を行うことにより、溶接品の精度を高めています」(里氏)


強度が必要な溶接部品(軸受け)。上段は製作途中、下段が溶接加工後の完成品(塗装前)。(提供:里商会)
強度が必要な溶接部品(軸受け)。上段は製作途中、下段が溶接加工後の完成品(塗装前)。(提供:里商会)


同社の技術力の高さは、充実した設備からも伺うことができます。加工機はNC横中ぐり盤、フライス盤、TAC旋盤、ラジアルボール盤、縦型マシニングセンターなど合計8台。また、溶接機は炭酸ガス半自動溶接機、アルゴンガスTIG溶接機、アーク溶接機など合計9台が揃います。

「溶接技師2名に対して溶接機の数はかなり多いですが、お客様のご要望に応えるべく厚板や薄板に対応できる溶接機など、各種取り揃えるようにしています。人数のわりに機械が多いので、空いている機械があることがメリット。いつでも臨機応変に対応できます」(里氏)


充実した設備の一例 立形マシニングセンター(提供:里商会)
充実した設備の一例 立形マシニングセンター(提供:里商会)


里商会は、設計段階から調整を重ね特殊案件をこなしている

では、上述の4つの強みを総動員しながら、これまでどのように特殊案件を確実に仕上げてきたのでしょうか。

「そもそもですが、受けた以上は途中で辞退せずに責任を持って必ずやり切る。これが当社のモットーです。例えば、創業当初からお付き合いがある造船関係の会社からは、現在も初めて手掛ける製品のご相談を受けます。設計段階からご相談を受けるのは非常に嬉しいことですが、提案や調整を重ねて実現可能性の高い図面に変更いただいたことは何度かありました。受けてから、『やっぱりできませんでした』はご法度。必ずやり切るためにも、できる可能性が高くなるまで受注前に調整を繰り返すこともしばしばです」(里氏)

これまでに経験した特殊案件の例としては、地元のボウリング場からのローラー部品や平型、円筒状のこし器などの金網を使用した製品、牛骨を粉砕する設備部品、樹木の伐採部品の製作などがあります。ボウリング場からの依頼では、現物から寸法を計測して製品を製作しました。
取引先からは、「小型部品や溶接部品、協力メーカーと連携した多ロット部品の製作まで、多種多様な製品への対応が可能」というコメントをいただいているそうです。

「これまでは、長崎県内だけで受注販売をしてきました。造船で培った当社の溶接加工や機械加工のレベルはどれほどなのか。他県でどこまで通用するのか。そういったことが最近気になります。今後は長崎県内にとどまらず、多品種小ロットの部品を扱うメーカーさんとも、ぜひお仕事をご一緒したいですね」(里氏)

溶接や機械加工に関するお困りごとやご要望があれば、里商会にぜひ一度ご相談ください。


有限会社里商会
1988年創業。商社として事業展開する一方、自社工場にて鉄やステンレスを中心とした機械加工品や溶接品の製造を手掛け、2本柱で事業を行う。各分野のスペシャリストである協力メーカーを束ね、迅速かつ確かな品質で製品を仕上げる総合力に強みがある。
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