国内シェア3%の海外製PLC(制御装置)がニーズを高めている理由とは。シーメンスのパートナー企業PRO-SEEDに聞く

INTERVIEW

株式会社PRO-SEED
代表取締役
青栁 孝幸

PLCは、産業用機器を制御するために必要なコントローラーで、工場などの機械や設備を自動で動かすために使われます。業界によって求められるPLCの仕様は異なり、企業によって状況や課題もさまざまであるため、お客様が何に困り、何を求めているのか、徹底的に聞き出すことが重要だと言います。今回は、滋賀県彦根市にある産業用自動化設備のエンジニアリング、システムインテグレーターを手掛ける株式会社PRO-SEEDにPLCの特徴や潮流、業界ごとに異なる仕様についてお話を伺いました。

工場内の機械や設備を自動で動かすために使われる制御装置のPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)は、グローバル化やIoT化がさらに深化するこれからの時代、ますますニーズが高まることが予想されます。PLCの特徴や潮流、業界ごとに異なる仕様とはどういうものなのか。産業オートメーション分野における世界のトップメーカー・シーメンス社からパートナーとして認定を受ける日本では数少ない企業、株式会社PRO-SEEDの代表取締役・青栁孝幸氏に伺いました。


国内では珍しいシーメンス社のパートナー企業

滋賀県彦根市に本店を構える株式会社PRO-SEEDは、産業用自動化設備のエンジニアリングを手掛ける会社です。また、約100名の生徒が在籍する小学生向けのロボットプログラミング教室も開催しています。

小学生を対象に開催しているロボット・プログラミング教室(提供:PRO-SEED)
小学生を対象に開催しているロボット・プログラミング教室(提供:PRO-SEED)


自動車や食品、飲料、医薬品、化粧品など、大手メーカーの製造設備の電気設計をメインに、バイオマスプラントの監視システムなども手がけ、累計300社を超える企業との取引があります。

同社の強みは、国内メーカーのPLCのみならず、グローバル市場でトップシェアを誇るドイツはシーメンスのPLCを用いた設計ができること。その高度で安定したエンジニアリングが評価され、同社は国内有数のパートナー企業として、シーメンス社から認定を受けています。

日本では、シーメンスのPLCで設計できる会社が非常に少ないにもかかわらず、需要はじわりじわりと右肩上がり。そのため同社には、「ここなら何とかしてくれる」という期待とともに多くの相談が寄せられます。


本社外観(提供:PRO-SEED)
本社外観(提供:PRO-SEED)


国内シェア3%のPLCがニーズを高めている理由

PLCは、産業用機器を制御するために必要なコントローラーで、工場などの機械や設備を自動で動かすために使われます。国内外のさまざまなメーカーがPLCを作っていますが、メーカーごとに命令言語が違い、互換性がないのが特徴です。

「それぞれ異なる言語で開発されているため、A社の言語に習熟していなければ、A社のPLCを用いて機械や設備を設計することはできませんし、A社の言語ではB社のPLCは設計できません」(青栁氏)

国内シェアについては、三菱電機が約60%を、オムロンとキーエンスがそれぞれ約10%を占め、3社で約80%のシェアを誇ります。シーメンスのシェアはわずか3%。ところが、グローバル市場で見ると、シーメンスが約40%と断トツのシェアで、三菱電機は約10%にとどまります。こうした背景には何か要因があるのでしょうか。

「各メーカーのPLCに関する技術は、細かい違いはあれどロジカルな部分はほとんど同じです。表現する言語が違うだけ。シェアの決定的な要因は入手性です。例えばシーメンスの装置はドイツで生産されていて、日本に輸入するには時間もお金もかかります。マニュアルも一部が英語なので、国内市場だけで見れば日本のメーカーのPLCに軍配が上がります。ただ、海外市場も踏まえるなら、世界190カ国に拠点を持つシーメンス製のPLCにメリットを感じるのは自然の流れ。どこの装置がいいかとよく聞かれますが、それはお客様の状況によって違います」(青栁氏)

そのような状況の中、近年、シーメンスのPLCへの問い合わせや相談は増加傾向にあります。その一つは、グローバル化や海外輸出を検討するお客様からの問い合わせです。
「例えば、納品する装置は同じでも海外の企業に納品するため、PLCはシーメンス製を使う必要があるケース。ある自動車装置メーカーのお客様は、それまで海外の高級車メーカーから打診があっても、『シーメンスのPLCは勝手がわからないから扱えない』と断ってきたそうです。でも、自社の装置を中国企業や欧米企業に売り込むことができれば売上は飛躍的に伸びる。そこで当社がお役に立てるとわかり、今では前向きに検討されています」(青栁氏)

また、欧州の機械を日本の工場で導入するお客様からもお問い合わせがあります。
「ビールやチョコレート、ワイン、ヨーグルトなどヨーロッパ発祥の製品に関わる機械は海外製のため、もれなくシーメンス製品が付随しているからです」(青栁氏)


PRO-SEEDによる業界初シーメンス専用サイト「PRO-SITE」(提供:PRO-SEED)
PRO-SEEDによる業界初シーメンス専用サイト「PRO-SITE」(提供:PRO-SEED)


業界によってPLCの仕様は異なる

PRO-SEEDはこれまで、さまざまな業界で実績を積んできましたが、中でも医薬品業界の設計仕様は特殊で難しいものでした。

「人体への影響があるため、製薬は監査証跡を残す必要があり、求められる書類も膨大です。グローバルに展開する製薬会社の案件では、製薬の集中監視システムを手がけました。どういう環境下で、どういうパラメータを用いて薬が作られているのか。その工程をすべて常時保存して監視する仕組みです」(青栁氏)


製薬会社向けのシステム構成図(提供:PRO-SEED)
製薬会社向けのシステム構成図(提供:PRO-SEED)


中でも、一番苦労したのは機能試験であるバリデーションです。
「医薬品業界では、設計したシステム、仕様、プログラム、各項目のパラメータ、運転確認、それらに関する手順書など、全てにおいて品質の妥当性を証明する資料作成が義務付けられます。弊社が携わったシステムに関する提出書類は、3000ページに及びました。非常に苦労はしましたが、その経験と技術は当社にとっては財産です。お客様からも評価していただいて、その後の仕事にもつながっています」(青栁氏)

一方、ある団体の依頼で手掛けたバイオマスプラントの監視システムは、今後は業界を問わず展開できる汎用性のあるシステムだと青栁氏は話します。

「使用済みの藁を燃やして電力に変えるバイオマスプラントです。プラントシステム全般のどこのバルブが開いていて、どこのタンクにどれだけ水が入っていて、今どの温度で燃やしているか。『SCADA』と呼ばれる集中監視システムを使用することで、プラントの運用に関するあらゆるデータを俯瞰的に確認できるようにしました。実は日本の生産現場では、どの工程でどういう不具合が生じているかをライン全体で俯瞰して見る仕組みがほとんどありません。その意味で、このSCADAを使用した監視システムはこれからさまざまな業界の工場で必要とされるエンジニアリングだと考えています」(青栁氏)


困り事やニーズを徹底的に聞き出す

業界によって求められるPLCの仕様は異なり、企業によって状況や課題もさまざま。そのため青栁氏は、「お客様が何に困り、何を求めているのか、徹底的に聞き出すことを最重要視している」と話します。

「もし、道で人に『コンビニありますか?』と聞かれて近くにない場合、『ありません』と答えればそこで話は終了です。一方で、『何かお困りですか?』とよく話を聞けば、実はトイレに行きたい、お金を下ろしたいといった真の目的が見えてきて、別の場所へ案内できる。重要なのは、お客様の話をよく聞いた上で、状況に応じて当社の技術を充てていくことです」(青栁氏)

グローバル化やIoT化、海外輸出を検討する上で、産業用自動化設備に関するお困り事やご相談があれば、PRO-SEEDにぜひ一度ご相談ください。


株式会社PRO-SEED
2001年創業。産業用自動化設備のエンジニアリング、システムインテグレーターを手掛ける。シーメンスのソリューションパートナーとして、シーメンスのPLCを用いた設計ができる国内では数少ない企業。小学生向けのロボットプログラミング教室も開催する。
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