モーターのメンテナンスから制御装置の更新・製造まで対応。鉄道車両用機器で培った技術で、コストダウンと技術継承を実現する東洋工機

INTERVIEW

東洋工機株式会社
生産管理課長
原 幹也

私たちの生活をさまざまな場面で支える産業用モーターは、急な故障や動作不良を起こさないよう適切な保全が求められます。モーターの故障は大きな損害につながるもので、鉄道業界の場合は数年に1度法定点検を行いますが、他の産業用モーターにおいても定期的なメンテナンスを実施し、長く使い続ける工夫が大切だそうです。今回は、神奈川県平塚市にある、産業用モーターの点検・修理・修繕、歯車装置の修理・更新、制御機器の製造・修理を手掛ける東洋工機株式会社にモーターを長く使い続けるために知っておきたいポイントや、同社の強みについてお話を伺いました。

鉄道車両などに使われる産業用モーターや発電装置は、過酷な環境下で長期間の連続使用に耐える必要があり、突然の故障や停止がもたらす損害も大きいため、計画的なメンテナンスによる保全が欠かせません。
東洋工機株式会社は、鉄道車両用機器をはじめとするモーターや歯車装置の修理・更新や、制御装置の製造・修理を長年にわたって手掛けています。モーターを長く使い続けるために知っておきたいポイントや、同社の強みについて、生産管理課長を務める原 幹也氏にお話を伺いました。

鉄道車両用モーターをはじめとする産業用モーターのメンテナンス・更新に強み。業界からも厚い信頼

東洋工機は、モーターの点検・修理・修繕、歯車装置の修理・更新、制御機器の製造・修理を手掛けています。鉄道車両用電機品製造のリーディングカンパニーである東洋電機製造株式会社のグループ会社としてのノウハウを生かし、鉄道車両機器のメンテナンスや更新を主軸事業とする国内でも有数の企業です。神奈川県平塚市に本社を構え、名古屋・大阪・広島・福岡に営業所を配置しており、全国的なニーズに対応しています。

JRグループ、大手民鉄、地方電鉄などの鉄道各社にサービスを提供しているほか、製鉄会社や自治体との取り組み実績もあります。


東洋工機の本社工場(提供:東洋工機)
東洋工機の本社工場(提供:東洋工機)


特殊構造かつ、過酷な使用環境のモーター。メンテナンスの手順とポイントは?

私たちの生活をさまざまな場面で支える産業用モーターは、急な故障や動作不良を起こさないよう適切な保全が求められます。東洋工機のノウハウをもとに、メンテナンスのポイントを紹介します。

故障時の入れ替えには数千万円かかるケースも。定期メンテナンスが重要

産業用モーターをメンテナンスする手順は下図の通りです。

モーターのメンテナンス手順(提供:東洋工機)
モーターのメンテナンス手順(提供:東洋工機)


メンテナンスのタイミングや損傷の度合いによって修理する箇所・工程は異なりますが、主に修理・交換を行うのは、消耗する軸受け周り、絶縁体とコイルです。絶縁体は、電流が意図しない箇所に漏れないように遮断するための素材で、徐々に劣化・摩耗するため定期的な更新が必要です。コイルは頻繁な交換を必要としませんが、絶縁体の劣化による漏電や、長期間の利用によって損傷した際には巻き直しを行います。

モーターが故障すると、モーターだけでなく制御器まで交換が必要になる場合もあります。「鉄道の場合、モーターを一式入れ替えるには車両あたり5,000万円ほどかかることもある」と、原幹也氏は語ります。

鉄道業界だけでなく、モーターの故障は大きな損害につながるもの。鉄道業界の場合は数年に1度法定点検を行いますが、他の産業用モーターにおいても定期的なメンテナンスを実施し、長く使い続ける工夫が大切です。


過酷な環境の連続使用に対応できるメンテナンス技術が必要

産業用モーターの大きな特徴は、過酷な環境下で連続使用に耐える必要があることです。風雨や振動、高電圧などにさらされながら、数年間にわたって毎日のように稼働することも珍しくありません。突発的な不具合が起こらないよう、メンテナンスには経験と実績のある事業者を選ぶことが重要です。


モーターメンテナンス(回転乾燥)の様子(提供:東洋工機)
モーターメンテナンス(回転乾燥)の様子(提供:東洋工機)


産業用モーターは構造に特色あり。メンテナンスには特殊な装置が必要なケースも

モーターの構造も特筆すべきポイントです。鉄道車両のモーターが車輪の間の狭いスペースに設置されているように、多くの産業用モーターは省スペースかつ高出力が求められます。そのため内部構造は密集しており、高温に耐える絶縁処理を施さなければなりません。メンテナンスには高い技術力に加えて、装置に絶縁体をくまなく塗布できる真空含浸装置を備えていることも必須条件です。東洋工機は真空含浸装置を保有している数少ない修理事業者の一つです。


真空含浸装置で絶縁体を塗布している様子(提供:東洋工機)
真空含浸装置で絶縁体を塗布している様子(提供:東洋工機)


多品種少量生産のニーズに応え、制御装置の製造も手掛ける

上述のように、メンテナンスの時期やモーターの状態次第で更新するパーツや作業工程が異なります。東洋工機は多品種少量生産に対応し、幅広い要望に応えています。
「自社で修理設備を持っている顧客から特定箇所のメンテナンスだけを依頼されることもありますし、損傷した複数台のモーターから使えるパーツを取り出して1台のモーターに組み上げることもあります」(原氏)

同社はモーターの回転をコントロールするために必要な制御装置(インバーター等)の修理・新規製造も手掛けており、異なる種類の製品を月に200種類ほど出荷しているといいます。


制御装置を組み立てている様子(提供:東洋工機)
制御装置を組み立てている様子(提供:東洋工機)


鉄道車両や建設機械の制御装置は、モーターと同じように内部構造が密集しています。装置内は人の手を入れられないほど狭いので、配線を先に組んでから装置に入れ込む特殊な製造工程を踏んでいます。メンテナンスと同様にノウハウが求められる領域です。

焼損して動かない古いタービン発電機を復元。確かな生産・設計技術が実現した文化遺産の復活劇

東洋工機の高い技術力を象徴する事例が、文化遺産的な古いタービン発電機の復元。内部が焦げ付き、当時の図面が残っていないタービン発電機を使用可能な状態へと復元しました。
「文化遺産なので、新たな代替品は使わないでほしいとのご要望でした。そのため、外装は当時のものをそのまま使い、発電機の内部はスペック情報と現物調査をもとに、各部品を新製しました。もう動かないと思っていたものが、使用可能な状態まで復元出来て、お客様には喜んで頂けました」(原氏)

長年にわたって鉄道車両用機器をメンテナンスしてきた実績から、こうした技術継承の依頼が舞い込むこともあるそうです。


設計者を積極的に再雇用、技術トレンドを継承する体制づくり

東洋工機の生産・設計技術を支えているのは、積極的な人材活用です。同社は親会社で活躍した設計者を定年退職後に再雇用しています。長年、鉄道部品製造の設計に携わっていた技術者のノウハウが継承できるので、技術向上だけでなく、設計当時の技術トレンドに追随できるメリットがあります。

メンテナンスの質を追求する姿勢も随一です。原氏は「整備不良が人命に関わる業界なので、お客様からも品質を強く問われます。修理記録も長期保管しており、20数年前であっても『誰がどのパーツの修理を担当したか』まで調べることができます」と、同社のこだわりを語ります。

技術者のみなさん(提供:東洋工機)
技術者のみなさん(提供:東洋工機)


建機用、風力発電機、プラントなどにも広がる可能性。鉄道業界で培ったノウハウを幅広い産業に生かしたい

鉄道業界で信頼を築いてきた東洋工機。原氏は、「今後は幅広い業界の産業機器に取り組みを広げていきたい」と展望を明かします。鉄道車両用のモーターと同様のメンテナンスを必要とする建機用のモーターや風力発電などで使用する発電機はもちろん、制御装置も基本的には業界を問わず対応が可能です。すでにスキー場のリフトや鉱山用の重機械などの案件を予定しており、過酷な環境で駆動し続ける鉄道用モーターや制御機器を手掛けてきた経験からも手応えを感じています。信頼できるメンテナンス事業者をお探しの方は、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。


東洋工機株式会社
昭和10年設立、鉄道車両用電機品製造のリーディングカンパニーである東洋電機製造株式会社のグループ会社。神奈川県平塚市で、産業用モーターの点検・修理・修繕、歯車装置の修理・更新、制御機器の製造・修理を手掛け、鉄道車両用の延命に貢献している。
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