ゴムの切削のメリットと難しさとは。半導体から造船、発電プラントまで幅広い業界の製品を支える津野田ゴム加工所に聞く

INTERVIEW

有限会社津野田ゴム加工所

社長 津野田 幹太

ゴムの成形を行う場合、通常は製品の金型が必要です。しかし切削加工でゴムの成形を行う場合、ゴムブロックを直接削るため金型は必要がなく、金型を製作する工程がなくなるため、その分の納期の短縮とコストダウンを実現することができるそうです。今回は、約50種類のゴムから製品に合わせた材料を選び、半導体装置メーカーから造船や発電プラントまで幅広い業界の製品を製造している、長崎県西彼杵郡にある有限会社津野田ゴム加工所に得意とするゴム切削加工の強みや長所についてお話を伺いました。

有限会社津野田ゴム加工所は、長崎県西彼杵郡に本社を構える、工業用ゴム製品加工会社です。約50種類のゴムから製品に合わせた材料を選び、半導体装置メーカーから造船や発電プラントまで幅広い業界の製品を製造しています。
今回は、社長の津野田幹太氏に同社が得意とするゴム切削加工の強みや長所を伺いました。


長崎県に工場を構えるゴムの切削加工メーカー「有限会社津野田ゴム加工所」

長崎県西彼杵郡に本社を構える津野田ゴム加工所は、ゴムやジョイントシートの加工やプレス加工を行う会社です。1979年の創業時より、造船所の多い長崎県という土地柄を活かし、造船用のパッキンに携わってきました。現在では、造船を始め、原子力や火力発電のプラント用部品や車両空調部品、半導体装置メーカーなど様々な装置の開発、製造に携わっています。

ゴム切削加工のメリット

1.金型がいらない

通常ゴムの成形を行う場合、製品の金型が必要です。製品を実際に製造する前に、まず金型の製作を行い、その金型でゴムを押し出したり、プレスをしたりすることでゴム製品が完成します。

しかし切削加工でゴムの成形を行う場合、ゴムブロックを直接削るため金型は必要ありません。金型を製作する工程がなくなるため、その分の納期の短縮とコストダウンを実現することができます。

津野田ゴム加工所では、ゴムを加工する様々な特殊機械を保有しています。そのため、短納期対応が可能です。形状や製品によっては、午前中に注文をすれば、夕方には出荷できる程の短納期を実現しています。

加工の様子(提供:津野田ゴム加工所)
加工の様子(提供:津野田ゴム加工所)

2.多品種少量

金型製作の必要がないため、多品種少量の加工品の製作が可能です。
津野田ゴム加工所では、1個からでもオーダーを受けています。日々違う製品の加工を行っているため、1ヶ月に約3,000種類の製品を製造することもあるといいます。


3Dプリンターの導入により、ゴムの切削加工の可能性を拡大

ゴムの持つ「柔らかい」などの独特な材質は、金属などに比べ、加工の難易度が高いと言われています。そこで同社では、3Dプリンターを導入し、どうしても削れない形状などの依頼に対して、ゴムのような弾性を持った樹脂を提案することで製品の可能性を広げています。

さらに3Dプリンターを導入することで、切削加工では難しい硬度や形状の試作が可能になりました。本来であれば刃物が通らない形状や、柔らかすぎて削れない場合には金型の製作が必要ですが、3Dプリンターを使い一度サンプルを出力することで、形状の確認をスムーズに行うことができます。形状を確認した上で、金型が必要であれば、提携している金型業者に外注し、ゴム製品の製作を行います。3Dプリンターを使って試作をすることで、金型製作に必要だった経費も削減。お客様のご要望にもお応えしやすい環境作りを行っています。

「金型レスの製造や新規用途の他にも、海外で製造されていた絶版の製品の復刻も行っています。現存の製品を技術センターでスキャンし、社内でデータを作り直して3Dプリンターで再現することで、お客様のニーズに応えることができています。現在、3Dプリンターは4台保有しているので、効率的に稼働できることも強みです」(津野田氏)

3Dプリンターを使用して製作された製品(提供:津野田ゴム加工所)
3Dプリンターを使用して製作された製品(提供:津野田ゴム加工所)


ゴム切削専用のマシニングを特注し、加工の精度をアップ

ゴムは柔らかい材質が多く、精度高く加工することが困難でしたが、同社では、ここ約10年でマシニングによるゴムの高精度な切削加工が可能になりました。

刃物を回転させながら三次元的に切削を行うマシニングですが、本来は金属向けに製造されています。同社では、マシニングメーカーとゴム切削用に仕様を詰めたマシニングを3台導入しました。現在は熟練のオペレーターがCAD・CAMを使い3次元データを作り、プログラムを作成することで、より複雑な切削加工にも得意としています。

「カッティングプロッターも4台保有し、加工を行っていますが、カッティングプロッターを導入する企業が増えたため、差別化のためにマシニング分野を拡大しました。カッティングプロッターは二次元で行う加工のため、導入後すぐに稼働することができますが、マシニングを使った加工を行うためには、スキルとノウハウが必要になります。さらにマシニングの方がより複雑な加工や厚みのある材料でも加工ができるため、導入したことで受注できる製品の幅も広がりました」(津野田氏)

マシニングでの切削加工の様子(提供:津野田ゴム加工所)
マシニングでの切削加工の様子(提供:津野田ゴム加工所)


また、ゴムの加工品の通常の検査では、ゴムを治具で挟んで行いますが、その際の力加減により結果にばらつきが生じてしまうなどの理由から、公差が±1mmと、ややあいまいです。

そこで同社では、画像検査器の導入も実施。正確な検査ができる環境作りに取り組んだ結果、製品の精度にばらつきがなくなり、高精度の加工を実現しています。


津野田ゴム加工所が得意とするゴムの種類と用途

ゴム素材には様々な種類がありますが、同社では現在約50種類のゴムの加工を取り扱っています。お客様の仕様書通りに製作することはもちろんのこと、製造する製品の用途に応じ、強度や耐熱、耐油などの耐久性を踏まえて使用するゴムの提案も行っています。

主要となる9種類の素材にそれぞれ3種類の硬度があり、計27種類が同社の主力材料です。近年では、「クロロプレンゴム」「フッ素ゴム」「シリコーンゴム」「エチレンプロピレンゴム」などの需要が高まっています。

「ゴムの種類によって、切削加工の難しさが異なります。柔らかすぎるものであれば、削る前に素材が逃げてしまうこともあり、その見極めには経験が必要です。特にエチレンプロピレンゴムは、とても削りづらい材質ですが、高精度が求められる半導体装置によく使われています。どのようなゴムでも精度の高い加工ができるよう、様々な削り方やツールにチャレンジし、試行錯誤を繰り返してきました。ゴムが熱を持たないよう冷やすクーリングやチャッキングの技術には、弊社独自のノウハウが詰まっています。複雑な加工が必要な場合も、安心してお任せください」(津野田氏)

ゴムを使った製作物(提供:津野田ゴム加工所)
ゴムを使った製作物(提供:津野田ゴム加工所)


ゴムの切削加工技術を長崎県から全国へ

「3Dプリンターの導入やマシニングによる加工技術の向上で、ここ数年さらに製造の幅が広がってきました。今後はお客様と対話をしながら一緒に製品作りができる環境作りをしていきたいと思っています。トータルなアドバイスができることを目標に、それに向けた人材育成にも注力する予定です。これからさらにゴムの切削加工技術に磨きをかけ、お客様のニーズにお応えできるようチャレンジを続けていきたいと思います」と津野田氏。
高精度な製品を作り出す突出した技術力とゴムに対する幅広いノウハウを持つ津野田ゴム加工所。ゴムを使用した製品の製造をご検討の方はぜひ一度ご相談してみてはいかがでしょうか。


有限会社津野田ゴム加工所
長崎県西彼杵郡に本社を構えるゴムの切削加工メーカー。半導体装置から造船、発電プラントまで幅広い製品に携わることで、ゴムの切削加工に関する幅広いノウハウやスキルを蓄積している。近年では、3Dプリンターやゴム専用のマシニングを導入し、新たな領域への参入を目指している。
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