抗菌塗装の効果を最大化する方法とは。抗菌剤の効果をより引き出すペイントサービスの「スーパー抗菌コートAg」工法

一般的な抗菌塗装で使用する抗菌・防カビ塗料は、塗料中に抗菌剤を混ぜ合わせた製品がほとんどです。塗装の際にはハケ・ローラー塗りや、簡易なスプレーで塗布することが多く、アルコールの入った除菌剤や薬品洗浄にも弱く、洗浄後は抗菌剤が除去されてしまうなどの問題点があります。しかし、塗膜表面にのみナノ分散・固着させる「塗膜一体化技術」であれば、アルコールで拭いても抗菌剤微粒子が剥落することがないと言います。今回は、愛知県江南市にある、塗装業を中心に、改修・修繕工事などを行う株式会社ペイントサービスに独自の抗菌塗装や、研究開発に関するお話を伺いました。

抗菌塗装や抗菌加工のされた製品は、年々増え続けています。さらに近年は、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、抗菌・抗ウィルスを課題としている企業も多いのではないでしょうか。しかし、一口に「抗菌」「抗ウィルス」といっても、塗装や加工の技術・方法によってその効果はさまざまです。

愛知県江南市にある株式会社ペイントサービスは、塗装業を営む会社です。一方で、銀系抗菌剤を開発した会社(大同特殊鋼株式会社)とともに長年効果が持続する塗装方法を研究。独自の「塗膜一体型技術」により、抗菌効果をフルに発揮できる塗装・加工方法を開発しました。同社の代表取締役社長の村瀬栄次氏と取締役総務部長の菊田吉彦氏に、独自の抗菌塗装や、研究開発に関するお話を伺いました。

抗菌効果を引き出す塗装方法。特許を取得した塗装技術をご紹介

株式会社ペイントサービスは、塗装工事を中心に修繕・改修工事などを行っている会社です。塗装においては、特に抗菌塗装に力を入れており、自社で独自技術の開発なども行っています。では、抗菌塗装とはどのようなものでしょうか。

一般的な抗菌塗装

一般的な抗菌塗装で使用する抗菌・防カビ塗料は、塗料中に抗菌剤を混ぜ合わせた製品がほとんどです。また、塗装の際にはハケ・ローラー塗りや、簡易なスプレーで塗布することが多く、次のような問題点があります。

・塗料中に抗菌剤を混ぜ合わせた製品の場合、塗膜中にある抗菌剤の内、表面に露出する抗菌剤*の数が1%未満となり、菌・ウィルスへの接触確率が著しく低下する。
*一般的に、抗菌剤微粒子に接触して初めて抗菌・抗ウィルス効果を発揮するので、接触する確率の高い製品、技術、方法ほど高い効果を発揮する。

抗菌剤が樹脂中に埋もれてしまい、表面に露出する抗菌剤が著しく減少し抗菌効果が低下する(提供:ペイントサービス)
抗菌剤が樹脂中に埋もれてしまい、表面に露出する抗菌剤が著しく減少し抗菌効果が低下する(提供:ペイントサービス)


・ハケ・ローラー塗りでは塗膜厚が均一になりにくいため、抗菌剤の塗膜表面への露出も不均一になり、表面の凸凹に埃等が溜まりやすく、抗菌・抗ウィルス効果が著しく低下する。
・簡易なスプレーや一般的な塗装用スプレーガンでの施工は、噴霧ミストの径が大きいため、被塗物への付着のムラや抗菌剤微粒子間の隙間が大きく、効果が限定的。


スプレーガンによる噴霧の抗菌剤付着状況(電子顕微鏡写真)(提供:ペイントサービス)
スプレーガンによる噴霧の抗菌剤付着状況(電子顕微鏡写真)(提供:ペイントサービス)


・アルコールの入った除菌剤や薬品洗浄にも弱く、洗浄後は抗菌剤が除去されてしまう。

一方、ペイントサービスが開発した抗菌塗装技術はこれらの問題点を解消したものです。

ペイントサービス独自の抗菌塗装「スーパー抗菌コートAg」工法

使用する抗菌剤は、大同特殊鋼株式会社が開発した銀系抗菌剤「光ギンテック」。1㎜角の面積に、「光ギンテック」抗菌微粒子を100万個以上付着させた試験板に、大腸菌を20〜30万個付けた実験を行った際、ほぼ2時間後には菌がゼロになったという試験結果を持っています。この抗菌剤を、ペイントサービス独自の技術である「塗膜一体型技術」(参考情報1、参考情報2)で塗装することにより、より効果的に抗菌効果を発揮します。

「塗膜一体化技術」は、塗膜表面にのみナノ分散・固着させる技術です。まず、乾燥硬化前の塗装面に抗菌剤を特殊静電コーティングします。硬化・乾燥させる過程で抗菌剤微粒子が塗膜表面に食い込み、そのまま塗膜と一体化することで、抗菌剤を表面に固着させることができます。この塗装方法であれば、アルコールで拭いても抗菌剤微粒子が剥落することもありません。また、塗装面の表面に固定させることができるので、抗菌剤微粒子を埋もれさせてしまう心配もありません。

抗菌微粒子が露出し抗菌効果を発揮(提供:ペイントサービス)
抗菌微粒子が露出し抗菌効果を発揮(提供:ペイントサービス)


1㎜角の面積に100万個以上の銀抗菌微粒子が付着する(提供:ペイントサービス)
1㎜角の面積に100万個以上の銀抗菌微粒子が付着する(提供:ペイントサービス)


抗菌塗装による効果を電子顕微鏡で確認し、施工後は菌数の変化を検証

塗膜ラボ(提供:ペイントサービス)
塗膜ラボ(提供:ペイントサービス)


同社が、抗菌塗装技術の開発をスタートしたのは1998年。抗菌剤「光ギンテック」を開発した大同特殊鋼株式会社から、「抗菌剤の効果を落とすことなく塗装できる会社が見つからない」と相談されたことがきっかけです。塗装技術が完成したのは2009年のこと。その開発のヒントになったのは、塗装現場での以外な出来事でした。

「弊社の塗装工場でビルの外壁パネルを塗装加工していたところ、数枚のパネルに埃が付着しているとクレームがつき、原因調査と対策作業中に、塗装作業中の塗膜に埃がつき乾燥するとまったく埃が取れなくなることに気が付きました。それで、『埃の代わりに抗菌剤をつければ取れないのではないか』と思いつきました」と村瀬氏。

一般的な抗菌塗装では、アルコールで拭き掃除をすると抗菌微粒子が取れてしまいますが、同社が開発した抗菌塗装の方法について村瀬氏は「私と弊社の社員2人で、アルコールを吹きつけたウエスで塗装した部分を2000回拭きとる実験を行いましたが、抗菌剤微粒子は取れませんでした」と話します。

村瀬氏が「取れなかった」と言い切れるには理由があります。それは、塗装会社としては非常に珍しく、「塗膜ラボ」という独自の研究室があり、電子顕微鏡などの検査機器を有しているからです。そのため、抗菌剤の付着状態や抗菌剤による菌の増減などを、自社で確認することができるのです。このことから、同社では施工前に塗装箇所の菌を必ず採取。塗装後の菌数などを確認・検証しています。

電子顕微鏡でみた、塗装膜に食い込んだ抗菌微粒子。右は拡大した断面図。(提供:ペイントサービス)
電子顕微鏡でみた、塗装膜に食い込んだ抗菌微粒子。右は拡大した断面図。(提供:ペイントサービス)


抗菌塗装が人の多く集まる場所での衛生管理で活躍

同社の抗菌塗装の効果が数年経っても持続しているのがわかる事例があります。それは、スーパーの天井ボードを抗菌塗装して検証したものです。冷蔵・冷凍品売り場の天井はカビが生えやすく、黒くなっているお店も多いです。そこで同社は「スーパー抗菌コートAg」を施した天井ボードと、一般的な抗菌塗装を行ったものを提供して検証を実施。現在、3回目の梅雨を迎えたところですが、同社の抗菌塗装を行ったボードだけカビが生えていません。
「スーパー抗菌コートAgは、手作業で塗装しなければならないため、通常の塗装より高くなりますが、スーパーのように、閉店後にしか修繕工事ができない場所には非常におすすめです。数年おきに、わざわざ足場を組んで天井ボードを取り替えたり、塗り替えるより、コスト面でも効率の面でも良いのではないかと思います」

富山県某スーパーマーケット冷凍冷蔵食品売場(120枚試験施工)。2019.4.19抗菌ボード一部張替え実施(白色部分)(左)、2020.12.8時点の張替えボード状況(右)(提供:ペイントサービス)
富山県某スーパーマーケット冷凍冷蔵食品売場(120枚試験施工)。2019.4.19抗菌ボード一部張替え実施(白色部分)(左)、2020.12.8時点の張替えボード状況(右)(提供:ペイントサービス)


他にも、鉄道の特急列車のトイレに試験加工を実施。その際にも、匂いの問題が改善されたり、抗菌の後追い試験できちんと結果が出たりとその効果は証明されています。

また、特殊ノズルの自動噴霧器を使用して、数ミクロンの「光ギンテック」を室内に充満させ、付着させる自動噴霧工法もあります。塗装工事まではできないけれど、施工時間が短時間で抗菌効果を出したいオフィスや店舗等などにおすすめです。

企業はいかに社会に貢献するかが大事と考えている村瀬氏。
「他社の抗菌塗装で使われている抗菌剤も、効果は実証されているはずです。ただ、その効果を本当に発揮できる塗装技術を持っているかが問題ですが、私たちの抗菌塗装技術なら、確実に抗菌効果を発揮できると自負しています。不特定多数の人が集まる場所に使う製品や、人の手が何度も触れる部品などがある企業は、ぜひご相談ください」



参考情報
・参考情報1:「特許第5732564号」の特許権者は「株式会社ペイントサービス」、発明の名称は「粒子塗布装置および粒子塗布方法」です。
・参考情報2:「特許第6192678号」の特許権者は「株式会社ペイントサービス」、発明の名称は「粒子塗布装置」です。


株式会社ペイントサービス
愛知県江南市にある、塗装業を中心に、改修・修繕工事などを行う会社。自社に研究室を持ち、今回紹介した抗菌・抗ウィルス塗装をはじめ、塗装技術の研究・開発を行っている。また、近年は塗膜の剥離システムの開発にも着手。独自に開発した「塗膜一体型技術」をはじめ、さまざまな技術で特許を取得。施工後の効果検証も実施しながら、確実に効果が出る施工を行う。
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