高精度樹脂ヘリカルギア・ウォームギアの設計・開発・製造。樹脂部品のトータルサプライヤーハマダ工商

ギアは動くものに必ず必要な部品です。ギアは、金型自体を作ることができても、金型通りに成形できるわけではありません。形状提案や成形条件等、さまざまなノウハウが必要なので、設備があるからといってすぐに製品化できるわけではないと言います。今回は、愛知県岡崎市に拠点を構え、主に樹脂部品の金型設計・製作、成形加工。自動車部品などを中心に、提案型の試作開発と量産を行う株式会社ハマダ工商にこれまで培ってきた強さについてお話を伺いました。

ものづくりの川上から川下まで一貫して手掛け、特許を獲得した金型製作技術で高精度の分割式ギアの設計・開発を実現したハマダ工商。
同社がこれまで培ってきた強さについて、営業部の浜崎正和(はまさき・まさかず)氏に話を伺いました。

「顧客要求に合った、最適・最善なものづくり」を提案するハマダ工商

試作品や量産品開発の設計から生産・販売まで、一貫して対応できる。
だから、顧客の要求に合った、最適・最善なものづくりを提案することができる。
こうした理由で、顧客から重宝される企業があります。

愛知県岡崎市に拠点を置き、2022年に創業40周年を迎える株式会社ハマダ工商です。現在の主な事業は、樹脂部品の金型設計・製作、成形加工。自動車部品などを中心に、提案型の試作開発と量産を行っています。

「創業当初は金型の設計業務から始まり、時代や顧客の変化に合わせて、部品加工、金型製作、成形加工、自社商品開発、販売と事業を拡大してまいりました」

こう話すのは、同社営業部の浜崎正和氏(以下、「」内は浜崎氏の発言)。手掛ける範囲は設計だけ、金型だけ、成形だけという会社も多い中、開発・設計から販売まで一括して手掛けることができる会社はそう多くありません。ものづくりの川上から川下まで一貫して手掛けられる同社は、その強みを活かし、顧客要求に合ったムダのない「先を見据えたものづくり」を提案し、実績のないような案件でも挑戦し、常に変化し続けるのがモットー。

「試作なら何とか作れても、量産では手間がかかる、コストがかさむ等、生産性の低いモノづくりに繋がらないなどのケースも多くあります。ですから当社は設計から納入まで生産性を見据えた提案をしていきます」


金型分割式のギアを設計・開発し、高精度かつ短納期を実現

ハマダ工商には、経験やノウハウの蓄積から生まれた、もう一つの大きな強みがあります。
それは、他社の追随が難しい製法特許技術(参考情報1)によって作られる分割式の金型と、その金型から生まれるヘリカルギアとウォームギアです。
通常ギアの金型の駒は一体式のものが一般的です。例えば円の金型なら、円形の鉄の金型が一つあるだけです。けれども、同社が手掛けるのは分割式。いくつもの部品を連結し、一つの円の金型を作ります。


従来の一体式ギア駒(左)、ハマダ工商が開発した分割式ギア駒(右)(提供:ハマダ工商)
従来の一体式ギア駒(左)、ハマダ工商が開発した分割式ギア駒(右)(提供:ハマダ工商)


同社が手掛ける分割式の金型で作られる樹脂製のヘリカルギアと、ウォームギアは、従来の一体式の金型で作られるギアと比べて、高精度と短納期が同時に叶う優れもの。極めて静かでなめらかです。自動車のパワーシートや複写機等に採用されています。

ハマダ工商が手掛けるギア製品の一例(提供:ハマダ工商)
ハマダ工商が手掛けるギア製品の一例(提供:ハマダ工商)


「ギアは、金型自体を作ることができても、金型通りに成形できるわけではありません。形状提案や成形条件等、さまざまなノウハウが必要なので、設備があるからといってすぐに製品化できるわけではないのです」


精度の高いギアが設計できる分割式の秘密

高精度と短納期の両立。
分割式の金型でつくるギアは、なぜこうしたメリットを実現できるのでしょう。主に大きく4つあります。

1.厚みに関係なく精度の高い加工ができる

「金型の加工は、エンドミル(ドリルのような刃物)を回転させ鉄を削ります。細いものだとΦ0.2~といった径になることも。一体式だと、歯厚が厚くなればなるほど、金型も厚くなり、加工する刃物も長さが必要ですが、細くて長い刃物は当然ながら歯の強度が弱く、ブレが生じやすくなります」

「一方で分割式の金型は、歯と直角に加工できるので刃物が短くて済む。金型の厚みがいくら増しても、硬い素材でも、ぶれることなく加工できる。表面がなめらかでキレイに仕上がり、精度も狙った通りに出ます。結果として、静かでガタツキのない精度の高いギアができるのです」

2.修正しやすい

「一度作っておしまいなら、金型製作にかかる時間や費用は従来とあまり変わりません。ただ実際は、作ったあと大抵は調整や修正が必要です。一部分を修正したくても、一体式は金型を一から作り直す必要がある。けれども分割式なら、気になる駒だけ修正すればいい。丸ごと作り直す必要がないので、時間や費用が節約できます。
新しい金型を作るのに、従来の製法だと最短でも2か月から3か月はかかります。ところが新技術では、最短2週間で完成します」

3.モーター回転と突き出しの同期が更に高精度

「成形工程において、従来技術では無理抜きと呼ばれる、製品に負荷が掛かる工法が用いられていました。これにより、形がくずれ精度も下がる。新技術ではモーター回転と突き出しを同期させることで、負荷なく精度を保つことができます」

4.金型の品質を保証できる

「例えばウォームギアは、細くて長い製品なので、おのずと金型も分厚くなり、ヘリカルギア以上に加工が難しいのが特徴です。『放電加工』という従来の製法は、放電によって鉄を削るのですが、金型に放電目が残り、中がどうなっているのか確かめようがありません。そのため金型の品質を保証することはできませんでした。けれども分割式なら、駒を外して中を調べることができる。ギアの精度にかかわるので、金型の品質を担保できるのは分割式の大きな強みです」

従来技術との比較(ハマダ工商調べ)
従来技術との比較(ハマダ工商調べ)


以前はヘリカルギアを成形するのに、「電鋳金型」を用いていました。メッキ加工した金型を使い、ギアを成形していく製法ですが、弱点は金型の強度が非常に弱いこと。生産中にメッキが剥がれるため、金型を数か月に1度は作りかえる必要がありました。
また、部分的な寸法調整が出来ない。そのたびにお金も時間もかかる。「どうにか耐久性があり寸法調整が出来る金型ができないか?」という顧客からの困りごとを受けたのがきっかけで、ハマダ工商は新技術の開発に乗り出しました。


ギア設計の困りごとは分野を問わず解決

静かでなめらかなハマダ工商のギアは、今後、より人間に近い動きを求められるロボットなどでも需要が高まりそうです。

「ギアは動くものに必ず必要な部品なので、産業用や医療用のロボットなどにも当社のギアを広めていきたいです」

同社のギアのすごさはここまで述べてきた通りですが、実は、同社はギア以外にも独自性のあるユニークな製品を手掛けています。例えば、羽根が回る特許取得(参考情報2)のダーツや、雨が降りだすと自動で閉まる窓「オートクローザー」、薬を飲み忘れると「薬を飲む時間です」と言い、飲んだことを忘れてまた飲もうとすると「もう今日は飲みました」と音声で知らせる「服薬ガイド」など。ユニークな製品を手掛ける背景について浜崎氏は、「どれも発端はお客さまのお困りごと」と話します。

「例えばダーツは、1本目に投げたダーツが的に刺さっていると羽根が邪魔になり、2本目、3本目と後続のダーツが同じポイントを狙えなくなる。そうしたお困りごとを受けて開発したのが、羽根が回るダーツです。後続のダーツが当たっても羽根が回転して力を逃がす構造は、特許を取得しています。今では大手量販店で売られる商品ですが、設計、金型作り、成形、梱包と一貫して当社が手掛けました。いずれにしても、量産を見据えたさまざまな提案ができるので、幅広い分野のみなさまのお役に立てると考えています」



参考情報
・参考情報1:「特許4990946号」の特許権者は「株式会社ハマダ工商」、発明の名称は「分割式ヘリカルギャ金型によるヘリカルギャ製品の製造金型と、その製造方法」です。
・参考情報2:「特許5432785号」の特許権者は「株式会社ハマダ工商」、発明の名称は「ダーツ」です。


株式会社ハマダ工商
愛知県岡崎市に拠点を構え、主に樹脂成形品の金型設計や製作を行う。自動車部品や住設関係の企業をクライアントに持ち、設計から生産・販売まで一貫して手掛けられるのが強み。量産を見据えたムダのない提案を得意とする。
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