FRP造形のメリットと流れ。リアルなモニュメントやシミュレーターを形にする、アクアマリンまつながに聞く

INTERVIEW

株式会社アクアマリンまつなが

代表 松永 英也

金属や石などの材料を使うよりも軽い、耐久性が高い、コストダウンができるなどたくさんのメリットがあるFRP造形。FRPで造形する際には、発泡スチロールを削って土台を作り、その上に直接ガラス繊維を乗せて樹脂を塗り込んでいく方法で製作することで、型取りをする製法よりも短納期で強度の高いモニュメントの製作が可能だと言います。今回は、FRP造形の会社で顧客の作りたい物とサイズ、予算に合わせて、デザインや設計から提案し、製作、設置まで行う、熊本県天草市にある株式会社アクアマリンまつながにFRPによる造形のメリットや同社のFRP造形の技術についてお話を伺いました。

水槽や船、自動車などさまざまなものに使われているFRP(繊維強化プラスチック)。合成樹脂にガラス繊維などの繊維を加えて強度を高めたプラスチックで、軽量で耐久性が高く、成形もしやすいのが特徴です。熊本県天草市にある株式会社アクアマリンまつながは、このFRPを使った立体看板やモニュメントなどの設計・製作・施工を行っている会社です。そのクオリティの高さからメディアに取り上げられるなど、注目を集めています。代表の松永英也氏にFRPによる造形のメリットや同社のFRP造形の技術について話を伺いました。

造船業からFRP造形へ。クオリティの高さが話題の株式会社アクアマリンまつなが

これまで制作したモニュメント(提供:アクアマリンまつなが)
これまで制作したモニュメント(提供:アクアマリンまつなが)


株式会社アクアマリンまつながは、熊本県天草市でFRPによるモニュメントの設計・製作・設置を中心に、水槽の製造や船の修理などを行っている会社です。同社が製造する非常にリアルなモニュメントが話題となり、全国の官公庁や企画・設計会社から依頼が絶えません。

同社は元々、造船業を営んでいました。しかし、大手メーカーが造船業に参入。そのことをきっかけに、造船で培った水に対する知識を生かして水槽の製造へと移行していきます。

そんな同社がFRP造形を開始したのは25年ほど前のこと。当時、地元の町に化石が出たことで、「恐竜で町おこしをしよう」と盛り上がっていました。FRPはどのような形のものでも製造できるため、友人から「恐竜も作れるのではないか」と言われます。そのことをきっかけに、代表の松永英也氏は恐竜のモニュメント製作に挑戦。出来上がった試作品がかなりの出来栄えだったことで話題となり、そこから本格的にFRP造形をスタートします。


FRP造形のメリットとデメリット、製作の流れ

FRP造形のメリット

FRP造形は、金属や石など他の材料を使うよりもメリットがたくさんあります。
・軽い。
・耐久性が高い。
・着色の仕方で、リアルな色合いや銅像のような仕上げにするなど、雰囲気を変えられる。
・重さから本物の岩などが設置できない場所にも、リアルな岩のような装飾を施せる。
・銅像や石像と比べるとかなりコストダウンができる。


FRP造形のデメリット

FRP造形の際には、以下の点に注意しましょう。
・可燃物であるため、設置場所によっては消防法で許可が降りない場合があるので、設置場所・設置方法に関しては配慮が必要。
・小さいものの製造や量産にはコスト面から向いていない。


FRPで造形する際の製作の流れ

FRPで造形する場合、大きく次のような流れになります。

打ち合わせ

デザイン提案・設計

土台製作(発泡スチロールで作った土台をそのまま使用する方法と、土台から型を取る方法がある)

表面に、ガラス繊維を乗せて、樹脂を塗り込む

樹脂が固まったら、塗装して完成

アクアマリンまつながは、発泡スチロールを削って土台を作り、その上に直接ガラス繊維を乗せて樹脂を塗り込んでいく方法で製作しています。そのため、型取りをする製法よりも短納期で強度の高いモニュメントの製作が可能。また、短縮した納期は塗装やビジュアル面の仕上げに回すため、同じ納期でもよりクオリティが高いものが作れるのが特徴です。

モニュメントの制作風景(提供:アクアマリンまつなが)
モニュメントの制作風景(提供:アクアマリンまつなが)


提案型のFRP造形でクライアントの希望を形に

同社では、図面がなくても、作りたいものと予算、サイズを伝えれば、より魅力的に見えるデザインや設計を提案しています。例えば看板であれば、「これくらいのサイズがないと道路からはわかりづらい」など、看板としての役割を考えながら適切なサイズやポーズなどを提案。設置場所が海の近くであれば、芯材には錆びないステンレスを使用するなどのアドバイスも行っています。

また、FRPは耐久性に優れていますが、屋外に設置するものに関しては、デザイン面での注意が必要です。
「鳥が翼を広げたような形状のものを屋外に設置すると、風を受けて揺れるため、土台が折れやすくなります。そのため、安全の面からデザイン変更をお勧めすることもあります」と松永氏は語ります。また、屋外に設置すると、紫外線により塗料が劣化。そのため、屋外に設置する場合は7年程度で塗装の塗り直しを行う必要があります。
「屋外に設置すると塗り直しは必須なので、最初は銅像っぽい塗装にしておいて、塗り直しの際にフルカラーでリアル感を出して塗り直すことを勧めたりもしています。塗装でいろいろな見せ方ができるのもFRP造形のいいところですね」


アクアマリンまつながのFRP造形の強みは造船で培った知識とデザイン性の高さ

アクアマリンまつながの強みは、長年造船で培ったFRPや水に対する知識です。
「船の修理なども行うので、FRPが破損した時や40年くらい経年劣化した場合にどのような状態になるかも知っています。船は海で使うので、塩害の影響などについても知識を持っています。また、水槽の製造していたため、水に対する強度など、水とFRPに関連する知識も豊富です。そういったところが他社にはない強みですね」と松永氏は語ります。

そして、もう一つの強みは、なんといってもデザイン性の高さ。その理由は代表の松永氏のデザイン力と、より良いものを作るために調査や研究に手間を惜しまないところにあります。
「私は、デザイン学校を卒業しているのでデザインの知識はあったのですが、FRP造形を始めるに当たって、徹底的に調べることからスタートしました。日本でも一番高いレベルのモニュメントがあるであろう、ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンに足を運び、どのレベルを目指すべきなのかを考えました。現在も、リアルさを追求するために、制作を依頼されたものが現存していれば、必ず現地に足を運んでどのような色合いや質感なのかを自分の目で確認しています」
恐竜など現存しないものであれば、化石を元に構造やサイズなどを調べて縮尺を割り出し、忠実に骨組みを再現。その骨組みに肉付けをしながら、質感や色合いは松永氏のイメージで仕上げています。

また、同社がリアルさを追求するために同社が工夫しているのは塗料です。ウレタン塗料を使用していますが、単色のカラーだけでなく、パールやメタリックの塗料もフル活用。立体感や質感が出るように日々工夫しています。


事例1:クロマグロモニュメント(寸法:D8000×W4000×H2800)

クロマグロのモニュメント(提供:アクアマリンまつなが)
クロマグロのモニュメント(提供:アクアマリンまつなが)


奄美大島瀬戸内町のクロマグロ養殖日本一のシンボルとして製作したモニュメントです。口の中に入って面白い写真が撮れると話題です。
「製造の際には、奄美大島まで足を運び、養殖場で本物のクロマグロを見てきました。リアルさを出すためにパール塗料を使用し、光の当たり方で青っぽく見えるよう工夫しています。また、撮影時の面白さも意識してデザインを提案しています」


事例2:ラピートシミュレーター(寸法:D5000×W3000×H3500)

特急「ラピート」のシミュレーター(提供:アクアマリンまつなが)
特急「ラピート」のシミュレーター(提供:アクアマリンまつなが)


大阪の難波~関西空港を走る、南海電鉄の特急「ラピート」のシミュレーターを実物大で製作しました。実際の図面などの資料を参考に、精巧に復元。塗料も実際のラピートに使っているものを使用し、非常にリアルに作られています。

FRPに関する知識と高いデザイン性でハイクオリティなFRP造形を行うアクアマリンまつなが。
「FRPに関しては、どこにも負けない知識と技術を持っていると自負しています。また、今よりももっとクオリティの高いものが作れるように日々努力も重ねていますので、ぜひ何か作りたいものがある方はご相談ください」


株式会社アクアマリンまつなが
熊本県天草市にあるFRP造形の会社。顧客の作りたい物とサイズ、予算に合わせて、デザインや設計から提案し、製作、設置まで行う。元々造船業を営んでいたため、海や水に対する知識、FRPに対する深い知識が強み。また、代表である松永英也氏のアート性の高いデザインが話題となり、各種メディアにも取り上げられている。
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