医療機器開発にも挑むOEMメーカー鳥取スター電機に聞く、今も国内生産にこだわるメリットとは

INTERVIEW

株式会社鳥取スター電機

専務取締役 泉 道典
総務部 橋本 貴大

生産コスト削減のために製品またはその部品を他の国内、海外企業などに委託して、製造するOEM。安価な労働力を求めて製造業が多く海外に進出していますが、確かな品質や迅速な対応を追求していくと、やはり国内で生産した製品は間違いありません。しかし、国産の確かな品質といっても、価格に競争力がなければ顧客には選んでもらえないそうです。今回は、鳥取県鳥取市に本社と2つの関連会社があり、グループ3社で各種電気機械や器具のODM・OEM商品について設計・開発から組立・納入まで一貫して手掛ける、株式会社鳥取スター電機に国内生産にこだわるメリットについてお話を伺いました。

製造業が多く海外に進出する中、国内生産にこだわり続けてきた鳥取スター電機。名だたる企業のOEMを手がける専務取締役 泉道典氏と総務部 橋本貴大氏に、国内生産を続けるメリットについて伺いました。

OEMの設計・開発・組み立てまで一貫して手掛ける

1966年創業の株式会社鳥取スター電機は、各種電気機械や器具のODM・OEM商品を掛けるメーカーです。中でも、高周波を使用する無線機器の開発・生産、そして画像・データ通信の有効活用を得意とします。

現在は、ドライブレコーダーやレーダー探知機など車載製品が中心ですが、医療機器産業の品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485(医療機器・体外診断用医薬品)」を所有し、医療機器のOEMも手掛けた実績があります。

同社には、製品開発を担う鳥取コスモサイエンス株式会社、カーオーディオ関連の製品生産を担う新興電子株式会社の2つの関連会社があり、グループ3社でものづくりに取り組んでいます。設計・開発から組立・納入まで一貫して手掛けることができるのはこのためです。


鳥取スター電機が手掛ける製品(提供:鳥取スター電機)
鳥取スター電機が手掛ける製品(提供:鳥取スター電機)


国内生産・メイドインジャパン品質のメリットとは

安価な労働力を求めて製造業が多く海外に進出する中、あえて国内生産にこだわり続けてきた鳥取スター電機。そのメリットは何でしょうか。

1.顧客に確かな品質を約束できる

「例えば私たちは、ドライブレコーダーメーカー最大手のOEMを手掛けています。その製品は、名だたる自動車関連企業を踏まえて、最終的には大手自動車メーカーまで行き着くものです。そのため品質が担保できるきっちりとした仕事ぶりが求められます。確かな品質や迅速な対応を追求していくと、やはり国内で生産した製品は間違いありません。実際に取引先からは、品質の高さを評価いただいています」

同社の専務取締役 泉道典氏はこう話します。ただ、国産の確かな品質といっても、価格に競争力がなければ顧客には選んでもらえません。同社は、どういった取り組みでコストダウンに努めているのでしょう。

□仕入れ、ドル建て、新設備の導入等でコストを抑える
「コストとしては、材料の仕入れが大きなウエイトを占めます。東日本大震災と円高の影響で、2011年以降は台湾や中国など海外から材料の調達を行っています」(泉氏)

「さらに、為替が円高に向かっているときは、ドル建てすることによってコストダウンにつなげています」(泉氏)

「時代や環境に合わせて新しい設備をどんどん取り入れることで、効率を上げ、生産性を高めることにも取り組んでいます」(泉氏)


□海外から仕入れる材料は水際でチェック
海外から仕入れる資材の品質については、どのように担保しているのでしょうか。
「当初は、担当者が現地の企業に赴いて指導する必要がありました。それを繰り返しながら、今は安定した品質のものを仕入れることができています。また当初から一貫して、仕入れるものは水際で一つひとつ検査しています。その上で国内生産しているので、品質は間違いありません」(泉氏)

2.顧客に安定供給することができる

「特に半導体などは、近年のCOVID19の影響を大きく受けて、情報関連のメーカーに供給が集中しています。自動車関連メーカーになかなか回ってこないため、部品の調達に苦労されているメーカーの話も聞きます。一方で部品を国内生産していれば、ある程度のストックを持ちながらお客さまに安定的な供給ができます」(泉氏)

3.顧客のニーズに対して素早く対応できる

「海外で生産するとなると、受注してもすぐには納品できません。アフターフォローに関しても、何かしら不具合があったときに即対応とはなかなかいきません。けれども、国内で開発から製造まで一貫して手掛けていれば、お客さまのさまざまなニーズに素早く対応することができます」(泉氏)

4.地元の雇用に貢献できる

「人件費以外のあらゆるコストを抑える努力をして、付加価値の高い製品を手掛けることで、地元の雇用にも貢献できます」(泉氏)

電子機器の開発風景(提供:鳥取スター電機)
電子機器の開発風景(提供:鳥取スター電機)


電子機器の開発風景(提供:鳥取スター電機)
電子機器の開発風景(提供:鳥取スター電機)


整理整頓されたきれいな工場はQCDの基本

鳥取スター電機のもう1つの特徴は、つねに整理整頓された工場にあります。これも、QCD(品質、コスト、納期)を追求した結果だと泉氏は話します。

同社の完成品組立工場は、8階建ての本社ビルの中にあります。一般的に工場といえば平屋のイメージが強いため、まずはそのギャップに驚きます。また、築23年のビルながら、清掃が行き届いており古さを感じさせません。

「乱雑な環境では必要なものを取り出すにも時間がかかり、社員の時間が奪われるのでコストがかかります。ミスなども起こりやすくなる。整理整頓されたきれいな工場からしか、良い製品は生まれないのです」(泉氏)

こうした同社の考え方に共感する企業の一つが、カー用品最大手チェーンです。同社の工場は前述のカー用品最大手チェーンの研修先となっており、新入社員を研修生として受け入れています。

研修生からは、「不良品を早い段階で止めることができる品質管理体制がある」、「中小企業にもかかわらず、大企業並みの高性能な設備が導入されている」といった同社のものづくりを評価する感想が毎年寄せられます。


工場での作業風景(提供:鳥取スター電機)
工場での作業風景(提供:鳥取スター電機)


医療機器のOEM生産拡大に向けて着々と準備

鳥取スター電機では、日本の大手メーカーをはじめ、ドイツの名門自動車部品メーカーのOEM製品も手がけていますが、名だたる企業からオファーが絶えない理由は、ここまで見てきた通り徹底したQCDの追求です。同社が取得する以下の認証からも、それが伺えます。

IATF16949

自動車産業の品質マネジメントシステムに関する国際規格。世界的に最も普及する品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO 9001」より厳格な規格で、世界の自動車メーカーの多くが自動車部品の調達基準として採用する。

「ドイツの名門自動車部品メーカーが当社を選んだのは、IATF16949を保有し、かつ工場の視察に来られてQCDの実態を評価くださったからでしょう」(泉氏)

品質に自信があるからこそ、同社は以下の認証も取得し、医療機器のOEM生産を拡大するため準備を進めています。

ISO13485

医療機器産業の品質マネジメントシステムに関する国際規格。医療機器における品質管理システム構築のベースとして採用される。

鳥取県知事認証

鳥取県知事が権限を持ち、医療機器の製造業と製造販売業を承認する認証。

こうした認証も踏まえ、同社を含む地元の企業4、5社と、鳥取大学医学部で成るコンソーシアムでは、医療機器「スマートメディカルライト」を過去に開発しました。1,000万円ほどかかる手術室の大掛かりな照明がなくても、頭にセットすれば、周りが暗くても手元を明瞭に照らしてくれます。


スマートメディカルライト(提供:鳥取スター電機)
スマートメディカルライト(提供:鳥取スター電機)


「認証はもともとお客さまからのご要望で取得しました。医療機器はリスクの程度によって4段階に分かれます。私どもの工場ではクラスI、クラスⅡの機器なら十分対応できるので、今後はより医療機器のOEM生産にも注力していきたいです」(泉氏)

【参考】医療機器のクラス分類

クラス 定義と医療機器の例
クラスI:一般医療機器 不具合が生じた場合も、人体への影響が小さいもの。X線フィルムなど
クラスⅡ:管理医療機器 不具合が生じた場合も、人体への影響が比較的小さいもの。画像診断機器など
クラスⅢ:高度管理医療機器 不具合が生じた場合、人体への影響が比較的大きいもの。放射線治療機器など
クラスⅣ:高度管理医療機器 不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れのあるもの。ペースメーカーなど

 

 
 

株式会社鳥取スター電機
1966年創業。鳥取県鳥取市に本社と2つの関連会社があり、グループ3社で各種電気機械や器具のODM・OEM商品について設計・開発から組立・納入まで一貫して手掛ける。QCDを追求した結果、国内生産にこだわる。
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