三次元レーザーカットならどんな形状の金属加工も思いのまま。レーザテックに聞くレーザーカットの強みと特徴

INTERVIEW

株式会社レーザテック
代表取締役社長
前田 好彦

板金加工の中でもひずみが少なく、切断時間が短いなどの特徴を持つレーザーカット。中でも、三次元レーザーカットはどんな形状も加工することができます。三次元レーザーカットは、二次元レーザーカットに比べて加工機を使いこなすのが難しいですが、対応できるものの守備範囲が極めて広く、柔軟性の高い加工が可能だと言います。今回は、愛知県名古屋市で板金加工を手掛け、特にレーザーカット加工に強みを持つ株式会社レーザテックにレーザーカット加工の特徴や三次元レーザーカットの優位性についてお話を伺いました。

板金加工の中でも、どんな形状も加工できるのが三次元レーザーカットです。しかし、同加工に精通する企業は希少です。今回は、レーザーカット加工に強みを持つ株式会社レーザテックの代表取締役社長 前田好彦(まえだ・よしひこ)氏に、レーザーカット加工の特徴や三次元レーザーカットの優位性について伺いました。


金属のレーザーカットに強み

株式会社レーザテックは、1989年創業の愛知県名古屋市で板金加工を行う企業です。さまざまな手法がある板金加工の中でも、同社はレーザーカットによる加工を得意とします。

□ 加工機の保有台数は名古屋市でもトップクラス

顧客の幅広い要望に応えることができる機械や設備が充実しており、レーザーカットの加工機器をはじめ保有する機械の台数や設備は、名古屋市内の企業の中でもトップクラスです。

□ 短納期で対応

充実した加工機の種類・台数、そして30人の熟練スタッフが揃うため、繁忙期でも短納期で対応することができます。

□ 金属以外の素材にも対応

顧客の要望に応じて、アクリル樹脂や木材、ゴムなど金属以外の素材も手がけています。

□ 担い手が少ないZAS型も対応

金型は、鉄の塊から削るのが現在の主流です。けれども同社は、今では対応できるところが少ないZAS(亜鉛合金)を溶かして金型を作るZAS型も手掛けています。例えば30年、40年前に製造された自動車の部品は、メーカーで金型を処分してしまっているケースも。そこで同社が指名を受け、素材であるZASから部品を作ることもあります。

なお、金型を作る際、どういう形状が最適か試して加工する「展開切り」という作業が生じます。創業以前は鉄ノコで切断していたものの、時間はかかるし、仕上がりは汚い、寸法精度もよくない。一方レーザーカットなら、自由曲線も正確できれいに切断できる。こうした将来性を見込み、同社は創業時からレーザーカット加工に注力してきました。

三次元レーザーカット加工機での作業風景(提供:レーザテック)
三次元レーザーカット加工機での作業風景(提供:レーザテック)


金属加工におけるレーザーカットの特徴

板金加工の中でもレーザーカットは、ひずみが少なく、切断時間が短いのが特徴です。他の加工方法と比べて、レーザーカットの位置づけを見ていきます(下記表参照)。

<表1>金属3Dプリンターを用いた部品製作工程

項目 溶断 レーザーカット ワイヤーカット
加工方法 ガスの炎や放電を利用して加工 レーザー光線を照射して加工 電気を流した銅線を利用して加工
加工時間 3つの中で一番早い 溶断に比べて遅く、ワイヤーカットより早い レーザーカットの10倍、20倍かかる
仕上がり よくない ひずみが少なくきれいに切断できる レーザーカットよりきれいに切断できる
精度 低い 高い レーザーカットより高い
加工に向くもの 大まかに切断したあと、精密加工をする前提のもの 自由曲線で加工する展開切り。装置のカバーやブラケットなど、寸法精度がある程度欲しいもの 高い精密さが求められる金型など

 

 

結論として、ワイヤーカットと溶断の中間にあたるのがレーザーカットです。それなりに早く、きれいに切断でき、正確に加工できる。つまり、極端な短所がないのが強みです。

「とにかく顧客が求める形状を早く正確に出せるので、試作開発でも重宝されています」
こう話すのは、同社の代表取締役社長である前田好彦氏です。自動車関連では車の給油口のふた、食品関連ではコンベアのカバー、建築関連であれば建材のH鋼など、これまでさまざまな分野のモノづくりをサポートしてきました。ちなみに少しユニークなところでは、愛知万博のとき、トヨタ自動車が出品した1人乗り用自動車「i-unit」の木製タイヤのホイールカバーも、同社がレーザーカットで加工しました。


1人乗り用 近未来自動車の木製タイヤのホイールカバー(提供:レーザテック)
1人乗り用 近未来自動車の木製タイヤのホイールカバー(提供:レーザテック)


金属加工のレーザーカット加工機はじめ専用機械・設備が揃う

・0.1ミリから1ミリくらいまでの薄い板厚を加工するのが得意な機械
・20ミリ近くある厚い板厚を加工するのが得意な機械
・ステンレスやアルミ、銅を加工するのが得意な機械

・アクリルやゴム、樹脂など非鉄金属を加工するのが得意な機械
・立体ワークを得意とする三次元レーザーカット加工機
・ファイバー・レーザー溶接機

以上は一例ながら、レーザテックの工場には、加工する素材や素材の厚さ、あるいはニ次元加工か三次元加工かなどによって、専用の機械や設備が13台ずらりと揃います。

「大手の自動車メーカーでは、当社よりも多くのレーザーカット加工機を保有していますが、当然ながら他の企業から注文を受け付けることはありません。一般企業から広く注文を受け付けていて、加工機の設備や台数をここまで揃えている会社は稀だと自負しています」(前田氏)


工場の様子(提供:レーザテック)
工場の様子(提供:レーザテック)


三次元レーザーカットの魅力と難しさ

幅広い機械を揃えるレーザテックですが、中でも三次元レーザーカット加工機は3台保有しています。同加工機は、使いこなすのが難しく高価。そのため保有する会社自体が少なく、同社の保有台数は注目に値します。

では、三次元レーザーカットはどれほど難しいのか。魅力は何なのか。二次元レーザーカットと比較して見ていきます。


<表2>二次元レーザーカットと三次元レーザーカットの違い

項目 二次元レーザーカット 三次元レーザーカット
素材を置く
治具製作
不要 立体形状の素材を置く受け治具が必要。
受け治具を作るには、顧客から引き受けた製品のどこを基準にしてどういう向きで作ればいいのか、といったノウハウや経験値が欠かせない。
機械への
ティーチング
不要 必要
どこをどのように切るのか、顧客から支給されるケガキパネルを踏まえて機械に教え込む作業が不可欠。これも積み重ねてきた長年の経験やスキルが必要で、誰もが簡単にできる作業ではない。
3次元データからのオフラインティーチングも可能
加工できるもの 平らな板のみ 立体形状も含めて基本的にはどんな形状でも加工できる

 

 

三次元レーザーカットは、二次元レーザーカットに比べて加工機の操作が難しいことがわかります。一方で、対応できるものの守備範囲が極めて広く、柔軟性の高い加工が可能です。

「以前、当社に三次元レーザーカットの仕事をご依頼くださったお客さまが、自社内で業務を始めから終わりまで完結させることを目的に加工機を新規導入されました。当初は、機械メーカーに付いてもらい何とか動かせたようですが、その後、イレギュラーなことや操作ミスが相次ぎ再び当社にご依頼くださるようになりました。それぐらい三次元レーザーカット加工機の操作は難しいのです」(前田氏)


機械へのティーチング風景(左)とCAD担当者との打ち合わせ風景(右)(提供:レーザテック)
機械へのティーチング風景(左)とCAD担当者との打ち合わせ風景(右)(提供:レーザテック)


金属にとどまらないレーザーカット×SDGsで社会に貢献したい

板金加工、とりわけレーザーカットの加工に強みを持つレーザテックですが、今後はどのような方針で事業に取り組む予定なのでしょう。

「SDGsに沿って事業を広げていきたいと考えています。例えば、1人乗り用自動車『i-unit』の木製タイヤのホイールカバーは、ケナフという木材でした。ケナフをはじめレーザーカットで加工する素材は、環境に優しいものにもどんどん広げていきたいです。あとは、医療機器のカバーを製作していたこともあり、医療関連の分野にも積極的にチャレンジしていきたいです」(前田氏)

既存の枠に捉われない同社のしなやかさは、柔軟性の高い三次元レーザーカット加工にも通じるところがあります。



株式会社レーザテック
1989年創業。愛知県名古屋市で板金加工を手掛ける。特にレーザーカット加工に強みを持ち、操作が難しく希少な三次元レーザーカット加工機の扱いにも精通。充実の機械・設備により幅広いオーダーに短納期で応え得る。
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