環境にやさしい洗浄技術を幅広い分野へ。エフ・イーの「ものづくり精神」

私たちが普段スーパーで目にする根菜や葉菜などは土がついてない清潔な状態で売られていることが多いです。これは農家の生産者や農協が、畑に土足で入ることさえ病気や細菌または害虫の混入の可能性があることを危惧し、洗浄・殺菌に配慮しているからかもしれません。今回は、1959年北海道旭川市で創業し「独自の洗浄技術」をもって、野菜の洗浄機・選別機の製造を主に手掛けている株式会社エフ・イーに、洗浄技術を軸に広がる他業種との開発実績や、製造・設置まで一貫した製造体制について伺いました。

国連が定めるSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の観点からも、環境負荷を軽減する生産体制づくりはあらゆる業界において喫緊の課題です。
このような背景から「独自の洗浄技術」で注目を集めているのが、北海道旭川市を本社とする株式会社エフ・イーです。半世紀以上にわたって根菜類を中心とした野菜の洗浄機を基軸にその分野で多くの実績を積み重ね、そこで得たノウハウから生み出された様々な製品の「独創性」と「信頼性」は、多くの受賞歴やメディア出演からも裏付けられています。社員数30名の地方中小企業ながら、行政や大手企業からの開発相談を受けることも多いといいます。
旭川の地から存在感を放つ同社の取り組みについて、代表取締役社長 佐々木 通彦 氏、専務取締役 佐々木 雄大 氏、常務取締役 三宅 勇太 氏、取締役 宍戸 順 氏にお話を伺いました。


野菜の洗浄機械・選別機械で信頼を築く「アグリパートナー」

株式会社エフ・イーは1959年に北海道旭川市で創業、根菜類を中心とした野菜の洗浄機・選別機・加工機の製造を主に手掛けており、顧客である農業生産者や加工業者と「アグリパートナー」として共に成長してきました。

代表取締役社長の佐々木 通彦 氏は、同社の姿勢についてこのように語ります。

「私達は農業者の方々のお手伝いをしている会社です。国内外にネットワークを持っているので『他の地域の生産状況はどうか』『生産者を紹介してほしい』などの情報提供も積極的に行っています。お客様の目線でものづくりに向き合うのが私達のモットーです」

多様なニーズに対応できるよう、加工や用途に応じて20種類を超える製品を提供しています。同社が開発した洗浄技術や加工技術により、取引先の加工業者が新商品を企画・提案できるようになった事例もあるといいます。


左から取締役 宍戸順氏、専務取締役 佐々木雄大氏、代表取締役社長 佐々木通彦氏、常務取締役 三宅勇太氏(提供:株式会社エフ・イー)
左から取締役 宍戸順氏、専務取締役 佐々木雄大氏、代表取締役社長 佐々木通彦氏、常務取締役 三宅勇太氏(提供:株式会社エフ・イー)


洗浄技術を軸に他業種へと広がる開発実績

近年は、培ってきた洗浄技術を農業以外の様々な分野へ応用・展開しています。

車載型ろ材洗浄選別装置

車載型濾材洗浄選別装置は、浄水場で水をろ過するための重力式ろ過池にて大量に用いられる石と砂などの濾過材を洗浄し、大きさごとに再選別する装置です。通常はろ過を繰り返すことにより汚れのついた濾過材は新しいものへ交換、入れ替えが必要でしたが、この装置で洗浄選別することで、濾過材のリサイクルが可能となります。車載型移動式のため東京や名古屋など、大都市圏の浄水場の濾材更正工事でも使われています。


車載型ろ材洗浄選別装置(提供:株式会社エフ・イー)
車載型ろ材洗浄選別装置(提供:株式会社エフ・イー)


PM除去ユニット洗浄装置

軽油を燃料とするディーゼル車は、排出ガスに多くの有害物質が含まれます。トラック、バス、ディーゼル乗用車などは浄化装置(PM(Particulate Matter、粒子状物質)除去ユニット)を搭載することが義務付けられていますが、装置にカーボンやアッシュなどの不純物がたまると燃費や馬力の低下、PM除去ユニットの故障原因となり、その部品交換費は高額となってしまいます。この課題を解決するため、PM除去ユニットを取り外して洗浄可能な機械装置を開発しました。

「開発のきっかけは、PM除去ユニットの洗浄を手掛ける地元の企業様から相談を受けたことです。『手作業の洗浄作業を機械装置で自動化したい。エフ・イーと一緒に効率的で効果的な洗浄装置を開発できないか?』とお声かけいただきました。農業分野とは別の領域ですが、私達が持つ洗浄技術を生かせるのではないかと考え、ご相談いただいた企業様と共同で開発にあたりました」(宍戸氏)

コンテナ殺菌装置、ミニコンテナ洗浄機

コンテナ殺菌装置、ミニコンテナ洗浄機は、農作物の収穫に使われるコンテナやミニコンテナを清潔に保つ装置です。土や腐敗菌が付着したままのコンテナを再利用すると、付着物を介して病気や害虫の被害が拡大してしまいます。洗浄作業は手間がかかることから、高圧水の噴射でスピーディーに殺菌・洗浄を行える装置を開発したといいます。

「畑に目に見えない病気や細菌または害虫がいた場合、コンテナを介して感染が広がるリスクがあります。コンテナは大きさや種類が様々なので、洗浄水が届かず洗い残しが生まれやすいのが開発にあたって苦労した点ですね」(三宅氏)

「近年はコンプライアンスの観点でも、生産者や農協が殺菌洗浄に配慮しています。畑に土足で入ることさえ、最悪のケースでは産地ごと壊滅的な被害を受ける可能性があります。私達はお客様の畑に入るとき、靴にビニール袋をかぶせるようにしています。こうした点でも、土汚れの洗浄は必要とされています」(佐々木通彦氏)


設計・製造・システム制御まで、一貫した製造体制が支えるものづくり

同社の技術力を支えるのは、営業・設計・製造・システム制御までを一貫して手掛ける体制です。例えば野菜の選別機ひとつとっても、どのタイミングでどの位置に野菜を排出するかまで演算できるのは、システム制御まで自社が行うからです。

「弊社の最大の強みは、各部門の社員が同じ目的意識を持ち、お客様に寄り添った製品開発ができることです。自社のノウハウやお客様の声を生かしたものづくりを実現するには、プロセスの一部を外注する製造体制には限界があります」(佐々木雄大氏)


制御盤の設計・開発(左)や、プログラミングシステムの開発(右)も行う(提供:株式会社エフ・イー)
制御盤の設計・開発(左)や、プログラミングシステムの開発(右)も行う(提供:株式会社エフ・イー)


同社の平均年齢は37歳と、製造業の平均年齢(42.9歳)*より5歳以上若いことも特色です。経営陣にも30代を抜擢しています。この背景には社長の佐々木氏が自ら若手を育成し、仕事を任せる企業文化があります。
*厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査より

「決算表や資産を社員に公開しています。社員一人ひとりが会社の経営状況を把握し、経営参画する意識が会社を育てています。人材育成には10年、15年の時間がかかりますが、『エフ・イーイズム』を持った人材を育てることにこだわっています。『失敗は成功の元』。ニュートラルな視点で常に新しい発想を持ち挑戦しています。失敗してもそれを検証し再挑戦し続けることで経験として人は成長し、機械は進化します」(佐々木通彦氏)


アジアを中心に海外展開も強化。環境負荷の軽減に産業用洗浄機で挑む

同社は海外展開にも力を入れています。中国、韓国、台湾、ベトナムなどに製品を納入しており、展示会への出店や視察の受け入れにも取り組んできました。今後は経済発展が著しく、環境問題に直面しているASEAN諸国へ販路の拡大を目指しています。

「弊社は環境負荷を軽減しようとする日本政府の動きを受けて、40年近く前から根菜洗浄機械の開発に取り組んできました。経済が成長していく上で、環境問題と向き合うことは避けられません。昭和、平成、令和を経て、ASEAN地域は私達が今まで構築してきたことが活かせる市場があります。この技術がASEAN地域でも環境負荷の軽減に活かせるのではないかと思っています」(佐々木通彦氏)


海外展開(提供:株式会社エフ・イー)
海外展開(提供:株式会社エフ・イー)


大切にしたいのは対等に開発ができるパートナーシップ

長年のノウハウを持つ洗浄技術を軸に、同社は異分野への展開をさらに広げています。取り組みにあたっては、共に開発ができるパートナーシップを大切にしていると語ります。

「洗浄技術を強みとしつつ、業種問わず幅広いニーズにお応えしたいです。その際には、対等なパートナーとして新たなものづくりに向き合える方々とお話をしたいですね。機械の開発は『こういうものを作ってよ』と言われるままに実現できるほど簡単な話ではありませんから。お互い課題を持ち寄り、共同開発をするつもりでご一緒できたらと思います」(佐々木雄大氏)

「今までの開発実績においても、こうしたパートナーシップを大切に取り組んできました。弊社に求められているのは、作業の軽減や効率化です。これまで苦労していたことを一部でも機械がお手伝いすることで大きな変化が起こります。その点で、設計・製造・システム制御までを自社で完結できることや長年の蓄積したノウハウが強みになります」(佐々木通彦氏)


株式会社 エフ・イー
1959年設立、北海道旭川市に本社をおき、生産用機械器具の製造・販売を主要事業とする。根菜類を中心とした野菜の洗浄機・選別機を設計から製造・設置まで一貫して実施しており、国内にとどまらずアジアを中心とした海外へも製品を納品。近年は「洗浄・選別」の技術を環境分野に活かし、新たな領域の製品開発へと幅を広げている。
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